有楽町 その3 | ざっかん記

有楽町 その3




済む、

井上キーミツ/新日本フィルで、山根一仁氏を招いて伊福部昭《ラプソディア・コンチェルタンテ》、っそして同《シンフォニア・タプカーラ》であった、

宮城前広場から器へ戻ると、っもぎりのところでは片山氏が会場スタッフの方となんだか掛け合っている、彼氏はたしかきょう、同催事において伊福部についての講演を行なわれており、首から関係者用のらしいパスみたようなのを下げておられ、っそれを見せながら、俺は関係者なのだからこの公演を聴かせてくれろ、っとでもおっしゃっていたのだろう、大規模イヴェント時の臨時雇いであろう女の子では片山杜秀の顔など知る由もなく、通してよいものやら判断に窮してあたふたしていた、っひとつ階上へ昇るといわゆる怪獣組と呼ばれる伊福部コンサートではおなじみのお客連が屯しており、遠巻きに見ながら行きすぎて、っさっきとまったくおなじ16列目の席へ坐す、

山根氏は、っもうあれで三十路手前くらいまで馬齢が来たらしい、登壇されると、往時のような青い感じが抜け、っほどよくやさぐれた風采を獲得されている、っそれがまずぼくなどには好もしいし、っきょうもあの川崎時とおなじで譜面台を置かれていたが、っずっと見ながらでないと弾けないというふうではなく、っほんの御守り代わりというところであろう、

っその《、、、コンチェルタンテ》は、ソロはぞんがいよくニュアンスが伝わったものの、っこんどは音勢のよわい木管がよく活きないのが辛く、彼等の吹いているところから、舞台の前面くらいまでっきり音が来ておらず、客席ではもはやフレイズの輪廓もぼやっぼやにぼけてしまっている、っそれにより、1楽章がソロによる序奏を了えて主部へ遷ると、っぜんぜんテーマの性格が主張しない、っこれもまた致し方なかろう、

っしかし、打楽器を交えてオケ全体が鳴るところなどは、っまあ最低限の迫力はあり、楽章後半などはまずまずたのしむ、

武骨な変拍子がにじり寄ってきて始まる2楽章は、冒頭からキーミツのテムポがじっくりとしており、主部へ遷っても先を急がないのがよい、クラリネットによるテーマはやはりごにょごにょとしてしまうが、音域の高い楽器を加えるとそれなりの雰囲気が出来し、ソロも相俟って無窮動の曲趣がよくよく発散せられる、カデンツを經て終局へ向けてはなおとどまるところを知らず、っついにVaが、っそして1stが主題を齋奏するところまで来ると、っある種、名状に堪えない昂りに襲われずにいない、



《、、、タプカーラ》は、1楽章もフィナーレも、っやはり主部のさいしょのうち、っどうしても木管の音勢が足らない、っそれはしかしもう云わないことにして、っしかし前者では、っひとしきりテーマをトュッティへ発展せしめたあと、退潮してゆくときにソルディーノのトロムペットが落ちてしまったのがざんねん、っもっと集中していてくれたかった、

白眉は2楽章で、オーボーの1・2番が交代交代に鄙びたリズム動機を吹きつづけるまんなかのところでは、キーミツは極めて遅い速度を用意し、っこころゆくまで北國への思慕を謳う、1番手のコール・アングレはやはり音勢が足らず、っもっとたっぷりと聴きたかったものの、、、っさっきお前もう云わないって云ったやないかい、次いでバトンがVaへ渡るところからは、懐かしさに烈しく胸を締め附けられ、っかあっと目頭が熱くなるのを抑えられなんだ、っやがてVnが加わり、思念ははてしなく迸ってゆくが、っほんとうに、っいつまでもこの望郷の念に心身を浸していたいとおもわされたことだ、っこの部分でこういう気持ちにさせられたのも、っじつにひさかたぶりである、以前に落泪を堰きえなんだのは紀尾井町で阿部/オーケストラ・ニッポニカを聴いたときであり、っその後はキーミツ/N響でも、カーチュン/日本フィルでも、去年聴いた本家本元、中田/新響でも、っいずれも一面に秀でてはいたものの、っこの部分で泣けて堪らなくなることはなかった、っそれだけでも、っこの非音楽的の超大器での公演にも感謝せずばなるまい、

フィナーレはああいう音楽なので、拡散気味の音響が致命的で、終局の昂奮ももうひとつスカっと定まらない、憂慮していた中間部のテムポもやはり速く、っあのテーマのおとぼけの手応え、っそれがしかしセロやホルンのダブル・タームで万感を謳うその情念もまた散り散りになってしまう、キーミツとしては、再起した主部へやがてこのテーマが急速かつ最強奏で戻ってくるので、中間部でも同様に遅すぎないテムポで示しておこうという解釋なのかとおもうが、っべつにそんな整合は附けなくともよいので、っこの中間部の際にはのんびりと歩くような速度を採ってくれたかったのだが、っおそらくは、キーミツが生涯のうちにこの曲を振られる機会は、っきょうこんやで最期であったのかとおもう、



キーミツが乗られるから詮なく2年つづけて来たので、金輪際ぼくは、っこの催事の鑑賞へは来ないであろう、っやはりどうしたって器が非音楽的である、



っさて、黄金週最終日のあすは、池袋で下野氏のN響公演で、っすぎやまこういち《DQ》ほかだね、以前にも云ったとおり、《Ⅲ》の終曲〈そして伝説へ...〉で、冒頭のファンファールが急速の裡に回帰する直前の1小節において、Vnが譜面通りの音を弾くのか、っそれとも音盤に収録の改変せられた音なのか、っそのほんの1小節を聴くためだけに、っあすはあるようなものだ、、、ってそんなことを云っていると、っちょうどそのときだけふと睡たくなって聴きすぐしたりしちゃいそうでコワいが、っま、動画配信もあるので後日でも確かめられるけれども、

っそれとN響、っおとついは無趣味な音の連続で白けさせられたので、っこんどこそ本邦㐧1級の楽団たるの意地をみせられたいものである、



みずの自作アルヒーフ

 

《襷  ータスキー》(全4回)

 

https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351779591.html(㐧1回配本)

 

《ぶきっちょ》(全4回)

 

https://ameblo.jp/marche-dt-cs4/entry-12351806009.html(㐧1回配本)