o何の花が一番好き?
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その花を知るまでは、一番好きな花は?と
訊かれても、咄嗟には答えられなかった。
薔薇も、百合も、牡丹も、チューリップも
、桜も、好きな花なんて一つに絞れる訳が
ない。
今から二十数年前、知人の家で生まれて
初めて、その花が開くところを見た。
月下美人!!
一夜限りの純白の花は、あまりにも美しくて、
信じられない芳香を放っていた。
夜に咲いて朝には萎む、月下美人は不思議な
ご縁で、今から7年前に我が家にやってきた。
それから毎年、年に3~4回咲いて、私達を
うっとりさせてくれる。
そして、神秘的な花に魅了され続けている
内に、一番好きな花になっていったのだ。
今年も、月下美人は咲くだろうか?
何度も見て、香りに酔いしれ、一番美しい
姿をカメラに収めた花なのに、初咲きに
出合うと、初恋の人に逢うように震える。
咲き満ちて月下美人や睥睨す
季語……月下美人……夏
睥睨(へいげい)……周りを睨み付けて、威力
を示すこと
けれども、この麗しい花は翌朝には、見るも
無惨に萎れて、前夜の女王のような気品も、
辺りを払うような香りも跡形もないのだ。
その潔さに痺れて、今年も召し使いのように
仕えて、咲く日をひたすら待ち焦がれる……
かほり消ゆ月下美人のしぼむ朝
季語……月下美人……夏
数年前にスケッチして描いてみたが、あまり
にも美しい花は、絵にはならないことを
思い知らされた。

