第045話 私の中の不在
「気持ち良かったぁ。」
甘えた声でそう言いながら
たけちゃんにキスをする。
そのままたけちゃんの胸の上に頭をおいて
煙草に火をつけた。
私が煙草を吸い終わると
たけちゃんはすでに
寝息を立てて眠っていた。
たけちゃんの寝顔をしばらく眺めてから
自分も目をつぶった。
たけちゃんとのSEXは嫌いじゃない。
体は気持ち良くはならないけれど
好きな男に抱かれていると
足りない何かが満たされていくように感じる。
たけちゃんが私の中に入っている時
私はなんとなく安心する。
安心するというより
その瞬間だけは不安がなくなる。
不思議だけど
私にとって好きな人とのSEXは
不安を取り除くための手段で・・・。
それは快楽を求めるSEXよりも
もっと全然重要な意味のある事で・・・。
だから私はたけちゃんに抱かれるんだ。
女の体には空洞がある。
体の中に虚空を持ち合わせているんだ!
そんな事を考えついた。
だから
体の虚空を男に埋めてもらって
心の虚空も一緒に埋まっちゃうのかな?
みたいな・・・。
虚空といっても
体の中がからっぽだというのとは少し違う。
体の中にあるべきものがないかんじ。
つまり「不在」を感じるのだ。
「不在」が在る。
ってなんか変だよなぁ。
と頭がこんがらがる。
私は時々
ものすごく哲学的な思考でいっぱいになる。
それはSEXの後の
少しぼんやりしてる時になる事が多かった。
頭の中に次から次と
沸き上がる観念の泡の様なもので
大抵はよくわからないまま
すぐに消えていく。
でも今は
思考が一つにまとまった。
そう!
私の中には「不在」が在るんだ。
ものすごい発見をしたような気がした。
いつのまにか私も眠っていた。
寝返りもうてないくらい窮屈で
何度も目が覚めてしまうので
昼過ぎにはタクシーで寮まで帰った。
タクシーの中で
「私の中の不在」
について考えてみたけれど
もうそれがなんの事だか
さっぱりわからなくなっていた。
寝る前は確かに
核心めいたものだったのに。
まぁ、いっか。
寮に帰ったら出勤まで爆睡しよう。
自分のお布団を恋しく思った。
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