ギロッポン、 | ざっかん記

ギロッポン、




カーチュン・ウォン氏の棒、日本フィルで、ブルックナー《9番》公演、済む、プログラムへファッスングの記載はないが、っまあどれであれおおきな異同はなかろう、アダージョまでを演って潔くはねる、拍手はソロ・カーテン・コールも含めて10分前後つづいたのかとおもうが、時計を見てもまだ20:20すぎだ、

客席は、閑古鳥が啼き勝ちであったのが惜しい、過去数種の公演はいずれも旗色闡明の大演奏揃いで、っそれを見届けてきた人も都近郊に大勢いようのに、っかかる重要プロへ挑まむとする彼氏の姿を望むべく駈け附けたいとはおもわないのだろうか、っその熱意のほどを疑る、

っとまれ、っこんかいもたいへんな演奏であった、っまず配置、絃は、Vnを左へ固め、Vaは表でVcは中とここまではなんの変哲もない、っがバスはホリゾントで、っしかも10もいる、っさようの配置を採ってもそのことによる音響効果がぜんぜん発揮せられない演奏も世に澎湃としているが、っきょうは覿面で、っもとよりカーチュン氏の際の日フィルの絃バスはごりごりとかなりソリッドな質感を志向しており、っそれがしばしばオルガンの最重低音と紛うばかりの質感を体現す、管については、木管は佐藤雄一氏みたように後列を通例と逆にはしていないが、金管はそうで、トロムペットが右、トロムボーン、テューバが左へいる、ホルン、ヴァグナー・テューバは左へ固め、ティムパニは右である、コン・マスはいつもの田之倉氏ではなくゲストで、っなんだか外国の若いあんちゃんでいらした、

っしかし、日フィルはきょうもまたいったいなんたる響を上げることだろうか、っほんとうに、聴いていてぜんぶが嘘か夢幻のようである、っどこまでもどこまでも無碍に羽搏いて、っおよそ留まるところを知らない、

1楽章の開始は、上岡敏之氏ほどではないにせよ、原始霧は最弱音、テムポは極めて遅く、木管の和音が鳴ると、早くも尋常ならざる色調である、ホルンの味も苦く、全員でクレッシェンドするとごつごつとしたすばらしい隆起を示す、トュッティによる㐧1テーマの確保へ向けて絃が動き出すとすかさずヴィブラートが効き、っはっと心裡の隙へ這い込まれるようで、っじつに鮮やかな手並みだ、音色を抑えずに煌めかせる木管は閃くように鳴り、っかえって大トュッティへ至らないうちからもう狂気の相へ踏ん込んでいるここちがする、っついに音型が細かくなり、金管、ティムパニを交え、トュッティへ達すると、っなおゆとりを余した鉄壁無類の合奏により、サントリーの大音場がびりびりと痺れる、曲頭から有無を云わせぬ鉄鎚の降下であるが、っこうでなければブルックナー《9番》は始まるまい、

っつづく経過ではピッツィをしっかりと高い質量で爪弾かせるのもとうぜんで、㐧2テーマへ遷るとやはりゆっくりとこころゆくまで謳う、ホルンの1番は信末氏ではなく客演でいられたようだが、っわずかな吹き損じをしかしご当人、気にして焦りを生じていられるのが挙措に露呈し、っのち、っほとんど全曲に亙ってトュッティでは吹かずにみなへ任され、っずっと楽器をくるくるくるくるさせていられるのがやや目へ障るといえば障った、っほかはみな吹かれているからホルンの方を観ていたいのに、大将も大将があたふたしながら、このままだと音ひっくり返っちゃうから、このままだと音ひっくり返っちゃうから、っというふうだからである、っまあしかし、っその必死の対処のお蔭もあり、彼氏はそれほど手痛いエラーを頻発されたというのでもなかった、閑話休題、同テーマ後半部へ入る部分では最上段横一線の絃バスがずしんと鳴って満堂を法悦境へ浸す、GPは遠く残響を見送ってなべて長く長く取られ、テーマ前半部へ還ると進行につれて自然と歩幅を詰め、抜かりなく音楽の失活を未然に防ぐ、

っけれども、㐧3テーマあたり、っやや抵抗なくさらさら流しすぎる嫌いがせぬでもなかったが、っそれも全体から逆算してのペイス配分であろう、

っここから先、展開、再現と逐次的に書いていたのでは夜が明けてしまうが、っどこか、っどこだろう、っそうさホルンがゲシュトップフトを用いるマルチアな部分、っあそこは宇野さんが日大管をお振りになった新宿文化センターでのライヴ盤のほんとうに軍隊行進みたようなきっぱりとした歩調もきもちよいが、本職の指揮者にはむしろのんびりとしたテムポのままの人がおおい、カーチュン氏はといえば、っもちろん宇野さんほどではないが、っほかの部分からすれば意図して前進性を強調されており、流石である、っそしてあそこでは、痛ましい歩みだったのに、中途から一寸っきりトロムペットが晴れがましい調へ移るのが憎い、人生の束の間の栄光を垣間見るここちだ、

っそれから再現㐧2テーマ手前の延々たる下降における各声部の動き方、っまいどながら、っあれはほんとうによくもああいう音楽を書いたものだとおもう、っぼくは最後のセロの動きがすきだ、っすきというか、っあんなものはもはや狂気の沙汰である、

っそのうえなお、っあの激越なコーダがやってくる、っどこまで聴く者を嬲れば気が済むのであろうか、っそしてブルックナーのあの手の息の長い登坂では、っとちゅうへ踊り場みたようなところがあり、っそれまででも張り裂くほど胸いっぱいの音楽だのに、っそこからさらに急峻な登攀を敢行するサディズムときている、っしかもそれを恬淡としてやってのけるのだ、っきょうはまた、全霊を振り絞った日フィルの勇敢なることといったら、

スケルツォは、遅い、っというほどではないが上滑りしない愼重なテムポを用意し、大粒のピッツィを時空へ刻み附けつ始める、ティムパニ、ホルン、トロムボーンによるデモーニッシュな地団駄では、っおそらく通例はダウン-アップ-ダウン、アップ-ダウン-アップか、っもしくはセンプレ・ダウンで弾かれるのだろうVnの4分音符の下降音型をすべてアップ・ボウというワガママ炸裂、ったのしい、トリオではホルン、トロムペットの地味な役割へも周到な目配り、

大事を取ってアダージョ前には再テューニング、っその冒頭の1stは過たず乾坤一擲の懊悩、、、っという云い種もヘンだが、っに身を捩り、和してくる他声部もつい勢い込んで濃密な音色にしてしまいたくなるところ、そのために音量を出しすぎるな、っと指揮者は掌で抑えるアクション、っじつに冷静だ、落陽を望むファンファールも、トュッティへ向けて上昇を始めるVaの《7番》の音型も、っそしてそのトュッティも、っいずれ劣らぬすばらしい眺望、っやはり日フィルは、背伸びしてやっとその音でなく、っまだぜんぜん余裕綽々ですというように、っしかし非の打ち所のない奏楽を示す、っこちとら唖然としてしまう、

㐧2テーマでは乗っけからぞんがいねちっこく絃を唸らせているのが印象的で、っこころを動かさずに崇遠な音楽をというよりは、破滅の刻へ向けて安閑とはしていられないといったところだ、っいっぽうでは客観的の冷徹さも具えるカーチュン氏のしかしかかるパッションは、っじつに愛すべき美質である、っただ、っついぼくの気分の問題であったかしれないが、ピッツィの伴奏が失われて以降の泪々の時間は、っぼくはもっと泣かされる心算で聴いていたが、っさほどでもなかった、っどうも、テーマ前半を粘ったぶんだけこのあたりは流れを重視してかるく捌いているようなところがあり、っぼくとはボタンの掛け違えか、っぼくはここをこそ、やや躊躇うように1音1音のために時間を取り、Vnのトゥリラーとフリュートとの重なりを大切に扱い、っとしてくれたかったのだが、

っとまれともあれ、演奏は先へゆくほど惜しむようにGPを長く長く取り、、、っしかしとちゅう、例のLの神秘和音ではその直前から不届者の着信音が鳴り出す、っまたそれが神韻を予示するようなきらきらした音色であったのがいかにも癪だ、っぼくにはよるの19時20時をすぎて電話をしてくるような友人知人はいない、電話が着信する可能性はほぼ皆無だがそれでもちゃんと機内モードにするのに、っなぜ、っまいにちよるだろうと誰かから電話が掛かってきてしまうかもしれないと本人わからないはずがないその人が、スマート・フォンを音が出るままの状態にして演奏会の客席へいて平気なのだろうか、っよのなかいろいろの人がいるからと悟り澄ましたことを云ってもよいが、っあんなときばかりは、てめこんにゃろめっ、いっぺん死んで人間やり直しやがれこなちきしょうっ、っとどやし附けたくもなろうというものだ、っとつじょテメエの着信音が鳴り出したらどんなにか肝が潰れるか、っそのあとどんなにか針の筵へ坐らされているここちがするか、っその恐怖へ想像が及ばないような輩は、ったしかにのうのうと人間をやっていてはダメである、死んでやり直さにゃ死んで、

っまあしかし、舞台上が中弱音でもそれを破ってそちらのほうが派手に聞こえてしまうというタイプの着信音ではなかったのが不幸中の幸いで、っどうとか気を取り直し、っついに破滅の和音へ至る最後のトュッティも日フィルは駄目を押さないまま踏破、GPはこのあとを全曲中で最も長く取ったものとみられ、コーダは敢えてのあっさり、っはじめに定めたテムポのまま最後ホルンが《7番》動機を昇り、ピッツィもそのテムポのなかで弾かせて了わる、

カーチュン氏の音は、曲想に応じた厳しさのなかにも恆にいつもの健康美が脈打ち、日フィルの信じ難い精妙と剛毅との両立と、っまたきょうの変則的の配置の妙とも相俟ち、オーケストラを聴くよろこびもここに極まるような一夜であった、っあすはもっと大勢のお客がその精華を胸裡へ刻むのであってくれたいが、っぼくは錦糸町、森口真司氏のマーラー《5番》だ、っきょうの公演は動画配信があるので、っまた録画しておかむ、っいままだ永山の駅でこれを書いており、っもう日附が変わって1時前、っきょうは午前のみ仕事をする心算だったが、億劫だから休んじゃお、



みずの自作アルヒーフ

 

《襷  ータスキー》(全4回)

 

https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351779591.html(㐧1回配本)

 

《ぶきっちょ》(全4回)

 

https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351806009.html(㐧1回配本)