第042話 たけちゃん
「まりも今日店終わるまで待ってろよ。一緒に帰ろうぜ。
なんか飲む?」
一服しようとお立ち台から降りた私に
たけちゃんはSEXの約束と
ドリンクのオーダーをまとめて済ませた。
たけちゃんが運んできた
苺味のフローズンダイキリを飲む。
たけちゃんはいつも
かなり気まぐれに私を誘うので困ってしまう。
「美咲、今日さ、たけちゃんに誘われちゃったんだけど。」
「OK。んじゃ適当に帰るさ。」
「ごめんねぇ。」
「いいよぉ。てかさ
まりも、そろそろたけちゃんに
ちゃんと本カノにしてもらいなよ。」
「うーん。
無理っぽいんだよねぇ。
こないだ、たけちゃん家に泊まった時
けっこう真剣に彼女にしてよ!って詰めてみたんだけどさぁ。
いいかんじにごまかされたちゃったし。あはは」
「ふーん。
ライオン丸に本気で惚れてるのかねぇ?ぶぶっ」
「やっぱさぁ。
ディスカーってプライド高いしぃ~。
歌舞伎町のキャバ嬢より
銀ホスの方がステイタスぅ~ってかんじなんじゃない?」
私だって歌舞伎町のダサディスコの店員より
イケてるディスコの黒服の女に納まりたい。
麻布十番にある『マハラジャ本店』は
私達のお気に入りのディスコだ。
私はそこのVIP主任をしている佐久間武とデキている。
たけちゃんは24歳だ。
りりしい眉毛と涼しげな目元。
それでいて
愛嬌ある唇とお鉢型の頭で
どちらかといえばかわいいタイプの男だと
私は思っている。
私はたけちゃんに少しばかり恋をしているのだが
たけちゃんには年上の綺麗な彼女がいた。
たけちゃんの彼女は
銀座の名高いクラブでホステスをしているらしい。
何度か店で見かけた事がある。
一目で銀座のホステスだとわかる
独特のヘアスタイルをしていた。
肩よりも少し長いロングヘアの巻き髪で
強力なヘアスプレーで全体をガッチリと固めている。
顔の小さな彼女は
頭だけ別物の何かをスッポリかぶっているようだった。
私と美咲は『ダースベイダー』とか『ライオン丸』とか
こっそりあだ名をつけてゲラゲラ笑った。
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