らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -146ページ目

第209話 正当な選択

「やめとくわ」


驚く程あっけなく私はこたえた。


ヒカルと寝ることは

ユウを失うというリスクをとれる程の魅力はないように思えた。


私はヒカルともう一度やりなおしたいなどとは考えていない。


それに

ヒカルとは毎晩のようにベッドを共にしていたのであり

新規の男とはじめてベッドインする時のようなインパクトはない。


幸せな結末を目指しながら

一段づつ積み重ねていくユウとのやや退屈な付き合いの途中で

ヒカルは魔法をかけたような刺激的な一夜を演出してくれた。


しかし

これからヒカルの部屋に行ったとしても

魔法のかかった時間がほんの少し伸びるだけのことだ。


楽しい時間は

楽しいままで終わらせてこそ意味がある。


私はヒカルとの駆け引きを充分楽しんだ。


ゲームは勝ち逃げできてはじめて

真の勝者と言えるだろう。


魔法のかかった最中の行動の責任は

きっと魔法が解けた後の私が取ることになる。


その代償の重さを考えれば

答えはNOに決まっている。


今私は

自分の幸せのために

当たり前の選択をしたのだ。






そんな風に冷静に考えられる自分が

不思議でならなかった。


かつての私は

こういう局面になると必ず

思考の流れがピタリと止まる。


そしてその場のノリと流れに身を委ねてしまう。

それが常だった。

懲りずに何度でもそのパターンに陥るのが

私のしようもない習性だったはずだ。


正当な選択に成功するだなんて

あきらかに今までのパターンとは違っている。


お酒は相当入っているし

ヒカルのクライマックスへの誘導は完璧だったと思う。


土壇場にきて

私はなぜ冷静になれたのだろう。


私らしくない成り行きに

自分が一番驚いてしまう。


私は成長したのだろうか。


それとも

選択を間違わせるためには

単純に材料不足だったのだろうか。


誘ってきた相手がもしもトモだったとしたら

私の答えは変わっていたのだろうか。


心の中で自問自答を重ねる。


しかし私は

このあきらかな自分の変化が

ある原因によるものだと確信していた。


これは
あの強烈なLSD体験によって得た

新たな思考回路の功績に違いない。


軽いフラッシュバックに襲われる。


「まりも? 何ボーっとしてんだよ。 おい!」

ヒカルは何度も私に話しかけていたようだ。


「ん? ごめん、ちょっと酔ってるみたぃ。」


「とりあえず、今日のとこは帰してやるよ。」

ヒカルはポンっと私の頭を叩く。


「当然よ。」

私は自分の優位を保てた事に満足する。


「会計なんだけどさ、カナちゃんはいつも楽日清算の売り掛けなんだ。

おまえはセット料金だけでいいんだけど、カナちゃんとあんまり差があると気まずいだろ?

太一もやりづらいって言うからさ、とりあえず適当な伝票作るからおまえも売り掛けって事にしとけよ」


ヒカルは私だけに聞こえる声で耳打ちする。


「それは全然いいけど。

お金はどうすればいいの?」


「DX乗ってるんだし昼間時間あるんだろ?」


「うん、出と出の間が2時間半くらいあるよ。」


「じゃ、明日の昼に金届けてよ、2万でいいからさ。」


「ほぃ。了解」


昼間のステージの合間にヒカルにお金を届ける約束をし

グデングデンに酔っ払っている蘭華姐さんを楽屋まで送り届けることにした。






最近、本文冗長ですいません。次回から加速つけていきますよぉ☆

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