らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -315ページ目

第047話 勝敗

彼女は少しだけ

驚いた表情をしたように見えた。


それからゆっくりと視線をもう一度鏡に移し
化粧品をバーキンにしまいながらこう言った。


「私とたけしが会う時はいつもうちのマンションなの。
わざわざ狭くて汚い場所で会う事もないしね。」


そう言うと
唇の端だけで微笑み
化粧室を出ていった。


完敗だ。


私はたけちゃんの部屋に入れる特別な女なのだと

彼女に誇示したはずだった。


それは

「私、たけちゃんとSEXしてますよ。」

と言う程露骨で下品ではなく

「私、たけちゃんと付き合ってますから。」

という程子供くさくて恥知らずではない言葉だと思った。


完璧だと思った私の一言に

彼女の反撃の言葉もまた完璧なものだった。


『タケギャルは汚い部屋の汚い布団で

適当に遊ばれてれば?どうぞご勝手に。

私達はどこぞの高級マンションの一室で

蜜のような時間をすごしていますから。』


勝手にそう解釈して

打ちのめされた。


一言で言えば
「本カノ」の余裕ってやつだろう。


でも不思議と

嫌な気分にはならなかった。


たけちゃんの彼女はやっぱりさすがだな。

という思いは

逆説的ではあるけれど

私の自尊心を守ってくれたような気もする。


チンケな女だったら

逆に私はガッカリしたに違いない。


たけちゃんの彼女は

どことなく泉さんと同じ雰囲気を持っていると思う。


二人に共通するのは

きっと『本物』の風格があるという事だ。


『ライオン丸のくせに!』

私は悔しかった。


それから気を取り直して

前向きに考え始めた。


泉さんは25歳だし

ライオン丸も20代後半だ。


私にはまだまだ時間の猶予がある。

そのくらいの年には

私だってきっとあっち側にいるはずだ!


自己投資額では

負けてなさそうだけど

なんというか

今の私は『まがいもの』だ・・・。


劣等感が芽生えた。


外側だけ綺麗に飾り立てて

見た目は抜群でも

中身がからっぽ。


いくら見栄えが良く

派手で目立つ箱でも

中身がないなら

ただの箱でしかない。


ただの箱を欲しがる人なんて

いるわけないな。


私はきっと

たくさんいる

『タケギャル』の中の一人でしかないんだ。

そう気がついた。


まき


続き気になる人はクリックしてね♪

rankm