らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -11ページ目

第338話 再確認

携帯からの目次を作りました


要領を得ない言い訳と共に私が泣き出すと

「…もういいよ、わかった」と俊ちゃんは話を打ち切った。


「ごめんね、もう絶対に心配させないから」

私は鼻を啜りながら言った。


一緒にベッドに入ったけれど

俊ちゃんはすぐに背中を向けてしまった。


その背中はピクリとも動かず

私の手が伸びてくるのを拒絶していた。


見えない障壁が

彼の周囲に張り巡らされている気がした。


二人の関係が壊れてしまう不安に怯え

急に自分を痛めつけたくなって腕に爪を食い込ませた。


痛みのせいで散漫だった意識が集中する。


頭の中をきちんと整理して

取り返しのつかないことになるのだけは避けたいと思った。


レンとのことは昨夜だけのことだ。


何かあったわけではないし

きっと時間が解決してくれるはずだ。


一度失った信用を取り戻すのは大変だろうけど

これから先、俊ちゃんに惜しみない愛情を注いでいけば

関係は必ず修復できる。 


そう思いたい。


怖い。


俊ちゃんを失う事が何よりも怖い。

命を失うよりもずっとずっと怖い。


不安で不安で

胸も腕もヒリヒリする。


なんで、なんで、なんで…


後悔先に立たず。

レンの誘いに尻尾を振ってついていった私が悪い。


何がどうしてこうなってしまうんだろう。

自分が解らない。


今までの幸せを守るために

二度と俊ちゃんを傷つけないために

自分の中の矛盾を解決しなければダメだと思った。


目を閉じて集中力を高め意識を内側に向けた。

いつもの場所まで記憶を巻き戻す。



自由を手に入れたくて

息の詰まる実家を飛び出した17歳の夏。


あの日から私は

自分の居場所を探すのに必死だった。


旅路の果てに何かがあると信じて

自分の本当の価値を求めてもがいていた。


けれど

世間知らずで愚かな小娘に

どうやって自分の居場所なんか見つけられよう。


学もなければ才能もない

何一つ積み重ねてきたものがない私は

恋愛以外に自分の価値を確認できる手段はなかった。


私の中にあるのは

過剰な欲望と恒常的な欲求不満だけ。


何をしていても

どんな男と付き合っても孤独は癒されず

心に蔓延る飢餓感と自己不全感に悩まされ

自己破壊的な方法でしか生きている実感が得られなかった。


『今の私は本当の私じゃない。

ここではないどこかに本当の私の居場所がある』


そんな儚い錯覚や幻想にすがりながら

危険を承知で様々なものに耽溺し

破滅の一歩手前まで暴走する自分の習性をどうすることもできなかった。


俊ちゃんと出逢った時

私は彼が漂わせる孤独とトラウマの匂いを敏感に嗅ぎ取った。


まるで彼自身が『開いた傷口』みたいで

私はその禍々しい危うさに強く心を惹かれたのだ。


俊ちゃんには

心が健やかな男には

決して発せない類の色気があった。


私はその開いた傷口に欲情していたのかもしれない。


俊ちゃんの心の闇に足を踏み入れ

そこで私が見つけたものは引き裂かれた自我の欠片達だった。


鏡に映った私のような俊ちゃんを視たのだ。


私達は双子の魂だったのだと悟り

今まで失った多くのものを

彼を通して取り戻せた気がした。


きっとそれは私にとって大切なものだったのだ。


取り戻せないと

おそらく生きていけないほどに。


私は自分が何を探していたのかを理解したと同時に

欲しくてたまらなかった掛け替えのない宝物を手にしていた。


俊ちゃんは私を天使だと言った。


この出逢いこそが神様から与えられた使命で

傷ついた彼を救うことで自分も救われるのだと私も思った。


聖母マリアにでもなったような気分だった。


この愛は神聖な殉愛の行為なのだと自分自身に酔いながら

私の中の自己不全感は消えていった。


自分のいるべき場所と存在理由の二つを手に入れ

私の人生は初めて輝き始めた。


いつしか自分自身で自分をOKだと思えるようになり

自己承認できることは幸せの第一歩なのだということを知った。


私と俊ちゃんの幸せは切り離せない。

この愛を失ったら自分も世界も何もかもが壊れてしまう。


俊ちゃんの価値は絶対的で揺ぎ無い。

この愛だけは唯一無二の真実だ。



そこまで思考をまとめあげると

自分の馬鹿さ加減に身震いした。


確かに

レンは憧れの芸能人で

私は彼の大ファンだった。


だけど

レンに誘われたからといって

それがいったい何だというのだ。


一晩限り身体を重ねてどうせ捨てられる。

レンにとって私は行きずりの女でしかない。


ミーハーな気持ちで一夜の情事に付き合い

自分の全てである俊ちゃんを蔑ろにするなんて

どうかしていたとしか思えない。


私も昨日のことは早く忘れてしまおう。

おかしな夢を見ただけだ。


ごめんね、俊ちゃん…

あたし馬鹿だったね…


神様ごめんなさい。 

二度と間違ったりしません。

もう一度私にチャンスを与えてください。


この瞑想にも似た自己分析で

自分の成り立ちや心の中を再確認し

屈強な意思を持つことに成功したように思えた。



レンから電話がきたのはそれから二日後のことだった。


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