らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -359ページ目

第005話 名刺

アテがはずれたのは親の方だった。


まさか私が本当に帰ってこないなどとは
思いもよらなかったのだ。


お母さんは私の財布の中身を完全に把握していたし
どこにも行けずに
八方塞で戻ってくるしかないと
タカをくくっていたのである。


お財布の中には
2千円しか入っていなかった。


友達にも先周りして電話をしてるであろう事は
予測がついていたので
私は友達に頼る事もできなかった。


駅についた私は
手帳に隠してあった名刺の束を取り出した。


高校生の頃から
私服で渋谷のセンター街などを歩くと
たくさんのスカウトマンから声をかけられた。

ほとんどは水商売で
たまには胡散臭いプロダクションなどもあった。


センター街を往復して
何枚の名刺が集まるか
友達とバカげた勝負をした事もあった。


その中の1枚に
「体験入店、即日日払い、寮、制服あり」
という歌舞伎町のキャバクラがあったのだ。


私は名刺のスカウトマンに
駅の公衆電話から
震える指で電話をかけた。


体験入店したい旨を伝えると
「30分後に新宿まで来てください。」
とだけ言われた。


汗ばんだ手で
頼りの名刺を握り締め
私は新宿へと向った。


17歳。
その日はとても暑い夜だった。


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