っきのうきょうは、 | ざっかん記

っきのうきょうは、




っずいぶん暖かく、っきょういまももう21時を回ったが、っもちろん外套を持参しているも、っそれが要らない、っただ、っひとつ気懸りなのが、向こう1月の札幌の天気を検めると、っぼくが羽田から千歳、千歳から名古屋と飛ばねばならない23、24日の週は、っじつに雪勝ちの予報が出ている、っどか雪でないかぎりは飛行機は飛ぶだろうと信ずるが、っほんのコンサートをひとつ聴き、ホテルへ1泊するっきりでも、っやはり天気が好いほうがうれしいし、空路の遅延や欠航を心配しなくてよい旅程であってくれたいものだ、



っさておき、中板橋へ遷って、日置ひと美というピアニストのリサイタル、マリー・コンツェルトなる極小器においてだが、規模として、井上キーミツの奥方の経営されている代々木上原のあの器などをおもえば早い、1階が受附で、2階へ上がるとL字型に並ぶ椅子椅子に囲われた一隅に、っすこしく小っちゃいのだとみられるピアノがある、っややあって気附いたのだが、客席はさらに階上があり、テラス状にして階下を見下す格好となる、っはなからわかっていればそこまで昇ったところだが、っぼくは受附から昇ってすぐの席にした、っしかしあそこまで狭いと、目前で生身の人間が演奏しているという実在感もつよく、息遣いまで聴こえるようであまりに生々しいので、っやはり階上から見下ろしているほうが、っより音楽のみに集中して聴けたろう、っぼくはしばしば視覚を不要におぼえて、午とおなじように俯いて瞑目しつ聴いたが、っなにしろそんな小器でピアノが弾かれているのだから強音では空気の震動に頰を叩かれるようだし、アルコールもほどよく脱けていたらしく、午みたように睡りへ堕ちてしまうことはなかった、っしかも、狭いながらにまずまずの音響であり、最高音のフォルテがハウリングを起こしてかすかに耳へ刺さる程度、中音域以下はニュアンスゆたかに鳴った、

演目は、ブラームスの生誕190年だかに託けて、クララのなにか小品に始まり、次いでシューマンの、っのちにはひどく対立することとなる義父の作品の主題によるものと、ブラームスがシューマンの主題を用いたものとヴァリアシオンをふたつ演って休憩、っそしてブラームスのソナタ《3番》であったが、ヴァリアシオンについては、っいずれも初めて聴いたので、変奏が派手になってくるとこちとらそれと主題の原型との対照が不能となってやや不如意ではあったものの、っやはり初めて聴いたソナタは、っしかし明快な主題と構成と書法とであり、っそれがまっすぐにこころの琴線へ触れてきて、っひじょうにおおきな感銘を与えられた、

っその《3番》ソナタは、ブラームス弱冠20歳時の筆で、っしかし彼のこのジャンルの最期の作とのこと、若書きながら拙さと無縁というのはそのとおりで、っしかし、大半の主題を、っなに臆面もなく誰もが名旋律とおもうだろうようなさようの旋律としたところが、っこの作品の勝因であろう、主題を労作するためにかえって晦渋となってしまっている、っというどの作曲家もそうなり勝ちの円熟期の筆致は、っそれはそれでくりかえし弾き込み、聴き込んでゆくに価するだろうが、なにはなくともまず名旋律っ、っという楽曲ももちろん世に存するべきで、っこれはその好個の例のひとつにちがいない、っいまさら云われなくとも好楽家には自明理かもしれないが、っふだんはオーケストラばかりで、チェムバーを熱心に聴く習慣のないぼくは、っかかる楽曲をほんとうにぜんぜん識らないのである、

日置女史ご自身の手になる楽曲解説では、2楽章が恋の成就を伝え、っしかし3楽章の束の間の喜悦を挿んで4楽章は、葬送の足取りみたような3連符を伴なって失恋の苦味を吐露しているという、っそれが作曲家自身のプランニングなのか女史の解釈であるのかは不明だが、っぼくはその2楽章にいたくやられてしまった、っほんとうに恋に逸る若者のこころがそこにはらはらと鳴っているようで、後年の欝々たるブラームスとは肖ても肖附かない青春の息吹が迸り、狭い音場の内でそのひびきに包まれて、っぼくはそのとき俯いて聴いていたが、っせつなさで胸苦しく、目頭は熱く、っじつに膝へ泪を落とすに既であった、彼はここでクララへの思慕を表白し、っしかし4楽章で手ずからケリを附けているのだろうか、実生活ではついに清い関係を保った儘にして、、、

フィナーレがまた力作も力作、㐧2テーマは音符が細かくてこそ柔和も柔和であり、っふつうにソナタ形式なのかなとおもって聴いていたが、っその後、っおもいのほかワイルドな附点リズムが現われて、以降、多彩な変化を經廻る、っとちゅうから構成がよくわからなくなってしまいさえしたが、波状的に繰り出される楽想楽案がどれもこれもたのしいのでおもわずに夢中にさせられ、コーダともなるともはや破竹怒濤の勢い、演奏も眞に迫り、満堂を圧倒するにじゅうぶんの、っみごとな幕切れであった、



っお次はすぐあさって、初台にて、服部百音女史企画の公演で、井上キーミツが招かる、



みずの自作アルヒーフ

 

《襷  ータスキー》(4)

 

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《ぶきっちょ》(4)

 

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