川崎、
河上隆介氏の棒、川崎市民響なる団体の公演、済む、ミューザではなく、っそこからも程近い、競馬場の裏っ手というか、競輪場の向かいのスポーツ・センターみたようなところのホールでである、演目はこないだの森口真司氏とFAF管との公演とおなじく、ヴァグナー《トリスタン、、、》前奏と歌手なしで〈愛の死〉とと、マーラー《5番》とである、同団は戰後間もないころの発足という老舗で、っこんかいで200回の記念公演であったとのこと、
棒の河上氏は、っぼくよりおふたつほど年少の40歳絡み、一般大学をご卒業後に東京音大へ入り直され、っおそらくは広上氏が指導教官でいられたのかとおもう、っが、振り始められると、っもろにコバケンさんだ、コバケンさんにも習われていたらしい、
振り姿といい音楽の造形といいほんとうにそうで、っもう四十路へ入られるのだし、一寸は師の影響下を離れられてもよいのではないか、っとこちとら大きな世話を心中へおもったくらいだが、っなかではアダージェットがセンスとしてむしろコバケンさんと正反対で、冒頭から、アンダンテか、っほとんどアレグレットでも振っているのかというくらいに大きな腕の振りでぐんぐんと先を語り進み、感極まる部分ほどさらに加速して棒で音楽を掻き回す、オケはやや乱れたが、っぼくはそういうのがうれしい、世のたいていの指揮者は、曲に対してもオケに対しても、遠慮しすぎだ、っもっともっとワガママな自己主張をしてよいはずである、っそれは音楽への冒瀆だとほざく輩には、云わせておけばよいのだ、
オケは、っへたくそだった、線は細いしひびきは薄いし、器も、っかなり近年に落成したものとみえるが、如何せんいわゆる多目的ホールであり、開演前にチェムバーでモーツァルトが演られたが、音が客席へ来ない、自由席、階上は3階まである大会堂で、っしかしフライヤーの裏面へは1階席の座席表っきり示されておらず、っその心算で来るとやはり1階席のみ開放で、後方寄り、2階の庇が頭上へかむらないぎりぎりの位置で右寄りへ坐す、モーツァルトを聴いてもうすこしく前方のほうがよいかもしれないとおもうころには、っけっこうな来場者数でとくに後方は空席僅少となり、っそのままの席で妥協す、
ヴァグナーは、弱音はみすぼらしく、曲が発展してもぜんぜん満ち溢れない、
っこの調子でマーラーはキツいなあとおもうが、案の定、劈頭のトロムペットは吹き損じられ、っしかも音量が控えめでフォルテにパンチがない、下位の奏者にも腕利きらしい腕利きはいられず、っそれはホルン連中も同断、っただ、絃では、っまだしも1stにそれなりに弾ける人たちが固まっていられ、期せずして音に色や薫りの出る場面もすくなくなかった、
種々の悪条件には目を瞑って河上氏の音々への対処を具に聴き届けるところ、ダサいくらいの懇切丁寧へようよう愛着を生じてくる、2楽章冒頭からなど、遅めのテムポへ律儀に各声部を嵌めてゆく手附きがまさに師に瓜ふたつでいられ、っいまもむかしも、っぼくはああした語り口がなんともいえずすきである、
木管の幾人か、っそしてティムパニ、スネアやグロッケン・シュピールを担当された打楽器の方は奏楽のレヴェルとして楽団全体の水準を上回っていられ、っそれらが目立つ部分では聴き易い音が鳴ってぎくしゃくを雪ぎ、っどうにかこうにか緊張の糸を繫いでゆく、3楽章など煩瑣窮まりなく、演奏には苦労が絶えないものとおもうが、っずっとちいさな3つを数えてあげる棒の親切にも救われ、っやはりコバケンさん譲りのおっとりとした魅力が出ており、個別声部の数多のエラーを考慮へ入れても、全体としてはぼくはけっしてわるくないとおもった、
っそして意外や意外、攻めのアダージェットを經てのフィナーレは、腕が足りないなりにちゃんといつも見通しが立っており、大団円まで来ても金管は鋭い吼え声を上げられずにいるが、っかえって和音、音色の清浄清潔は保たれるし、他声部の動きも消されずにずっと聴こえており、好印象を懐いたくらいだ、
終演後にお客の拍手を制してすこしくスピーチされるところまでコバケンさんの真似、っまさかにアンコールにフィナーレの最後のところだけを演るんじゃなかろうなとおもうと、流石にそれはなくてハネた、済んでみれば、水っぽくてまるで音楽に成らないヴァグナーの失点を、っあんなにも厄介なマーラーでまずまず取り返すという、必ずしも上質でない団体を相手にも腐らない、実直な指揮者の仕事をみたのだった、
っさて、っあすは仙台、井上キーミツの《ラ・ボエーム》日帰り強行軍、
みずの自作アルヒーフ
《襷 ータスキー》(全4回)
https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351779591.html(㐧1回配本)
《ぶきっちょ》(全4回)
https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351806009.html(㐧1回配本)