らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -256ページ目

第103話 アテ馬

田中は用事があるとかで
連れの二人を残したまま
早々に店から出て行ってしまった。


藤田と直樹はだいぶ酒も回り
バツイチの藤田は

自分の離婚の経緯を事細かに語りはじめた。


「バツイチってね、サラリーマンとしてはいろいろつらいのよ。まりもちゃん!」


「そうなんですかぁ。」


「社会の風当たりっていうの?やっぱり男は家庭を守れて一人前っていうかさ~・・・」


藤田はそう言いながら

ウィスキーを一気に煽る。


「大丈夫ですよぉ。これからきっといい出会いがありますよ♪ねぇ直樹さん?」


「そうですよ!藤田さん、まだまだ人生これからっすよ!元気だしてください。」


私は直樹に相槌を求めつつ
藤田のさみしい内輪話に耳を傾けている。


「一緒にご馳走になってもよろしいでしょうか?」


姐さんが他の客のテーブルに移り
代わって春子さんが席につく。


乾杯でグラスを重ねる左手の薬指に
何カラットもあるダイヤの縦爪のリングを見つけ
私はまた頭に血が登る。


バッカじゃないの!


水商売女が左手の薬指に指輪なんてするかよ!


それも男にもらったってバレバレの!


舐めてるな。この女!


胸糞悪い!!


パパが私にプレゼントしてくれた指輪とは
あきらかに格が違う。


私は無性に腹が立って
ひざの上のハンカチを握り締め
唇をかみ締める。



パパのバカ!!



藤田が春子さんの勧めで
似てもいないサザンの物真似でカラオケを歌い出す。


春子さんはニッコリと笑いながら
そんな藤田に控えめな手拍子を送っている。


「直樹君って彼女いるの?」


「いないっすよ。」


「そぉ。いないんだ。」


「社会人になってからずっと彼女いないんだ。」


「・・・。 ねぇ、今日私の家においでよ。土曜日は会社休みでしょ?」


「え!?  またまた…。」


「お店1時までなの。終わるまで待っててよ。私の家、目白なんだ。」


「え… うん。 うん! いいよ!」


「じゃ約束。」


私はパパに対するアテツケの気持ちから

直樹とそんな約束をしてしまった。


別れの算段をあれこれ考えるよりも
アクションを起こしてしまった方が手っ取り早い。


後の事なんて何も考えていなかった。


この顔を真っ赤にしながら
恥ずかしがってる男には悪いけれど…


アテ馬になってもらおう。


指輪


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