らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -121ページ目

第233話 イルミネーション

宝石ブルー携帯からの目次を作りました  


天満の東洋ショー劇場から京都のDX伏見劇場へ

それからまた大阪に戻ってきて十三ミュージックへと。


30日間休みなしのストリップ興行は

あっというまに幕を閉じた。


途中

大御所らしきお姐さんに

「男を楽屋に連れ込んでいい身分だねえ」

と嫌味を言われた以外はとくにトラブルもなく

日々のステージを淡々とこなした。


私とユウはこの一ヶ月

喧嘩ばかりしていた日々が嘘みたいに

穏やかでゆったりとした優しい時間を過ごした。


いつも

楽屋の小さなちゃぶ台の上に

何冊もの簿記のテキストを所狭しと並べて

練習問題を真剣に解いていたユウ。


そのひたむきな後姿を見ながら

私は自分の気持ちを再確認した。


付き合い始めてから1年半の歳月が過ぎ

大事なものを見失いかけていたけれど

ここにきてそれに気がつくことが出来て

本当に良かったと思う。


どんなに色鮮やかな恋も

時間とともに必ず色褪せてゆく。


最初の頃

うれしかったり楽しかったりしたことは

いつのまにか「ふつう」になってしまう。


胸がドキドキしたり

きゅんと締め付けられるようなことはなくなって

恋の輝きはだんだんと鈍ってゆく。


そして次第に

その「ふつう」さえも保つことは難しくなってくる。


だけど

大事なものを間違えたらいけない。

失ってから気がついたのでは遅いのだから。



大阪、丸ビルのマハラジャや

京都、祇園のキングアンドクィーンに遊びに行ったりはしたものの

ほとんどの日は食事とコンビニ意外

ずっと楽屋で過ごした。

毎日連続して仕事があるから

無駄遣いをする暇がなく

ギャラの300万はほぼそのまま手元に残っていた。


エミリから聞いた話では

ヒカルとトオル君がパクられただけで

結局二人は誰のこともうたわなかったから

事態はこのまま終結しそうだということだった。



東京に帰る新幹線の中で

ユウが言った。


「もう、スピードは止めような」


「うん、私もそう思ってた」


それでいい。

帰ったら隠してあるスピードは捨ててしまおう。

その方が絶対にいいに決まっているのだから。


それは

実感の伴った決意だった。



東京駅につくと

12月のイルミネーションが

あちこちに灯りを点していてすごく綺麗だった。


「うわぁ! たった一ヶ月なのに、全然景色が違うわね」


言いながら

ユウの手をぎゅっと握り締めた。


指をしっかりと絡めあう。


街行く何組ものカップル達が

互いの体温を分け合うようにして寄り添っている。


みんな幸せそうに見える。


きっと私達も。



「まりも、もうすぐ誕生日だね」


ユウの吐く息が白い。


「そぉだね、もう22歳になるなんて信じられないなぁ。

家出してから5年もたっちゃった」


「なあ、俺が簿記の試験に受かったら、まりもの親に挨拶に行くよ。 

まりもさ、そろそろちゃんと親と和解しなよ。 しばらく疎遠になってるんだろ?」


「・・・うん。 そうだね・・・」


家族のことを考えるのは苦手だ。


いろいろな感情がごちゃ混ぜになって

よくわからなくなってしまうから。


八重洲口から

タクシーに乗った。


家までの道のりも

街のいたるところがライトアップされていて

ユウの肩に頭をおきながら景色を眺め

幸せな気分に浸った。


煙草を吸うために窓を開けると

信号待ちの隣の車から

マライアキャリーのクリスマスソングが聞こえてきた。


「なんかいいね」

私は言った。



家につくと

コートも脱がずに

すぐに冷蔵庫を開けた。


コーラの缶の底に貼り付けてあった

スピードのパケをはずしてテーブルの上に置く。


心臓がドキンと波打つ。


小さなパケの中には

二人で後1回分のスピードが残っている。


その圧倒的な存在感が

冷えきった部屋の中で膨張していく。


唾を飲み込む「ゴクン」という音が

不自然な沈黙の内に響いた。




土曜日、忘年会してきました^^ 

mixiの「らぶどろっぷコミュニティ」からも何人か参加してくれてうれしかったぁ。本当にありがとぉー! 

これからも読者のみんなと交流を深めていけるといいな、と思っています☆

で、更新遅くなってごめんねぇ。 頑張って書かなきゃなぁ! 

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