らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -312ページ目

第050話 新鮮な風

愛咲優弥は私達に名前を聞いた。


「まりも。・・・・・・・と、美咲です。」


私は不機嫌な美咲のぶんまで
一緒に自己紹介をした。


「まりもさん、美咲さんですね。うーん・・・。
まっぴーとみっぴーって呼びますね。」


『?!』


空気が一瞬凍った。


こんなセンスのないあだ名をつけられたのは
もちろん初めてだったし
痛いギャグかと思ったけれど
彼は真顔だった。


美咲を見ると
眉をひそめ
眉間に深い縦皺を刻んで
完全にシカトを決め込んでいる。


やれやれだな…。

美咲の機嫌が直る見込みは絶望的だ。


私は一応

愛想笑いをしてみせた。


露骨に不機嫌な態度を示す美咲だったが

彼はそんな事はどこ吹く風というかんじで

ひょうひょうとしている。


それから私に
「まっぴーはどこに住んでるんですか?」とか
「いつもどのへんで遊んでるんですか?」
などと聞いた。


私は美咲には悪いと思いながらも
話がはずんでしまった。


正直
彼の顔がかなり好みだったし
さっそく『まっぴー』と呼ぶこの男を悪くないと思った。


お世辞を並べたて
持ち上げる事しか出来ない黒服達の接客が
鼻につくようになっていたところだ。


最近の私は
「綺麗」とか
「かわいい」だとか言われても
ピクリとも心は動かない。


そんな判で押したような言葉よりも
『まっぴー』と呼ばれる事の意外性が
うれしい照れくささと共に私の気持ちを揺らした。


彼は多くの黒服達の様に格好つけていないと思う。
等身大の自分で
少しばかり天然で
いい具合に肩の力が抜けている。


「バイトなの?」

「社員じゃないけど常勤予定だよ。」

「ディスコで働くのは初めて?」


「俺、学生なんですよ。

前に六本木で少しだけバイトした事があって。

その時の知り合いから

オープニングスタッフで手伝って欲しいって頼まれてさ。」


「へぇぇ。学生なんだ?」

「昼は大学生だよ。しばらくは忙しくなりそうだな。」

「大学生がディスコで黒服のバイトなんてするんだぁ。」


私は意外だった。


『この子おもしろぃなぁ。』


目新しい刺激を求めていた私は
彼への興味が加速した。


私の周りにはいないタイプだったし

彼は新鮮な風を運んできてくれる気がした。


私は美咲にはバレないように
一人でトイレに行き
こっそり彼をロッカールームの脇に誘った。


「ねぇ。今日一緒に帰らない?」


私はいつでも気にいった男は自分から誘う。


そう

私には自分なりの『恋愛のルール』があるのだ。


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