中の様子を見てみるとディスクが回っておらず、読み取り自体行なっていない様子。
このプレイヤーは私が社会人となった年に購入した、念願のCDプレイヤー。もう26年も経ちます。そら壊れてもしょうがないわなぁ(^^;
最近考えてみると20年以上というものがたくさんあり嫌になっちゃいます。人生ってあっという間ですね(笑)
壊れてもしょうがないと言いつつも、なんとかしてやろうという気満々。
どうせダメ元。やるだけやってなら納得できますが、何もせずに捨てる気にはなれません。
実は当初、ディスクが回らないと言ってもわずかに動く気配があり、ベルトの劣化位にしか考えていなかったんですよね。しかし考えてみればレコードプレイヤーじゃあるまいし、普通はダイレクトドライブですよね(^^;

今回オペをすることになった Technicsの SL-P999
当時はDAコンバーターのビット数が大きさが性能を示す指標となっていたので、ハイビット競争が激化していました。
その中でTechnicsの一連のプレーヤーは最高クラスの20bitに達し、しかもこのDACを4個搭載した「これでもか!」というような凝った物でした。
間もなく「コロンブスの卵的発想」の1bit DACに取って代わられてしまいますが、その間際の時代です。
最近オーディオにはすっかり疎くなってしまいましたが、今はまたマルチビットが見直されて、どちらが有利とは言えない状態のようですね。

中はこんな感じになっています。

基板部。

何だコレ! もしかしてこれが原因? だったらどうしよう…
どの道カラーコードが判別できないので交換不能。
み、見なかった事にしよ~っと(汗)
「ベルトじゃないということはモーターが逝かれてしまった?」 一気に道が険しくなってきました。
こわれたDVDドライブのスピンドルモーターをハイエナできないかと思いましたが、全然違うタイプのようで、そもそも物理的に無理。一先ずネットで情報を収集する事に。
ところで情報収集の途中、色々と面白い物を見つけました。
駆動系のある機器に付き物のトラブルといえばベルト劣化が何と言っても多いと思います。
たったゴム1本の劣化で捨ててしまったり、修理代掛けるのは勿体ないと自力修理に挑む人はたくさん居るようで、そういう人達の間で最近使われているのが「バンコードベルト」という物。
熱で簡単に繋ぐことが出来るので、様々な大きさに対応できます。
今回は必要ありませんでしたが、丁度友人のCDプレイヤーの修理話もあったので早速ポチりました。

あとCDプレイヤーや光学ドライブの消耗パーツ、ピックアップも同様それなりに需要があるらしく、ピックアップを専門に取り扱うお店も見つけました。
残念ながらSL-P999のピックアップはありませんでしたが、もし必要となったら興味のある方は覗いてみては?
今の時代、探せばこういったコアなお店も見つかる場合もあるんですね。
さてある修理系のサイトで、モーターに関する記事を見つけました。
先ずはここを参考に調べてみることにします。
調べ方はモーターの両極の抵抗値を、出力軸の角度をずらしながら測るというもの。
劣化が進んでいると抵抗値の差が大きくなるらしいです。因みに0Ωだとショートしていて既に昇天しているとのこと。



幸い0Ωでは無いので生きてはいるようです。
でもこの抵抗値の差が大きいのか小さいのかが判りません(^^;
そもそも普通のDCモーターっぽいので、直接電圧掛けて調べてみようと思い立ちました。
使われているモーターはマブチ製の「RF-310T-11400」という物で、定格は2.5Vでした。
早速2.5V印加してみると「ブーン」と元気よく回りました。
「あれ、大丈夫じゃん!」
じゃあ問題は何処なのか?
そう言えば情報収集した中に興味深い記事を見つけました。
「この時期のテクニクスのCDプレーヤーの、サーボ回路に使われているコンデンサ(松下製)は耐久性が悪く、これが原因でディスクが読みとれないこともあります。」
以前から出ていた読み込み不調はピックアップではなく、コンデンサの劣化によるものかも知れないですね。
と言うことはディスクが入った事が認識がされず、それで回らないのではないか?
他に考えられる手も無いので、ともかく手持ちのパーツである分だけでも交換してみることにしました。

まずサーボ部の基板に使われているケミコンの容量を調べてみました。
C101 22μF 16V
C102 1μF 50V
C103 22μF 16V
C107 100μF 4V
C108 47μF 6.3V
C109 1μF 50V
*C113 1μF 50V
*C115 1μF 50V
*C119 4.7μF 16V
*C120 4.7μF 16V
C122 22μF 6.3V
C127 100μF 6.3V
C128 100μF 16V
C145 100μF 6.3V
*C148 4.7μF 16V
100μFは1個しか有りませんでしたが、他は何とか有りそうです。
しかし交換作業に入ってから無極性コンデンサーが有るのに気が付きました。
頭に*印が付いているのがそうです。
4.7μFは1個だけ無極性のが有りましたが、結局交換できたのは次の通り。

◯ C101 22μF 16V
◯ C102 1μF 50V
◯ C103 22μF 16V
× C107 100μF 4V
◯ C108 47μF 6.3V
◯ C109 1μF 50V
×*C113 1μF 50V
×*C115 1μF 50V
×*C119 4.7μF 16V
◯*C120 4.7μF 16V
◯ C122 22μF 6.3V
◯ C127 100μF 6.3V
× C128 100μF 16V
◯ C145 100μF 6.3V
×*C148 4.7μF 16V
結局半分程度しか交換出来ませんでした。
まあそれでも良くなる傾向だけでも掴められれば収穫とします。
ついでにせっかくバンコードベルト買ったので、ローディング部のベルトも交換しておくことにしました。

バンコードベルトは熱で簡単に融着できます。
只直接炎を当てると変質してしまうらしいので注意です。

私はあるサイトで見掛けた方法を参考に、カッターナイフをバイスで固定し、刃をミニトーチで炙り、刃を挟むようにバンコードベルトの両端を当てて溶かしました。
そして素早く正確に両端をくっつけます。フリーハンドだとここが難しいです。
無事に融着できたらバリを取って出来上がり!

こんなんで本当に大丈夫かと思われるでしょうが、ガッチリかつしなやかなままくっつきます。
本当に今は色々と便利な物があるもんですねぇ。

Vプーリーですが、問題なく使えました。
さあ、早速組み直してテストです。
恐る恐る電源投入し、CDをセットしてみたところスルスルっとディスクが回転! 無事読み込みました!
そして再生もOK。やったー!
しかし色々といじってみるとダイレクト選曲がうまく行かないトラックが半分ほどあります。
やはり調整しないとダメなのかなぁと言う事でもう一度バラします。

トレイ部を取り外した状態
ミョーな物が貼ってありますが、制振の為に貼ったブチルゴムや鉛テープです(^^;

その中からサーボ部を外したところ

各調整部
①トラッキング・オフセット(VR103)
②トラッキング・ゲイン(TR G・VR102)
③フォーカス・ゲイン(FE G・VR104)
④フォーカス・オフセット(VR105)
⑤フォーカス・バランス(FO B・VR101)
⑥トラッキング・バランス(TR B・VR106)
調整すると言ってもド素人には何処をどう調整すれば良いのかサッパリ…
調整箇所によっては測定器がないと無理な所もあるらしいので、本当に一か八かです。
しかもこの調整部にありつくには上の写真のようにバラしていじっては組み直して確認という作業を繰り返さなければなりません。
あまりの気の遠くなる作業に挫折しかけましたが、ここまで来たら最後の踏ん張りと頑張りました。
因みに後になって気が付いたのですが、トレイを開けた状態にすれば調整部が覗けたんですよね(´□`
そうとも知らず元の位置に印を付け、一つ一ついじってはバラしては組み立てをひたすら何十回も繰り返します。
明らかに変わる所、変化がわからない所、変わったような気がする所とありましたが、結局の所、完全な状態には出来ませんでした。
「元よりはいいかな?」という感じですね。
やはりコンデンサーを半分しか交換できなかったのが響いているのでしょうか?
まあでも普通に聴く分には問題なく使えます。
聴けない状態が続いていると、普通にCDが聴ける事に感動します(笑)
まだまだ出来る限り頑張って貰いたいです。
尚、修理は言うまでもなく自己責任の上で。