カルロ・マリア・ジュリーニによる、モーツアルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」全曲(1959)。SAX2369-2371(ED2)。
全く個人的なことですが、アナログ盤を聴くようになってから、名盤の基準が変わってしまいました。CDでも音質の問題はありましたが、それ以上に演奏家の演奏にこだわっていたように思います。ところがアナログ盤については、演奏そのものにおいても当然問題はありますが、それ以上にレコードとしての「価値」が強く意識されるようになりました。
骨董品の価値というのか。しかしそれもただ古ければ良いというのではなく、当然ながら「価値」の高いものは「演奏」と「音質」が良いということになります。
ジュリーニがコロンビアに入れた、モーツアルトのオペラ全曲、「フィガロの結婚」と「ドン・ジョバンニ」の初期盤はとても価値があるものの1つです(ステレオ)。特にオリジナルは、日本では通称アミコロ(多分、網目状の模様のついた、コロンビアのレコード、という意味だと思います)と呼ばれ、ブルー・シルバー・レーベルとして人気があります。実際ほとんど売っているのもみないですし、値段も高額です。
(↑いわゆる、アミコロ。これはクレンペラーのフィデリオ。バイノーラルの効果を意識したデザインでしょう。)
今回はその1つ型落ちの第2版(ED2)です。有名なSAXのマトリックスのついたレコードでは後半からこの、ハーフ・ムーンといわれるレーベルのようです。ジュリーニのモーツアルトはこのED2でも珍しいんじゃないかと思います。
(↑これは当盤のレーベル・デザイン。ハーフ・ムーンとか、赤音符とか呼ばれているようです。)
聴いていると、これは本当に素晴らしいですね。
本当に「音」を聴くレコードだと思います。高貴で気品のある音がします。ジュリーニの指揮は重厚ですが、滑らかでエレガントです。
歌手陣も豪華で、ドンナ・エルヴィーラにシュワルツコップ、ドンナ・アンナに若き日のサザーランド、タイトル・ロールにウィーンのバリトン、エーベルハルト・ヴェヒターが起用されています。
↑)エーベルハルト・ヴェヒター
↑)ジョーン・サザーランド
とにかく全体に品が良く、格調高い美しさが目立ちます。豊かな音色、かっちりとした歌わせ方であり、歌い方ですが、ジュリーニによってイタリア風の雰囲気が出るのが最高です。しかし、この時ジュリーニはまだ45歳らしいですが、若いのに素晴らしいと思いました。
↑)エリザベート・シュワルツコップ
先を焦るということがなく、リズムも動かすということがありません。どのシーンも豊かな歌に溢れ、モーツアルト特有の官能美も立派な構成で発揮されていきます。ドラマを強烈に優先するということではないですが、SAX盤の持つ、暖かい充実した、コクのある音質が聴く者を魅了します。
これぐらい重厚な指揮だと、ちょっと重苦しくなりそうですが、しかし不思議と、イタリア風といったらよいのか分かりませんが、華やかな香気が香ってきます。個人的はその辺が1番、聴いていて、堪えられないところです。
この、気品ある、香り立つエレガントな雰囲気は何物にも代え難く、最高の思いにさせてくれます。
本当に素敵です。
↑)カルロ・マリア・ジュリーニ
ジュリーニによる、ヴェルディ「レクイエム」(1964)。SAN133-134。初出盤。金色の中に白い犬のレーベル。
カルロ・マリア・ジュリーニが巨大な表現力を駆使して、繰り広げる歌の饗宴です。ショルティのような直線的表現ではなく、大河の流れのような歌心を駆使した表現で、ところどころ、特にソリストに歌わせる部分で、じっくりとかみしめるように歌わせています。歌手も豪華で、シュワルツコップの他、クリスタ・ルードウィッヒ、ニコライ・ゲッダなどです。
やはりジュリーニが指揮すると重厚さが目立つようになると思います。歌い手もそれに合わせての起用かもしれません。自分としてはもっと直情的にすっきりとやってくれた方が、ヴェルディのレクエムは聴きやすいでしょうか。相当にテンポを落とすシーンもあり、ちょっともたれるかもと思う時がありますね。
確かに、これぐらいしっとりとやってくれた方が美しく響く部分もあり、その辺は好み次第かと思いました。
巨大な壁画のようなレクイエムかと思います。









