第058話 余裕
「SEXしたからには彼女にしてくれるんでしょ?ふふ」
ちょっと困らせてみたくて
優弥の頬を撫でながら
そんな風に私はじゃれついた。
優弥に抱かれた後の私は
抱かれる前のテンパリっぷりは嘘のように消えて
すっかりいつもの調子に戻っている。
このかんじが
私のペースだ。
煙草を吸いながら
優弥は真顔で天井を見詰めている。
「なぁ~に考えてるの?」
気楽な空気にしたくて
軽いかんじでそう聞いた。
「うーん。ずっと考えてたんだけどさ。
ちょっと真面目に話そうか。」
と優弥。
SEXの後に真面目な話なんて
男のクセに変わってる。
こういうSEXの後
面倒臭い話を持ち掛けるのは
いつでも女だと相場は決まっているのに。
それが
どれだけ男をウンザリさせるか
私はよく知っているから
SEXの後はいつもおとなしくしている。
「うん。いいよ。
てか、SEXした言い訳とかしないでいいからね?あはは」
私は別にたいした事じゃないし
というかんじで優弥に気を使う。
「いや。そんなんじゃないよ。」
「うん。」
「俺さ、喫茶店でまっぴーの話を聞いて
それから、まっぴーが泣いてるのを見て
すげー、せっぱつまってるって感じたんだよね。」
「あぁ。ごめんね。泣いたりして。
私もなんで泣いたんだかよくわかんなぃや。
たんなる情緒不安定よ。きっと。あはは」
「でさ、ホテルまで歩いてる間もずっと考えてた。
本当はHするつもりはなかったんだ。
ただ、今日は一緒にいてあげたいって気持ちだったんだよ。」
「そりゃー・・・優弥!無理ってもんよ!
誰が相手だと思ってるのよ?きゃはは」
やっぱり後悔してるのかな。
「うん。無理だった・・・。まっぴー今どう思ってる?」
「うん?どうって?」
「俺の事さ。」
「すごーーく好きよ。」
「喫茶店でも、俺の事好きって言ったけど
あの時は本当にせっぱつまってたんだよ。
必死な想いが伝わってきた。
でも、今はそんなかんじがしなくない?」
「うーん。どういう事?」
「なんていうかさ、まっぴーって男を振り向かせる事で
自分の魅力を確認してるんじゃないの?」
「え?」
「今はさ、俺がまっぴーを抱いたから
満足してるってかんじだよな。」
「そりゃー、好きな男に抱かれたら満足でしょ?」
「いや、違うよ。わかんない?」
「・・・・。」
「今のまっぴー、すげー余裕じゃん?ははは」
この人の言う事って
いつも的確で
私ははっとしてしまう。
「俺さー、彼女とそろそろ4年なんだけど
今まで一度も浮気した事なかったんだぜ?」
「うん。それは、なんとなく信じられるよ。
ねね、優弥の彼女ってどんな子なの?」
「普通の子だよ。高校の同級生で音大に通ってる。
真面目だし、ディスコとかには行った事もないだろうな。
すげー尽くすタイプ。」
「あっそ!」
私は唇を尖らせた。
聞くんじゃなかった。
『音大』なんて響き・・・。
どっか別の世界みたい。
「いや、まっぴー聞いてよ。
女ってさ、一生懸命尽くしてるだけじゃ
時には、まっぴーみたいな女に負けるんだな。って
俺は思ったんだよ。」
「ふーん。」
別に全然うれしくない。
「まっぴーはさ、男がどうすれば自分に夢中になるか
その年で知りつくしてるかんじだよな。
自分でも思うだろ?」
「・・・で、優弥は夢中になったわけ?」
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