近所のレコード屋さんがワゴンセールをしていましたので、半額で中古LPを複数枚購入しました。1枚500円もしませんね。('ω')ノその内から少し気に入ったものについて書かせてもらいます。
シャルル・パンゼラ(1896-1976)の「デュパルク歌曲集」(1931-1937)。
シャルル・パンゼラはスイスのリリック・バリトン。フランス歌曲に名唱が多いとのことです。
アンリ・デュパルク(1948-1933)はフランスの作曲家で、生涯に500程の歌曲を書いたとされていますが、自分でそのほとんどを破棄し、残っているのはわずか16曲といわれ、その内、12曲をパンゼラがここで歌っています。
パンゼラの歌い方は古く、ヴィブラードのかけ方なども完全に旧時代のものだと思います。しかしその匂い立つような雰囲気と、甘美な歌声は現代では得難い美しさがあります。幾分ベル・エポックな感じもします。妻のマドレーヌ夫人のピアノの伴奏も素晴らしいです。
デュパルクの歌曲は、少し精神的な重さを感じさせはしますが、感傷的な詩と共に、この世のはかなさと美しさとを歌っています。2曲目に収録されているジャン・ラオールの「フローレンスのセレナーデ」が好きです。
爽やかですが、ピアノの甘い伴奏に始まり、小さな小川を思わせるような歌曲です。
夜の中に 美しさ
ダイヤモンドと輝く星よ
瞳をお向け 瞼を閉じた
ぼくのいとしいひとに向かって
あのひとの眼に
大空の祝福を注いでおくれ
あのひとは眠っている・・・窓から
幸多いあのひとの部屋に忍びこんでおくれ
あのひとの白い肌の上に 口づけのように
夜明けまで 休んでおくれ
そうしたら あのひとの胸の思いが
東に昇る愛のお星を夢みますよう!
(訳詞 橋本一明)
フェルッチョ・タリアヴィーニ(1913-1995)による名唱集(録音年不明)。
自分の世代だとほとんど名前しか知らないような歌手です(パンゼラもですが)。テノールでとろけるような美声です。知性よりも、気持ち一杯、喜びを感じさせて歌うのが胸を打ちます。
1面はプッチーニの名曲が5曲。ボエームの第一幕「冷たい手を~」のアリアは誰が歌っても感動的です。フェルッチョは嫌味のない、細かいことを気にしないような歌い方ですが、気持ちがまっすぐ伝わってくる気がします。
どんな人柄だったか知りませんが、真面目で愛嬌のある人かな、という感じが脳裏をよぎりました。
他の曲も甘美に歌い上げています。ワゴンで買ってきたLPではこれが一番沢山聴いています。
歌うことが人間の営みであることを感じさせてくれます。
理屈はともかく、歌うことが楽しい人なんだと思いました。1995年に生地の養老院でひっそりと息を引き取ったそうです。



