第207話 期待感MAX
「まりもちゃんっ! 超ひさしぶりー!
初舞台、カナと一緒だったなんて偶然だねー!」
太一君が
ビルの下まで出迎えに来てくれていた。
蘭華姐さんの本名はカナというようだ。
太一君の腕に
うれしそうに自分の腕をからめる姐さんは
すっかり可愛いらしい女の表情になっている。
すごくギャップがあるなぁ
と私は少し微笑ましい気分になった。
『CLUB NEO』は
同じビル内の大きな店舗に移転していた。
店内の様子も
従業員であるホスト達も
私が来ていた頃とはずいぶん変わっている。
「わぁー、かなり雰囲気変わった?
てかホスト増えたなぁ~!」
胸はドキドキと高鳴り
早くも期待感MAXの興奮状態に陥る。
案内されたテーブルに座り
あいかわらず賑やかな店内を見渡して
華やかなスーツに身を包むホスト達を
一人一人と確認していく。
素晴らしい!!
イケメンの宝石箱だーー!
ビバ! パラダイス♪
私の頭の中では
何発もの打ち上げ花火があがっている。
マジでレベル高っ!!
「ヒカルの友達とか後輩が6人くらい入店したからね。
まりもちゃん、トモ知ってるでしょ? よくマハラジャに来てた。
あいつも今うちで働いてるしさ、あとで全員紹介するよ!」
太一君は
蘭華姐さんのボトルを
几帳面にテーブルに並べる。
「へぇ~! トモ、ホストになったんだぁ。
なっつかすぃ~。 逢いたい! 逢いたいっ!」
トモはディスコで遊んでいた頃の友人で
向こうが告白してきた時は、私が直樹と付き合っていたし
直樹と別れてから私が言い寄った時には、トモの方に彼女ができていた。
結局はタイミングが合わず仕舞いで
「そのうち一緒になろぉね~ん」
なんて冗談を言い合った仲だった。
トモは可愛い系のジャニ顔で
言うまでもなく私のタイプなのである。
きっとホストでも人気でるんだろうなぁ
と私はちょっと複雑な気持ちになってしまった。
「そーいえば、まりもちゃんって
トモとデキてたんだっけか?」
太一君がふと思い出したように小声で尋ねる。
「ぅぅん、食ってはないよ! あははは」
私はついつい
蘭華姐さんそっちのけで
太一君と盛り上がってしまう。
「お待たせ!」
覚えのあるエタニティの香り。
胸元まではだけた青いシャツに
仕立ての良い黒のスーツ。
颯爽とヒカルの登場である。
ヒカルは私の隣に
ピタリと寄り添って座ると
「逢いたかったよ」
と真っ直ぐに私の目を見て囁いた。
その瞳と声に
絶妙なせつなさが篭っていて
私はついクラクラしてしまう。
まだ乾杯もしていないというのに
夜遊びの刺激をなつかしみ
全身の血が騒ぎ出す。
「お花ありがとぉね。 うれしかったわ。
お礼にシャンパンかなんか入れるわよ。」
体勢を立て直そうと
私はすました顔で無駄な抵抗を試みる。
「初舞台のお祝いしよーぜ。
俺がまりもとカナちゃんにご馳走するよ。」
ヒカルはそう言うと
パチンと指を鳴らしてウェイターを呼び
「ピンドン」とクールにオーダーをキメた。
「お~ぉ ヒカル君、太っ腹ね~」
「さすがっ! ヒカル!!」
蘭華姐さんと太一君が
手を取り合って大喜びする。
ユウの存在が
どんどん頭の隅に追いやられていく。
潤んだ瞳でヒカルを見詰めながら
私は思わず吐息を漏らし呟いてしまった。
「ぁん・・・やっつけられちゃぃそ。」
思わず自分に「ばーーーか!!」とつっこみたくなるような内容だな!w
完全に舞い上がっている私・・・このイケメンパラダイスから無事に帰還できるのか?
男好きな女には久しぶりの単独夜遊びは危険である・・・^^;
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