らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -101ページ目

第252話 妹のように

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静香と楽屋生活を共にしていた時に発覚したことがあった。


私達の実家は実はかなり近い場所にあり

通っていた高校も同じ電車の沿線上だったのだ。


静香の高校はプロテスタントの共学で

偏差値が高く進学率も良いことで有名だった。


私の通っていたカトリックの女子高も

それなりの偏差値はあったけれど

私の場合はコネ入学だったから何の自慢にもならない。


だけど静香は実力で入学したというから

本当に勉強が出来る子なのだ。


そんな静香が

この業界に入ってきたのには理由があった。


静香の親は会社を営んでいたのだが

バブル崩壊と同時に経営が破綻して

多額の借金を抱えてしまったのだ。


ジイヤと同じパターンだった。


家計を助けるためにヘルス嬢になった静香は

その店でAVにスカウトされ

巨乳売りのメーカーからデビューした。


だから

静香がAV女優をしていることを

静香の親は公認している。


考えようによっては

時代錯誤な身売りのように思えないでもないけれど

静香は決して抑圧的ではなく

明るくそれを受け入れているように見えた。


静香は

家に仕送りをしながら

今は弟の学費を貯めている。


けっこうな額の仕送りをしているにもかかわらず

自分自身の貯金も300万以上はあると言っていた。


例の彼とは結婚するつもりで

二人で地道に結婚資金も貯めているみたいだった。


夜遊びもしなければ

ブランド物にも興味がない静香。


OLよりも質素な生活をしているのだから

お金が貯まるのも頷けた。




翌日

私は静香に

こんこんと言って聞かせた。


ホストの甘い言葉は全て「営業」なんだから、と

しつこいくらいに叩き込んだ。


「わかってるってばー」


口ではそう言う静香だけど

まだ夢見心地でいるのは見て明らかだった。


厳しい口調で私は続けた。


「リュウヤはNEOのNO1ホストなんだよ?

来月の誕生日の売り上げを意識しているに決まってる」


歌舞伎町には

ヒカルの打ち立てた伝説がいくつかある。


そのうちの一つが

ヒカルの誕生日の売り上げだ。


各客の売り上げの合計が200万

その他に

二人の太客がロマネコンティを1本づつ入れた。


ロマネコンティは1本100万もするワインで

その日の売り上げ総額は400万円を超えた。


歌舞伎町のホストクラブの一晩の売り上げとしては

歴代一位の記録になった。


リュウヤは絶対にそれを意識しているはずだ。


「心配することないのになー。 もー」

と静香は眉を八の字に下げながら

困った顔で私を見る。


「とにかく深みにはまるんじゃないよ。

またNEOに行きたかったら付き合ってあげるからさ、 ねっ」


最後は優しく諭した。





数日後

静香はうちにやってきた。


「まりものとこにしばらく置いて」


両手いっぱいの荷物を抱えて

いきなり訪ねてきたから驚いた。


「彼氏と別れたの」


妙にスッキリとした顔で静香は言った。


同棲していたアパートは彼の家だったから

静香が出てきたのだと言う。


理由は案の定

リュウヤの「付き合ってほしい」という一言だった。


あまりにもバカバカしくて

私は半笑いの顔で言った。


「まさか本気にしたの? 色営業に決まってるじゃん!」


静香がそこまでバカだとは思わなかった。


「いきなり来てごめん・・・

私、まりもが大好きだから一緒にいたいんだ・・・

でも・・・

もし迷惑だったらウィークリーマンションをすぐに借りるつもり・・・

今日は・・・いろいろ相談にのってもらいたくて・・・」


申し訳なさそうに頭を下げながら言った。


それから「本当にごめんね」と三度繰り返した。


可哀想な静香。


「ここに住むのは全然いいよ。

今は男もいないし、私も静香がいてくれたらうれしいよ。

静香は本当に妹みたいに可愛いもん。 ちゃんと話を聞かせて」


ひとまず気持ちを落ち着けて

静香の話に耳を傾けてみることにした。


怒ってもしかたがないし

力になってあげたかった。


「ありがとう! まりも大好き!」


静香はうれしそうに言うと

玄関に荷物を置いて抱きついてきた。


私には妹がいる。

家出をしてからほとんど逢っていない。


私は

なんとなく静香に妹を投影してしまうのだ。


だから

必要以上に心配性になってしまうのかもしれない。




二人分のコーヒーを入れて

静香とソファーで向かい合った。


どうにかうまく説得して

彼氏の元に帰そうと思っていた。

「で、リュウヤは何だって?」


すぐに本題に入った。


「うん・・・

何度も本気なの?って私訊いたんだよ。

そうしたらリュウヤ君、どうして信じてくれないの? って悲しそうに言うの。

なんだか疑うのも悪いかなって気になっちゃってさ・・・」


大きく息を吐いた。


「そんなのホストの常套手段だよ。

女に罪悪感を持たせるのがうまいんだよ! やつらはさぁ。

だいたいね、リュウヤに彼女がいないわけないって。

常識的に考えてみなよ? 静香」


「うん・・・ でもね。

リュウヤ君ね、まりもがそう言うって言ってた。

きっと、まりもちゃんは営業だって言うだろうなって。

まりもが反対しても気にしたらダメだよって。 

俺は本気なんだからね、って・・・」


リュウヤが先手を打ってきたと解り

頭に血がのぼった。


静香に彼との別れを決意させ

本当に別れさせてしまったのだから

リュウヤはそれ相当の誠意のこもった言葉を並べたに違いない。


だけど

それはホストだからだ!


私は理詰めの戦法をとることにした。


「付き合うって言うからにはもうデートはしたの?

一緒に住むとかそういう話は? 

ホストって本命の彼女とは大概、同棲するもんだけど?」


静香を軽く睨んだ。


「今日の夕方に電話くれることになってる。

デートしようって誘われてるの! 時間はまだわかんないけど・・・」


居心地悪そうに

静香がコーヒーを口に運ぶ。


「ふーん。 同伴するんだ?」


リュウヤの魂胆はみえみえだ。


「ううん、そんなことは言われてないよ!」


静香は少し強い口調で言い返した。


「ハァ・・・。 あんた絶対カモられるよ!

あの子は相当あざといよ。 私にはわかるんだよ」


リュウヤは

伏線をしっかり張るタイプだとわかり

面倒だなと思った。


「まりもはヒカル君と付き合ってたじゃん。

どうして私には営業だと思うの? まりもと私と何が違うわけ?

リュウヤ君だって、ヒカル君みたいに私のことを想ってるんじゃない?

なんか、まりもって私のこと見下してるよね・・・」


静香はムっとした顔で反論してきた。


言葉に詰まった。


たしかにそうなのだ。

私はどこかで静香や瑠菜を格下に見ているところがある。


だけど

それはあくまでも

夜の世界、歌舞伎町、夜遊びのカテゴリ内でのことだ。


人として

静香や瑠菜を見下しているわけではない。


例えばAV業界の人気では

私よりも二人の方が上だと思う。


だけど

水商売の男に関しては

おかしな言い方だが私はプロだ。


私から見て

静香や瑠菜には

人気ホストを本気にさせられるだけの器量はない。


彼らを本気にさせるには

自分自身がなんらかのステイタスシンボルになる必要がある。


やつらは一般的な男とは違うのだ。


ただ

静香にそれをどう伝えたらいいのか分からず

私は黙り込んだ。



「ごめん。 そうだよね」


少し考えてから謝った。


先入観と直感だけで

結論を急ぎすぎているのかもしれない

と反省した。


リュウヤが静香に惚れているという可能性が

全くないわけではないのだ。

まずはそれを確かめよう

と決めた。


静香は絶対に私が守る。



あっけなく彼氏と別れて静香は私の元にやってきた。 私達はすごく仲良しだったの。

そういうわけで私と静香の奇妙な同棲生活が始まったわけです。 いろいろあったなぁ。
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