カルロス・クライバーによる、ヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」(1975)。日本製のLP。
ウィーンの上流階級の雰囲気を盛り込んだオペレッタで、古典的な作品の中でも、格別に華麗で洒落た内容です。特に仮面舞踏会での印象的なワルツは誰もが聴いたことのある曲で、馴染みやすいものがあります。今ではセレブ達の年始の慰み物と化した、ニューイヤー・コンサートの定番です。
カルロス・クライバーのきりっとしたリズム、情熱的なアタック、透明感あふれる詩情が、現代の我々にもその美しさを十分に堪能させてくれます。天才の技です。
第2幕の結部はポルカから、参加者全員でのワルツとなり、この曲に私達が抱くイメージを十全に表現していると思います(*^^*)。
クレメンス・クラウスによる「こうもり」(1950)。LXT2550、2551。英国盤のLP。
存命時、クレメンス・クラウス(1893-1954)ほど、貴族的なウィーンの雰囲気を湛えた指揮者はいないといわれたそうです。彼は私生児でしたが、父親は皇帝フランツ・ヨーゼフの宮廷の騎士だったそうで、19世紀末のウィーンの宮廷の雰囲気を身に着けているようです。
作曲家R・シュトラウスと友好的な関係にもあり、オペラの台本なども提供しました(カプリッチョ)。反面、同僚のE・クライバーやクナッパーツブッシュがナチスに抗議して要職を外されたり、亡命したりする中、彼はナチスに取り入り党員にもなろうとしました。しかし、ユダヤ人を助けたりもしていたようで、独自の哲学を持っていたように思われます。R・シュトラウスにも似たようなところがありました。
(↑R・シュトラウス「カプリッチョ」。ウルフ・シルマーの演奏、マドレーヌをキリ・テ・カナワが歌います。1992年録音のCD。クレメンス・クラウスが提供した台本によって、オペラは音楽が先か言葉が先かという問題が取り扱われます。18世紀の、ロココ風のパリ郊外の城が舞台とはいえ、冒頭の、涼し気で、しなやかな弦楽6重奏から、19世紀末のウィーンを思わせるような、爛熟した、透明感ある美の世界が繰り広げられます。)
1939年、まだナチス政権華やかなりしころ、このクレメンス・クラウスはウィーン・フィルにヨハン・シュトラウス一家のポルカとワルツで構成したプログラムを提案、これが後のニューイヤー・コンサートとなります。
そういう意味ではこの「こうもり」は本場物の名録音として語り継がれてきたものです。
今聴くと非常に味わい深い演奏で、のんびりしています。現代の演奏家のように、飛行機で世界中を飛びまわって、忙しい演奏家達とは違う様子です。
1950年のドイツがまだ復興中で、ドイツの仲間たちとじっくり演奏している感じがあります。このような、現代から見ると時代錯誤的な演奏からは、ローカルな味わいと、その特有な瀟洒な感じが魅力かなと思いました。
(一応、ヨハン・シュトラウスとR・シュトラウスは別人です。(+_+)また、ヨハン・シュトラウス2世はヨハン・シュトラウスの息子です。(*^^*))



