川崎、 | ざっかん記

川崎、




坂入健司郎氏の棒、東京ユヴェントス・フィル公演、済む、演目はバルトーク《中国の不思議な役人》スート、っまだ18歳でいられるという若尾圭良女史を招いてバーバー《Vnコンチェルト》、っそしてストラヴィンスキー《ハル・サイ》である、バーバーの2楽章の主題はごくリリックなオーボーのソロであり、ソリストの父君でボストン響の奏者でいられるという圭介氏が乗られ、同主題を吹かれる、

午の千葉フィルとなんというひびきの相違であろうか、東京ユヴェントス・フィルは、《ハル・サイ》でようやくすこしく綻びが見えるという程度であり、清冽にしてシャープ、っじつに玄人跣のアンサムブルである、っかって、っやや拍へ音が嵌まっているっきりという悪印象というか無印象を遺したのはマーラー《夜歌》くらいであり、ブルックナーなどはいつもすばらしい、っきょうはまた別種の厄介な音楽だが、声部声部が密集しても絶えずぜんぶの音が聴こえているゆとりがある、っかすかにアンバランスだったのはバルトークのフィニッシュ附近のみで、管打に押されて絃の音型がほぼ聴こえなんだくらいである、

バーバーは初めて聴いたが、管打はホルン、トロムペット、ティムパニまで一通りいるものの、絃は小ぢんまりとした規模でソリストを囲む、っそんな和気藹々の編成のなか、1楽章も冒頭から切ない歌が流れ、っその歌がまた、爽快へしかしほんの数滴、苦味を垂らした憎い和声を纏ってみたり、っすこしくポリフォニックに動いてみたりと、っいちいちカッコいい、カントリー映画の附隨音楽でも聴いているような気分だ、対して管、っそして楽章最後にソリストが奏するリズム動機は、流石にアメリカ人の筆らしく、スウィングする、

2楽章はシルキーな絃合奏に唱導せられたそのオーボーのテーマに始まるが、ったいていの奏者の吹くこの楽器は、現代的の機能を万全に具えたマシンという聴こえ方がする、っそれが、っほんとうに名うての人の運指と吹奏とになると、っむしろ天然の葦笛が鳴っているように錯覚するものである、っきょうの若尾父君の奏楽はまさしくそれで、フレイズの中途へ折れそうになよやかな最弱音を挿したりされるのは、っまさしく手練れの業だ、

書法もなかなかに入魂で、ソリストがようよう音高を下げてゆくなか、ソルディーノのトロムペットが楽聖の運命動機を鳴らしていたりなど、腹へ一物を蔵している人の筆である、

ミディアム・テムポの前2楽章を享けるフィナーレは忙しい常動だが、初めて聴いていて、これで複雑な展開を有つ長大な楽章だったらクールじゃないな、っと侮っていると、っまた流石、っほんの先行楽章の後奏といったぐあいにあっさりと駈け抜けて了わる、

ソリストの若尾女史はまったくみごとな音のキャラクターで、っさながらそのカントリー映画の若手主演女優である、コンチェルトが済むと父娘で前へ立たれ、坂入氏もセロの一員へ加わられて、絃群の伴奏でなにやらバロックとみられるアンコール、っここでも父君のオーボーの自在なることといったら、



っそれで《ハル・サイ》だが、12型くらいで、っこの曲を演るにはさのみ厖大な絃の規模ではなかった、っあるいは、大半が慶應閥なのだろうメムバーでは、っなかなか練習、本番へ参加できる面子を確保しえないのかもしれない、っきっとみなさん社会的にそれなりのお仕事をされているんだろうから、

坂入氏はとくだん衒ったことはなさらず、音楽的の所作に徹しられていたが、楽器楽器がぞんぶんに機能しながら、っすべてがちゃんと野蠻な呪詛の効果音として鳴り、っおおきに唸らされた、っこうした曲はそれだ、音という音がぜんぶ効果音、SEとして咲き乱れないと、っただ管絃楽の合奏能力それ自身を誇示されたところで、っなんの聴きでもしやしない、っくりかえすが、っそれを音楽的の所作の範囲で成し遂げること、っそれが指揮道の難儀であり奥儀であろう、音楽は音楽以外のなにものをも表現しない、っとはストラヴィンスキーのことばだが、っしかしその人のスコアがよろしく音楽的に語られえたとき、っぼくらはたしかに、禍々しい儀式を眼前に視るのである、



っところで、このコムビの次回公演はマーラー《5番》だそうだが、っさんねんっっっ、っさきほど触れたネコケン氏の同《9番》と同日開催、、、っううむ、千葉フィルの汗臭い人間臭い奏楽をネコケン氏が淡々と捌かれるそのマーラーも、不思議な味できっと胸いっぱいにしてくれるのにちがいないが、っぼくがより長くおおく聴いてきたのは坂入氏のほうだ、っここは若者の挑戦を見届けるとせむ、惜しいっっっ、



っさて、っあすは新居の鍵を受け取ってきて、現室との間を何往復かし、っある程度、荷を運んでしまわむ、っあそこ路駐していられんのかなあ、



みずの自作アルヒーフ

 

《襷  ータスキー》(全4回)

 

https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351779591.html(㐧1回配本)

 

《ぶきっちょ》(全4回)

 

https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351806009.html(㐧1回配本)