とある方から下記の情報が入ってきました。
「技能実習2号から特定技能1号の在留資格変更申請の不許可が相次いでいるそうです」
理由は技能実習生の在留資格認定申請のときの本人の履歴書と、特定技能1号申請時の本人の履歴書の経歴相違による不許可だそうで、実習生本人は履歴書が改ざんされていることを知らないため、本来の経歴を出してNGみたいです。
この情報を下さった方はかなり送出し機関へ憤りを感じていたようですが、私からすれば、なんでそうなるのですか?と逆に聞きたくなります。
技人国などの在留資格の申請を行っている者からすれば、技能実習生の履歴書が前職要件の絡みもあり、本来の経歴と違うケースがあります。また、たまに実習生本人の記憶違いから、履歴書の内容が変わってしまうケースもあるため、必ず入管に提出した履歴書の確認は業界関係者なら行います。上記のようなケースの場合、監理団体が最初の在留資格認定申請を行っているので、実習生本人が監理団体にお願いして履歴書のコピーをもらうことは可能だと思います。通常なら履歴書の確認をして、その後新たな履歴書の作成を行うのが良いと思います。
正直、実習生たちの履歴書はどこまで本当なのか、わからないと思います。一度実習生のリファレンスチェックを行ったことがありますが、結構勤めている会社の偽装はよくやっています。日系企業に勤めていないのに、日系企業の会社名を書いたり、工業団地が同じならその中で一番規模の大きい会社名を書いたり、もっとすごいのは大学の卒業証明書の偽造。面接前の試験の結果が、大卒者のわりには高卒者よりもできず、本人と話してもどうもおかしい。調べてみると卒業証明書を買ってきたようでした。大学の卒業証明書を売っているの?と驚かれると思いますが、偽造のレベルによって金額が変わりますが、ベトナムでは買えます。
6月24日付け読売新聞に出た記事
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20190624-OYO1T50000/
まあ、その通りですね。
どうしてこんなことになったのでしょうか?
はい、答えは簡単です。技能実習生の再来日はあり得なかったからです。再実習は認めていなかった。だから履歴書を偽造しようが、実習生本人に関係なかったのです。
たまに帰国した実習生の中に大学を卒業して、再度技人国で日本に行こうとするケースがあったので、私たちの中では履歴書を合わせなければならないというのが、経験則でわかっておりました。
ということは、帰国した実習生たちが特定技能で再来日する場合、何年か前の技能実習での在留資格認定申請時に使用した履歴書を確保しなければならないという、やっかいなことが出てきます。監理団体や送出し機関でコピーがあればいいのですが、ないと言われたらアウトですね。そして、じゃその履歴書のコピーを出してあげるから、お金ちょうだいと言われる可能性もあり、もしくは送出し機関ならば、うちの送出し機関から特定技能で行くなら出してあげるよと言われる可能性もあります。
また悪質なブローカーの暗躍を許す、制度上の不備ですね。
対抗策として、ベトナムでの技能実習2号修了者については、送出し機関を経由して人材を確保することにし、履歴書については必ず確認し、技能実習の履歴書と特定技能の履歴書の齟齬がないようにすること。それから実習生本人には今後のために自分がサインをする書類はすべてコピーをもらい、保管するように勧めることなどが考えられます。
こうしてみると、この技能実習制度しかり特定技能しかり、就労ビザなどの在留資格しかり、様々な経験を重ねていかないとわからないことがいっぱいあります。今回の特定技能の不許可にしても、一度出てしまった不許可を取り消すにはかなり苦労することになりますし、申請した本人の人生にも関わってくることになりますので、知らなかったでは済まないこともたくさんあります。
ちなみに履歴書偽造について、私が経験したことを書いておきます。入管の審査は裁量主義で審議官によって決裁が変わりますので、同じ事例でもダメなケースがあることもご理解ください。
技能実習で来日し、3年間無事実習を終えて帰国したベトナム人女性。帰国後本人は技能実習時に勉強した日本語能力を生かしたくなり、日本でベトナム人通訳を募集していた会社に応募してきました。日本語能力試験はN2まで合格し、元々技能実習で日本に行く前に、ホーチミンの有名な大学の日本語学科を卒業しておりました。経歴には問題もなく、技能実習が終了してから1年以上経っていたので、人文知識・国際業務での申請も可能かなと思いました。(当時は、技能実習生が他の就労関係の在留資格で再来日する場合は、母国での技術移転も鑑み、すぐに日本に行くことは難しいようでした)
ところが送出し機関から履歴書を取り寄せたところ(偽装したことがバレるので、なかなか出さなかった)、履歴書から大学の経歴は消され、その代わり技能実習の職種に合わせた会社の在籍が記載されておりました。彼女は入管のデータベースには高卒となっておりました。
そこで申請時に履歴書相違の理由書を提出し、在留資格認定を下ろしたことがあります。もちろんその理由書にはいろいろ事情を書きましたが、なんとか認めてもらえたようです。
とにもかくにも、技能実習生の履歴書は要注意です。必ずコピーをもらい、確認してくださいね。