「告白」('10) | Marc のぷーたろー日記

「告白」('10)

湊かなえさんの同名小説 を松たか子さん主演で映画化した作品です。共演は岡田将生さん、木村佳乃さん他。

映画『告白』公式サイト
Wikipedia「告白 (湊かなえ)」
原作「告白」感想


原作を読んでいたこともあって製作発表されたときから注目していました。

中島哲也監督作品というと「下妻物語」('04)「嫌われ松子の一生」('06)「パコと魔法の絵本」('08) といったCGを多用した派手派手な映像のイメージで、正直なことを言えば僕の好みではありません。ところが本作は予告編で観た通り、全編通してくすんだ色使いの映像。その一方で、スローモーションや激しいカット割りなど、ところどころに過去の中島作品を思わせる映像があり、中島監督の特徴を残しつつ、新境地を拓いた作品のように感じました。

内容は、予想以上に原作通り。章毎に視点が変わる原作の構成をほぼそのまま踏襲。「少年B」の姉が登場しない代わりに「少年B」の母親の視点で語られるパートがある以外は原作と同じです。

原作を読んだときもその内容に衝撃を受けましたが、それを忠実に映像化したことで更に一段とヘビーになっていました。文字ならさらっと読める部分も映像で見せられるとかなりショッキング。冒頭から一貫して重々しい空気が漂い、ところどころにブラックユーモア的な要素は含まれていますが、観終わった後には相当な疲労感が残りました。この疲労感は原作を読んだときよりもキツいものがありました。原作を読んだ時にはどこか「軽さ」のようなものがあったのですが、映画ではそういった軽さを感じるところがなく、ただただ息苦しかったのです。

映画終了後、映画館内全体がこんなに重苦しく沈んでいたのは初めての経験でした。

あまりにヘビーなので万人にお勧めは出来ませんが、原作を読んだ方は是非映画も観ていただきたいですし、映画を観て原作未読の方には、原作を読んで欲しいと思える作品でした。


出演者に目を向けると、やはり主演の松たか子さんの文字通り「鬼気迫る」演技は大迫力。「凄い」という表現は彼女の今回の演技に対して使うものだと思います。本当に怖かった (((゜д゜;)))

また、殺された娘を演じた芦田愛菜ちゃんは現在日テレで放送中のドラマ「Mother」にも出演している子役。この子の演技 (セリフ回し) は生理的に受け付けないのでちょっと心配していたんですが、この映画ではあまりセリフがなかったので一安心。薄幸で儚い感じは良く出ていました。

他にも、生徒役の子たちが皆とても上手く、まさに「悪魔のような子供たち」を怪演。世の中の邪悪そのものを体現しているように見える悪魔たちにはリアルな恐怖を感じました ((゚m゚;)

「少年B」の母親を演じた木村佳乃さんの熱演ぶりも印象的でした。彼女の本来持っている「(悪い意味での) お上品」な雰囲気はこういう過保護、過干渉のモンスターペアレントにピッタリです。

出番は少なかったですが、「少年A」の実父を新井浩文さんが演じていたのはちょっとビックリ。中学生の父親役にしては若過ぎるし、彼の個性的な雰囲気で「平凡過ぎる父親」役はないだろうと思ったので。ただ、ほとんどセリフのないような役なので誰でもいいと言えば誰でもいい役でしたが (^^;;;


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