Marc のぷーたろー日記 -96ページ目

「さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について」('21)

 

児童文学で知られるドイツの作家エーリッヒ・ケストナーが大人向けの長編小説として発表した「ファビアン あるモラリストの物語」を原作とし、ナチスが台頭しつつあった1931年のベルリンを舞台に、作家志望の青年が不安と焦燥を抱えながら必死にもがく姿を描いた人間ドラマです。主演はトム・シリング、共演はザスキア・ローゼンダール、アルブレヒト・シュッフ、メレット・ベッカー、ペトラ・カルクチュケ他。

 

まさに「文芸」作品。

 

が、あまりに陳腐なストーリーで退屈。

 

冒頭の、現代のベルリンの地下鉄の駅からワンカット長回しで1931年のベルリンにそのまま繋がる演出には目を奪われましたし、1931年当時のベルリンの退廃的な風俗をはじめ、その時代の「空気」の表現は興味深く、映像化する意味はあったと思いますが、とにかく話がつまらないのです。主人公も魅力的なキャラクターではないし。

 

主人公が20代半ばくらいまでの本当の「若者」なら、まだ受け入れられたのですが、当時なら完全な「大人」であるはずの30代という設定が主人公のキャラクター造形として違和感ありまくりで最後までしっくり来なかったのです。演じるトム・シリング自体はギリギリ20代に見えなくもないルックスで、それもまた逆に違和感に繋がっていたように思います。彼が本当に20代の時に、20代の設定で、この物語の主人公を演じていれば、相当に印象は違っていたと思います。

 

そういう残念感しか残りませんでした。

「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」('19)

 

アパルトマンの最上階で向かい合わせの部屋に暮らしながら、ひそかに愛し合ってきた2人の老女に突如訪れた危機を描いた人間ドラマです。主演はバルバラ・スコヴァ、マルティーヌ・シュヴァリエ、共演はレア・ドリュッケール、ミュリエル・ベナゼラフ、ジェローム・ヴァランフラン他。

 

Wikipedia「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」

 

同性婚が認められている国であっても、様々な事情で関係を隠している同性カップルは世の中にいくらでもいるはずで、2人が健康であれば、今の時代はそれなりに幸せに暮らせるでしょうけれど、どちらか一方の健康状態が深刻になった場合、その秘めた関係は極めて危ういものであることがよくわかる話。

 

ただただ切なく苦しく、観ていて辛いばかりで、このまま絶望的な全く救いのない結末を迎えるのではないかとヒヤヒヤしましたが、少なくともそこまでの悲劇的結末でなかったのだけはよかったものの、かと言ってハッピーエンドとも言いがたく(そもそもハッピーエンドになりようがない話ですが)、観終わった後にはもやもやした気分だけが残ってしまいました。

 

とても良くできた素晴らしい映画なのですが、当分は観たくないです…。

「ハッチング -孵化-」('22)

 

12歳の少女が森の中で見つけて自室に持ち帰り、大切に温めて育てた奇妙な卵から生まれた不気味なものの正体を描いたフィンランドのホラー映画です。主演はシーリ・ソラリンナ、共演はソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ヴォラネン、レイノ・ノルディン、オイヴァ・オリラ他。

 

Wikipedia「ハッチング -孵化-」

 

ホラー映画らしい恐怖感よりも、生理的な嫌悪感しかない気持ち悪いシーンのインパクトが強過ぎてダウン

 

そこさえ耐えられれば、サイコパスな母親に精神的な虐待を受けている少女の悲劇として観ることができるし、その観点では救いの全くない切ない結末。

 

ハリウッドのホラー映画とは明らかに違うテイストで着眼点も興味深いのだけれど、描写の気持ち悪さやストーリーの救いのなさなど、観終わった後に不快感しかなく、二度と観たいとは思えない映画でした。

 

ただ、主人公の少女を演じたシーリ・ソラリンナはとても大人びた雰囲気の美少女で将来が楽しみではあります。

「大河への道」('22)

 

江戸時代に日本初の実測地図を作り上げた郷土の偉人・伊能忠敬を主人公にNHKの大河ドラマを作り上げようと、地元の職員たちが悪戦苦闘するさまを描いた群像喜劇です。主演は中井貴一さん、共演は松山ケンイチさん、北川景子さん、橋爪功さん、岸井ゆきのさん、草刈正雄さん、平田満さん他。

 

Wikipedia「大河への道」

 

伊能忠敬を題材にしながらも、伊能忠敬はほぼ登場せず、それでも最終的には「伊能忠敬の物語」に見えるような作りも面白いし、純粋に物語としても「いい話」にまとまっていて一般受けしそうな内容。

 

僕も充分に楽しめたのですが、でも「映画」というよりは年末年始にテレビ放映される、ちょっと予算をかけた「スペシャルドラマ」という感じ。それが悪いわけではないんですけどね。

 

「犯罪都市 THE ROUNDUP」('22)

 

暴れん坊刑事マ・ソクトの活躍を描いた韓国のアクション映画「犯罪都市」('17) の続編です。主演はマ・ドンソクさん、共演はソン・ソックさん、チェ・グィファさん、パク・ジファンさん、ホ・ドンウォンさん他。

 

輝国山人の韓国映画「犯罪都市 THE ROUNDUP」

 

あぁ、面白かった (^O^)

 

前作同様、悪役がクレイジーすぎてアホなのに都合の良いところで慎重で賢かったりと、ツッコミどころ満載で、現実味はこれっぽっちもないけれど、主人公を一段と「スーパーヒーロー」レベルの超人として描いているので、安心して観られるし、ただただ痛快 (^^)v

 

第3弾も今年公開されるそうなので楽しみ♪

 

関連記事

「キッチン・ストーリー」('03)

 

1950年代のノルウェーの田舎町を舞台に、台所における独身男性の行動パターンを調べる調査員のスウェーデン人男性と、その対象になったノルウェー人男性の奇妙な交流を描いたコメディです。主演はヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールシュトローム、共演はビョルン・フロベリー、リーネ・ブリュノルフソン他。

 

 

戦後からまださほど時を経ていない時代を舞台に、(ナチスの攻撃を受けた)ノルウェーが(中立の立場で見て見ぬふりをした)スウェーデンに対して抱いている「しこり」を背景に絡めてはいますが、基本的には、人付き合いの苦手な独身初老男性と独身中年男性の心の交流をユーモアを交えて描いたハートウォーミングな物語。

 

今どきの言葉で簡単に言ってしまえば、いわゆる「ブロマンス」映画。

 

結末は切ないですが、爽やかさもあって後味は悪くないです。

 

ただ、そんな主人公2人の関係に嫉妬する隣人の独身中年男性が終盤で取る行動が、全く笑えない狂気に満ちたもので、物語全体の空気を悪くするレベルの不快さだったので、もうちょっと別の描き方があったんじゃないかなぁと残念でなりません。

「誇り高き男」('56)

 

強い誇りと信念に生きる保安官を描いた西部劇映画です。主演はロバート・ライアン、共演はバージニア・メイヨ、ジェフリー・ハンター、ロバート・ミドルトン、ウォルター・ブレナン他。

 

Wikipedia「誇り高き男」

 

いかにもアメリカ人が好きそうな西部劇でたわいない内容ですが、キャストがハマっているので、違和感なく気楽に観られます。

 

ただ、内容よりも印象的だったのは、保安官助手となった青年を演じたジェフリー・ハンターの瞳の色が極端に薄いせいで、遠目には眼球のほとんどが白目に見えて、ちょっと異星人感があったことかな (^^;;;

 

それにしても、主演のロバート・ライアンも悪役のロバート・ミドルトンも初老の貫禄だけれど、当時はまだ40代半ば。しかもロバート・ミドルトンの方が年下というのにはビックリ (@o@)

 

逆にジェフリー・ハンターは当時既に30歳近かったようですが、まだ20歳そこそこに見える若々しさ。

 

役者の年齢はわからんもんです (^^;;;

「整形水」('20)

 

幼い頃から容姿にコンプレックスを持っている女性が、浸すだけで理想の顔になれる「整形水」を手に入れたことから「美」に取り付かれて暴走していく姿を描いた韓国のホラーアニメーション映画です。声の出演はムン・ナムスクさん、チャン・ミンヒョクさん、チョ・ヒョンジョンさん、キム・ボヨンさん他。

 

Wikipedia「整形水」

 

ホラー映画としては面白かった。

 

同じ内容をそのまま実写にしていたら、グロテスクなだけで生理的な嫌悪感しか抱けなかったかもしれませんが、アニメーションにしたことでホラーとしての要素を前面に出すことができていたように思います。

 

ただ、アニメーションとしての「動き」が酷かった…。

 

大昔のCGアニメのようなぎこちない動きで不自然極まりなく、観ていて違和感でいっぱいになり、物語への没入を妨げていたのは本当に残念。

「地球の静止する日」('51)

 

宇宙平和のために地球へ警告しにやって来た異星人とのファースト・コンタクトを描いた古典的SF映画です。主演はマイケル・レニー、共演はパトリシア・ニール、ヒュー・マーロウ、サム・ジャッフェ他。

 

Wikipedia「地球の静止する日」

 

30年以上前に観ているのですが、すっかり内容を忘れてしまったので再見。

 

科学技術が地球よりはるかに進んでいる星からやってきた、計り知れない強大な力を持っていることが明らかな異星人に対して、あまりに好戦的すぎる軍人たちがバカすぎるとか、いろいろと突っ込みたくなるところはあるけれども、東西冷戦の初期にこういう映画が作られたことはとても重要。

 

それにしても、再び深刻な対立が生まれている今の地球の状況でこの映画を観ると、70年以上前と何も変わらないどころか、むしろ悪化しているようにしか見えないのが本当に残念でなりません…。

「恋をしましょう」('60)

 

億万長者のプレイボーイと舞台女優の恋を描いたロマンティックコメディです。主演はマリリン・モンロー、イヴ・モンタン、共演はトニー・ランドール、フランキー・ヴォーン、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト、デイヴィッド・バーンズ他。

 

Wikipedia「恋をしましょう (映画)」

 

30年以上前に観ていてあらすじは覚えているのですが、細かいところをすっかり忘れてしまったので久しぶりに観てみました。

 

テキトーな脚本だし、今の感覚からすると相当に間延びしているけれど、マリリン・モンローとイヴ・モンタンという当時の2大スターの共演、ビング・クロスビーとジーン・ケリーが本人役でちょっとだけ出演しているなど、娯楽性は充分。

 

ただ、イヴ・モンタンの歌はもっと多くてもよかったかな。そこはかなり物足りなさを感じました。