外に出たいのですが、腰が痛くて、結局部屋で大人しくしているばっかりです。仕方ないので、久しぶりに自分の部屋で、映画を観ています。感想を、気の向くままに適当に書きたいと思います。
昨日観たのが、フランス人ルネ・クレール監督(1898-1981)作品の「巴里の屋根の下」(1929、仏)。
この監督だと他は「奥様は魔女」(1942、米)とか「禁じられた遊び」(1954、仏)という有名な作品ばかりです。自分は、その中でもこれが1番好きかもですね。
良かったです。パリに住む平凡な人間の恋愛を描いていて、主人公アルベールの歌う歌が作品のテーマ・ソングになっています。自分、映画は詳しくないんですが、この作品は映画史における、「詩的リアリズム」の出発点といわれているとか。またテーマ・ソングを積み重ねる今日のミュージカル映画の基礎もここにあるらしいとかでね。
初めは結構な場面で音楽がかぶさって、全編この調子かな、と思っていましたが、途中からセリフ少な目で、落ち着いた雰囲気の、映像を主体にした名画でした。
ここには第2次世界大戦以後に、国際化されてしまう以前の、パリの姿が自のまま映像に残されているんでしょうね。登場人物の衣装や髪形(特に女性)なんかは写真でしか見たことがなかった姿で、動いているのは初めて見て、妙に好奇心をかき立てられました。
当時はこんなのだったのかと、驚きながら観てました。
女性の姿はフラッパーとかいうんですかね?短い髪に巻き毛が絡んでいる。コルセットもしていない。当時のアメリカ映画は割と観てますけど、フランス映画は初めてですから、妙な気分でした。
今見ると女性の風貌は、少しばかり異様な雰囲気じゃないかな、と感じますね。美意識みたいなのは感じますが、その美意識がストレートには入ってきません。男の方は、今見ても割と普通なんですけど。サラ・ベルナールの写真を見てもそんなに綺麗に思えないというか、自分の中で、そういう類の感じと同じ印象だと思って、整理してますけど。
この映画には、当時のパリの下町の雰囲気があるということらしいですね。面白いです。時代は変わったんですね。
ジャン・ピエール・ジュネの「アメリ」とか、デ・パルマの「ファム・ファタール」とか、パリを舞台にした映画は面白いものがありますね。ドラマのセックス・アンド・ザ・シティーもラストはパリだったかな。この都市の、雰囲気そのものが、絵になるんでしょう。
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しかし、話は少し横道にそれますが、自分は特にデ・パルマ監督の「ファム・ファタール」(2002、米)は好きでしてね。開封当時ガラガラの映画館で観たんですけど。スーパーモデルの長い脚とパリの景色が良かったです。
大昔にこの作品の感想は書きました。最後にカメラマン役のアントニオ・バンデラスが壁一面にパリの写真を作り上げるんです。そこに坂本龍一のボレロ(ラヴェルの)崩れの音楽が良く合っていて気持ちが良かったです。
ギリシア彫刻のようなレベッカ・ローミンの肉体の美しさと、物語の、壮大なくだらない「オチ」。本心ではこれぐらいしょうもない映画が一番自分の心にぐっさりきます(これはミュージカル映画ではないです)。
ジュディ・ガーランド(1922-1969)が主演する、「若草のころ」(1944、米)。
「オズの魔法使い」(1939)で一躍大スターになったといわれるジュディ・ガーランド。しかし今この「オズの魔法使い」を観ても、セットはチープに見えるし、ジュディもややぽっちゃり気味で、なんだか間抜けに見えます。
それに比べるとこちらのジュディ・ガーランドは痩せていて確かにかわいく見えました。これが評判だった魅力だったのかな、という感じです。
しかし、太りやすい体質の彼女を太らせまいとして、会社は彼女にアンフェタミン(覚醒剤)をダイエット用に与えたせいで、後年彼女は薬物中毒に。そして睡眠薬の過剰摂取で、わずか47歳で亡くなってしまったのでした。ハリウッドの闇の部分ですかね。
映画そのものは、普通のミュージカル映画で、楽しかったです。
20世紀初めのアメリカ中流家庭の、それこそアット・ホームな雰囲気をコメディ風のシークエンスや、馴染みやすい歌を交えて描いていて、それなりの起伏はあるにしろ、最後まで安心して観ていられました。ほっとします。
テクニカラーもこういう映画だと美しく見えますね。当時の衣装とか、建物とか、カラーで観ていると楽しいです。
他にも色々映画を観たんですけどね。グレン・ミラー物語とか。印象に残ったものを気の向くまま書いてるだけなので。今回はこれぐらいにしておきます。