第205話 蘭華姐さんの秘密
どうやら蘭華姐さんは
ヒカルのことを知っているようだ。
咄嗟の質問に
私は注意深く返事をする。
「ヒカルは知り合いなんです。
っていっても、半年くらい連絡取ってませんけどね。
お店に遊びに行ったことはありますよ。」
無難に言葉を選びながら
蘭華姐さんの出方をうかがう。
蘭華姐さんは
私の方に一歩近づき
耳元で囁くような声で言った。
「これは秘密なんだけど」
蘭華姐さんの身体からいい匂いがただよってくる。
きんもくせいの香りだ。
「私の彼氏、NEOのホストなのよ。」
口元にかすかな微笑みを造り
蘭華姐さんは
心なしか得意げな表情をする。
「そーなんですかぁ、 ちなみに誰なんですか?」
NEOのホストは新人意外は全員知っているはずで
私は正直興味深々だった。
「太一って知ってる? ヒカル君のマブだけど。」
げぇ!
太一って・・・嘘だろ!!
しかもマブとか言っちゃって・・・うける!
「太一君なんだぁ、 知ってますよぉ。
ディスコで遊んでた頃からあの二人は知ってるんです。
どのくらい付き合ってるんですか?」
私は顔色を変えずに探りをいれてみる。
「もう2年になるかな。」
蘭華姐さんは
堂々とそう言い切った。
はい! あなた色カノ確定です!!
太一君にはエミリっていう若い彼女がいますから!
しかもあっちはSMクラブの本物の女王様っすよ!
同棲しててラブラブですからぁ!
なんて
爆弾を落とすような真似が出来るはずもなく
私は「そうなんですかー!」と
やっぱり無難な相槌をうつにとどまった。
「蘭華姐さん、すごくいい匂いしますねぇ」
私は話しの矛先を変えようとする。
「ああ、ボディショップのボディソープよ。
風呂場にボトル置いてあるから、あんたも使えばいいわ。」
「わぁ~ぃ。 ありがとうございまーす。」
私は無邪気に微笑む。
「でもさ、半年も連絡取ってないのに
どうしてヒカル君が花を贈ってくるわけ?」
蘭華姐さんは
気になるのか話しを戻してしまう。
「ん~・・・
たぶん、歌舞伎町の看板か風俗新聞かなんかで
今私がDXにのってるのを知ったんでしょうね。
きっとホストならではの営業なんだと思いますよ。」
早く話しを終わらせてしまいたい。
これ以上つっこまれて
ややこしいことになるのはごめんだった。
「なるほどね、 店行く?
私はここにのってる間は毎日通うけど。
ほら、あいつ寂しがりやでしょ?
一緒に行こうか?」
蘭華姐さんは
なぜかうれしそうに私に笑いかけてくる。
やっぱり店に通うのか・・・。
・・・そうだろうな・・・。
「いぇいぇ。 私は彼氏に怒られちゃいますから。
ホストクラブにはちょっと行けないんですよぉ。」
私はやんわりと断ったつもりだったが
蘭華姐さんは露骨に不機嫌な表情を向ける。
「一日くらい付き合いなさいよ。」
有無を言わせないきつい口調だ。
理不尽で身勝手な態度に
腹立たしさを覚えながらも
「わかりましたぁ。 お供しますね。」
と私は応じてしまった。
これから10日間
快適な楽屋生活を送るためには
断ることは出来ない。
それに
蘭華姐さんに取り入っておけば
今後のストリップ人生に有益になるだろう
と考えたのだ。
「じゃ、今日ヒカル君に伝えておくわ。 行くのは明日でいい?」
「はい。 いいですよ。」
私の返事を聞いて
蘭華姐さんは満足げに話しを打ち切った。
しかたがない。
蘭華姐さんと
おいしいお酒が飲めるかどうかは
いささか不安なところではあるが
何時間か我慢すればいいだけのことだ。
そんなわけで
私と蘭華姐さんは翌日
『CLUB NEO』 に二人で飲みに行く約束をしたのだった。
ホスト通いしている踊り子さんは非常に多い。 やっぱさみしぃんだろうね。
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