第185話 ストリップ劇場
梅ちゃんに連れられて
歌舞伎町の中心地に歩いていくと
大きな看板が目にとまった。
『DX歌舞伎劇場
AV女優なつき鮮烈デビュー』
宣材写真入りのとても大きな看板だ。
色白で顔の半分くらいはありそうな大きな瞳。
少しヤンチャな笑顔で映っている。
「ホストクラブ愛」のNO.1と
看板の中で肩を並べている。
「ちょうど、なつきがのってるから
なんか差し入れ持って行くか~。」
梅ちゃんは
区役所通りのコージーコーナーで
シュウクリームを10個買う。
一緒にのっている踊り子さんたち全員のぶんだ。
なつきちゃんは売れっ子AV女優だった。
梅ちゃんのメーカーも
何本か撮ったそうだ。
私のデビュー当時が
なつきちゃんの人気絶頂期で
いわゆるエロ本を開くと
必ずと言っていい程よく見かけた。
しかし
回転の早いこの世界では
新人が次から次とデビューしていくから
なつきちゃんの人気はすでに下火になってきている。
男はみんな新しいもの好きなのだ。
DX歌舞伎劇場は
風林会館の1本裏の通りにあった。
狭い階段をくだり
地下に降りていくと
入り口にはなつきちゃんのポスターが
その隣に来週トリを飾るAV嬢のポスターが貼ってある。
その下に
現在のっている踊り子さん達のポラロイド写真がズラっと並んでいる。
マライアキャリーのダイナミックなラブバラードが
場内から聞こえてくる。
カウンター越しにいる
チケットのもぎりのおじさんは
病的に痩せていて歯が欠けている。
梅ちゃんに
とても小さな声で挨拶をしたけれど
梅ちゃんは無視しておじさんの横を通り過ぎていく。
その奥に事務所があるようで
梅ちゃんは図々しいくらいドカドカっと入ってゆく。
その後を遠慮がちなジイヤが
そして緊張気味の私が続く。
事務所に入ると
そこは小さな一室で
4人がけの応接セットが真ん中にあり
あとはテレビと電話があるだけだった。
「有ちゃん、久しぶり! 景気はどうよ?」
梅ちゃんに有ちゃんと呼ばれている男は
この劇場の偉い人らしいけれど
年は梅ちゃんと同じくらいに見える。
30代後半といったところだ。
「うちからデビューしたまりも。
ストリップ見てみたいって言うから連れてきたんだ。
よろしくね。」
梅ちゃんの紹介をうけ
私は笑顔を作って会釈をする。
「可愛い子やな! うちで踊ってくれるんか? まぁ狭いとこやけど座り。」
私は黒い革張りのソファーに腰掛ける。
「まりもがのるかどうかはコレ次第なんじゃないの?」
梅ちゃんは
指を丸く形作り『金次第だろ』
と軽いジャブをだす。
たのもしいかぎりだ。
有ちゃんは微妙な含み笑いで
そのジャブをかわす。
ジイヤと有ちゃんが名刺交換をする。
「なつきはどうなの? 客入ってる?」
「ボチボチやな~。」
梅ちゃんと有ちゃんは
仕事の話をはじめる。
「私、ちょっと見てきていいですか?」
ステージを見てみたくて
一声かけてから私は立ち上がった。
「あっ、今はやめとき!」
有ちゃんが顔色を変える。
「え? 何か都合でも?」
私は足をとめて有ちゃんに尋ねる。
「いや、今週は企画物が中盤に入ってるんよ。
白黒ショーやから見ん方がええ。
今ちょうど、そいつの出番やから。」
「白黒ショー?」
私は意味がわからずに聞き返す。
ジイヤも梅ちゃんも
有ちゃんの話を理解している様子で
3人で気まずそうに顔を見合わせている。
見るなと言われると
余計見たくなるのが人間の性だ。
「大丈夫です! 私見てきます!」
「あっ! 待てって!」
何が大丈夫なのかはわからないけれど
とにかく私は
みんなの制止を振り切って事務所から出ていく。
そして場内に通じる大きくて重厚な扉を開けた。
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今日は『私が実際に読んだ本、自信を持って薦める一冊』を紹介します。
簡単な書評も入れてみます。 実は私、読書が趣味だったりするんですよ^^
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まりもの感想![]()
二十代前半に読んで衝撃を受けました。
「良心の呵責なき者たち」の素顔に迫る戦慄の一冊。
サイコパスというと、猟奇的な犯罪者を思い浮かべるかもしれませんが、それは間違いです。
口がうまく、平気で嘘をつき、周囲の人の好感を得るのが上手い。
他人の感情は考えず、自分中心の考え方しか出来ない。
人を魅了し、情け容赦なく操り利用し、すべてを奪い、そして去っていく。
サイコパスはあなたの近くにもいるかもしれません。
「私はサイコパスだったんだ!」
そう確信して、自分の内面を深く掘り下げていくキッカケになった一冊です。
サイコパスは非常に治療困難な人格障害だと本書には書かれていました。
しかし、私は変わりました。
私は良心を取り戻す事が出来た元サイコパスなのです。

