らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -114ページ目

第239話 体調不良

宝石ブルー携帯からの目次を作りました  

(↑これちゃんと見れます?ソフトバンク携帯からだとバグるみたぃで;)



初日から3日目。


楽屋で座布団を枕に寝転がったまま

私はうーんうーんと小さく唸っていた。


体調が悪い。


微熱が続いていて

出の合間に横になっていると

嫌な寝汗をいっぱいかく。


部屋着がすぐに汗で湿ってしまうから

何度も着替えなければならない程だった。

ステージ前に洗浄でシャワーを使うと

ズーンと冷えて悪寒が走る。


体が重く、うんとダルくて

胸の辺りがずっとムカついている。


「まりもちゃん、大丈夫?

冷えピタ、買ってきたよー」


静香や瑠菜が心配して

いろいろ世話を焼いてくれる。


最初はただの風邪か

あるいはしばらくスピードを抜いているからなのかと思っていたのだが

私はこのかんじを以前にも体験したことがあり

認めたくないある一つの思いを拭いきれないでいた。


やっぱりおかしい・・・


思い立ち

自分で薬局に出向くと

妊娠判定薬を買ってきた。


尿をかけた判定薬に視線を落として

私はトイレの中で絶望した。


困ったことになった

と思った。


DX歌舞伎町の後はこのメンバーのまま

今度は京都のDX東寺劇場での「AV祭り」が決まっている。


つまり

20日間は絶対に休むことは出来ない。


さらに悪いことに

ユウは3日後に大事な簿記の試験を控えている。


まいったな・・・


思考はその機能を停止したかのように

まともに働こうとしなかった。


しかし私は

今の体調のままステージに上がり続けるのは

とても無理だと判断した。


中絶手術をいつすればいいか

頭の中はそのことでいっぱいになった。


とにかく

ユウに話さなければならない。


その日二度目のステージが終わると

ユウを歌舞伎町に呼び出した。


待ち合わせの喫茶店につくと

先に来ていたユウが

「何かあったの?」と心配顔で私を見た。


「うん、 妊娠したの」


躊躇ぜずにすぐに本題に入った。


「えっ」


ユウが驚いて大きな声をあげた。


「すごい! 予定日はいつなの?」

間髪いれずにユウが訊いた。


ことの輪郭を

なるべくぼやかそうとしていた私は

ユウの態度にイラついた。


「まだ判定薬使っただけだから、わかんないし・・・。

病院に行かなきゃいけないから、付き合って・・・」


私は言った。


「あのさ、 産むでしょ? 産むよね?

そっか! 具合悪かったのって風邪じゃなかったんだね!」


嬉々として言うユウに私は唖然とした。


呆れた。


この子は一体何を考えているんだろうと

心の底から嫌気がさした。


「バカじゃないの? シャブ中が子供を産めるわけないじゃん!

もうツワリで気持ち悪いのよ・・・。 早くおろしたいの・・・」


私は「シャブ中」という言葉を自分で使いながら

身体の中心を抉られるようなかんじがした。


お腹の中の子供は

私がスピードを使用している時

きっと苦しかったに違いない。

そう思ったのだ。


ユウはハッとして青ざめた。


「わかった? でも私、仕事を休めないから・・・

歌舞伎町の病院探さないと・・・。 アリちゃんに相談してみるよ・・・」


悩んだり葛藤している暇はない。


すぐに処置をして

私は仕事をこなさなければならないし

ユウには試験に集中してもらいたい。


「でも・・・」


ユウが涙ぐみ

今にも泣き出しそうなのを見て

私は驚いた。


私はほとんど何も感じていないのに。


「ユウ、感傷に浸っている暇はないのよ」


私はとても冷たく言い放った。


両手で頭を抱えるユウを横目で見ながら

私は大きな溜め息を一つつき

アリちゃんに電話を入れた。


「ほんまか・・・ やっかぃなことになったのー。

大丈夫なんか? とりあえず病院に行ってこいや」


アリちゃんはそう言うと

歌舞伎町の裏路地にある産婦人科を教えてくれた。


次の出まではまだ1時間半あったから

私とユウはすぐにそこに向かった。


その間

会話はなかった。


教えられた住所には

注意をして見なければ気がつかないような

錆付いた看板が出ていた。


うらびれたビルの

ワンフロアが病院になっていて

かなり古い施設の町医者だった。


私が以前中絶手術を受けた実家近くの産婦人科とは

似ても似つかない雰囲気だった。


その産婦人科の時には

たくさんの妊婦さんが大きなお腹を幸せそうに摩っていたし

ピンク色の壁紙や小花模様のカーテンがかかっていて

待合室は暖かな空気に満ち溢れていた。


この病院の待合室は

黄ばんだ白いペンキの壁で

日も入らず簡素な造りだ。


2人の痩せた若い女が座っている。


一人は国籍不明の外人だし

もう一人はチンピラみたいな男に付き添われている。


全員がしょっぱい表情で

重苦しい空気が立ち込めている。


ここは産むための病院ではないんだ。

私はすぐにそう悟った。



保険証のコピーを受付に提出し

尿検査のためのコップを受け取った。


「初診でしたらこれに記入してください」

看護婦が用紙を持ってきた。


その中に
「中絶をしたことがありますか」

という質問事項があった。


私はユウに中絶経験があることを隠していたから

NOに丸をつけた。


診察室に入ると

内診があり「3ヶ月に入るところです」と

初老に差し掛かった医師に告げられた。


「中絶したいんです。なるべく早くに」


私が言うと

医者はカルテから目を上げ

「いつがよろしいですか?」と静かに尋ねた。


「明日の午前中にお願いできますか?」


私は午前中に手術を受け

午後からはどうにかステージに上がるつもりでいた。


医者は少し驚いた顔をした。


ユウの方をチラッと見て

「相手の方の同意があれば可能ですが」

と言い、またカルテに目を移した。


「あの・・・」


ユウが声を発した。


思い詰めたような

酷く緊張した声色だった。


「ドラッグを使用していた場合、子供を産むことは絶対に無理なんでしょうか?

それと・・・もしも中絶手術をする場合は・・・手術に僕が立ち会ってもいいでしょうか?」


私はギョっとしてユウを見た。


医者と看護婦も揃って顔を上げ

言葉に詰まったまま顔を見合わせた。




今年最後の更新が、こんな問題記事になってしまぃましたが・・・。

みなさん、良いお年をお迎えください。 来年もよろしくお願いします^^

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