第204話 胡蝶蘭
楽屋に寝泊りする人と
家やホテルに帰る人とは
半々くらいのようだ。
4度目のステージが終わった順に
姐さん達は化粧を落として
驚くべきスッピンを晒していく。
どっひゃーーー!!!
ありえねぇーーー!
姐さん達のスッピンを盗み見ては
心の中で不謹慎なつっこみをいれ
私は一人密かに楽しんでいた。
みなさん
化粧の実力は
プロにも勝るといったかんじだ。
11時過ぎになると
酔っ払いの客が増える。
最終ステージ
盆上で上体をのけぞらせ
セクシーポーズをとっていると
ダンスシューズに手が伸びてきて
いきなり足を捕まれた。
『ギャ!!』
私は驚いて
反射的に足を引っ込める。
客をギロリと睨み付ける。
客の手には千円札が握られている。
どうやらチップを
ダンスシューズの中に入れるという風習があるようで
それを知らなかった私は
「お触り厳禁だよ!! くわっ!」
と般若の形相で睨みつけてしまったのだ。
客はポカンと口をあけたまま
情けない顔をしている。
「あぅ・・・ごめんなさぃ。 驚いてしまって・・・」
私は盆の上から謝り
にこやかに笑いかけて丁重にチップを頂いた。
覚えなくてはならないことが
まだまだありそうだった。
長い一日が
ようやく終わろうとしている。
楽屋に戻った私は
どうにか初日を乗り切った安堵感から
ビールでも飲みたい気分になっていた。
近くの喫茶店にユウを待たせていたので
一杯飲んでから帰ろうと決めた。
「まりも姐はん
お花届いてまふー。」
歯の欠けている
チケットのモギリのおじさんが
大きな胡蝶蘭を抱えて楽屋に入ってくる。
前歯から空気が漏れる独特の発声で
周りからからかうような陰湿な笑い声が漏れた。
「わぁ~! 綺麗!」
房が5本もある胡蝶蘭。
鉢も立派で5万円はしそうな代物だ。
贈り主は
ヒカルだった。
さっすが!
ヒカルのやることは
あいかわらずソツがなぃ!
私はヒカルの気遣いに
心底感心してご機嫌になった。
これならドライフラワーにしなくてもいいし
誰からも文句を言われることはないだろう。
胡蝶蘭を化粧前の一番目立つところに飾り
頬杖をついてしばらくの間眺める。
最終ステージが終わる時間に合わせて
花を贈りつけてくるあたりが
ヒカルの絶妙なテクニックなんだよなぁ
と私は気持ちのよい溜め息をついた。
『CLUB NEO ヒカル』
金箔で縁取られた大きなカードがついている。
お風呂上りで
頭にバスタオルを巻いた蘭華姐さんが
その胡蝶蘭を見て目の色を変えた。
「あんた、ヒカル君の客?」
ここで再びヒカル登場。 蘭華姐さんに因縁をつけられることに?!
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