第231話 真面目と不真面目
「明日でこの楽屋ともお別れね」
楽日の夜
二人でお布団に入ると
みかん色の豆電球を見上げて私は言った。
「大阪、食べ物うまかったな」
ユウは立て肘を突いた状態で寝転がり
あいている片手で私の肩を指圧してくれる。
「大阪いいところだったなぁ。
東京よりもお客さんの反応が素直だった。
私を見て、お客さんも表情で感情をきちんと表現してくれるの。
ストリップって
客の熱をじかに感じられるんだなぁって実感したわ。
歌舞伎町の時はもっと殺伐とした雰囲気だったんだけどね」
「まりもが慣れて余裕がでてきたから
そう思ったんじゃないの?」
「それもあるんだろうけど
大阪のお客さんって、全般的に暖かかったよ」
大阪公演を終えて
私はストリップという仕事が少し好きになっていた。
ユウは指圧を止め
私の方に腕を伸ばす。
私は当たり前のように
そこに頭を置く。
昼間はステージからの音漏れで
絶え間なくBGMが流れている楽屋も
この時間はしんと静まり返っている。
私はこの10日間のことを回想する。
「ユウ、よく勉強したよね。 昔からそんなに勉強する子だったの?」
「一応、千葉では一番の進学校に通ってたしな」
私は腕枕の上で顔の角度を変え
みかん色に染まったユウの顔をまじまじと見詰めた。
「ねぇ、やっぱり不思議だよ。
ユウみたいな子が、なんで道を踏み外したのかな?
なんつーか・・・ホストクラブだとかドラッグだとか
ユウにはまるっきり似合わないよねぇ」
私の場合は
こんな風になってしまったことには
ある意味、一貫性と連続性があり
おぼろげながら理由やキッカケのようなものも
わりと自覚している。
だけど
ユウに関しては
全く持って「らしくない」という印象を受ける。
「真面目」 「普通」 「不真面目」というカテゴリ分けをするなら
私は確実に「不真面目」であり
ユウは絶対に「真面目」に分類されるタイプの人間だ。
だから私は
どうしても自分の責任を感じずにはいられない。
少しの沈黙があり
ユウは目を閉じて語り始めた。
「たぶん・・・ 家を出てから、反動でたのかな・・・。
俺さ、家では本当良い子だったから。
今思えば、仮面良い子ってやつだったかもしれないけどな」
決意をこめた告白をするかのように
重みのあるトーンでユウは続ける。
「俺、反抗期もなかった。
母ちゃんの期待を裏切りたくないっていつも思ってて
そのために勉強も部活も頑張ったんだ。 本当に努力した」
「お母さんに過度の期待をかけられていたの?」
「いや、全然。 そーじゃないんだけどさ・・・」
ユウの声が低くなった。
また
沈黙が降りてくる。
私はユウの言葉を待つ。
ユウが小さく息を吐く。
それからユウは
躊躇いがちに
自分の生い立ちについて語り始めた。
年末忙しいっ! しかも風邪引いてたっ!(もう治ったぉ) 更新ちょっと遅れ気味でごめんなさぃ。
「ワル」にも「良い子」にもやっぱルーツってのがあるよな。「生い立ち」「自分の成り立ち」って重要だ。
でもさ、いつまでも「生い立ち」の呪縛に囚われたままではダメだ。そこから解放されて人は大人になる。なーんて・・・私は思うんだけど、これってけっこう難しいし大変なことなんだよね。
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