第059話 ハードル
「・・・で、優弥は私に夢中になったわけ?」
寝転んでいる優弥の瞳を
私は斜め上から
完璧な勝負目線で
見据えた。
『どうでるの?優弥』
「夢中か・・・。
俺の中じゃさ、浮気した事自体が
かなりの衝撃なんだよ。
この俺が彼女を裏切るなんて
自分でも驚いてる。」
優弥はまっすぐに私の目を見て続ける。
「それって、やっぱり
まっぴーに夢中になったって事だろ?」
「なーに?それ。あはは
たしかに、優弥を落とすのは時間かかったし。
優弥の理性はかなり屈強だったと思うわ。
でも、ゲームは私の勝ちね。」
私は
ドラマか何かの役を演じているみたいに感じる。
演じている様で
でも本音じゃないわけでもない。
確かに今の私には
ゲームに勝った様な感覚があった。
ただ
さっきまでの
甘い高揚と切ない快楽と
優弥に抱かれた言い知れぬ感動を
伝えられずに
台詞みたいな言葉ばかりが
自然と口から流れ出る。
「しょうがないよ。
誘ったのは私なんだもん。
優弥は悪くないわよ。」
「誘ったのはまっぴーだけど
誘わせたのは俺だな・・・。」
「わぁ!なんか知らないけど
その言い方ってかっこぃぃ~。あはは」
髪をかきあげ
目は大きく見開いたまま
口だけで笑う。
「そうやってキャラ作るなよ!」
「えー?」
なんでこの後に及んで
営業スマイルみたいな事をしてるんだろう。
自分でもそう思う。
「俺はね、そういうまっぴーにやられたんじゃないんだよ。
あの喫茶店で見せた切実なまっぴーの想いが
俺の心の何かに触れたんだよ。」
「男はみんな同じよ。
セクシーな女が隣に寝てれば
SEXしたいと思うのって当然よ。
何も悪い事じゃないわ。」
「なんか・・・
俺達、話が噛み合ってないな。」
「・・・かも。」
「まっぴーにとって、俺は結局ハードルでしかないんだよ。」
「ハードル?」
「彼女がいるって言うとさ
普通はそこで一線が出来るってか
それ以上は踏み込んでこないだろ?」
「そーかもね。」
「でも、まっぴーは
彼女がいるって聞いて
食いついてきたじゃん。」
「私、積極的なのよ。きゃはは」
「とりあえず、俺とのSEXは
一つハードルを越えたってかんじなんだろ。」
この人、一体何が言いたいんだろう?
私はだんだんムカついてくる。
「そんなんじゃないよ!
私、優弥とのSEXですごい感動したし。
なんか言葉に出来ない想いを感じたんだから。」
見透かしてるみたいなのって
頭にくる。
「まっぴーの次のハードルは
俺の彼女なんだよ。」
「だからさ、
俺が彼女と別れて
まっぴーに乗り換えたなんて事になったら
一気に俺への興味はなくなるよ。」
「・・・・・・。」
「俺の彼女に勝って
自分の魅力を確認したいんじゃない?」
「・・・・・・。」
「もし、優弥の言う通りなら
私はどうやったら幸せになれるって言うのよ!!」
大きな声を出してしまう。
私だって
そんな事わかっている。
だから
優弥に切れるのは
お門違いだ。
「やっとムキになったね。
そうやって自分の本当の感情と
向き合うんだよ。」
そう言いながら
優弥は笑って
私の頭をぽんぽんと叩いた。
「なによ!それ。頭くる。」
主導権を取り戻そうと
今度は自分から優弥に唇を重ねた。
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