最近読んだ本の感想を書きます。
北野武、ミシェル・テマン、松本百合子訳、「Kitano par Kitano」。ハヤカワ文庫。
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フランスのジャーナリスト、ミシェル・テマンによる北野武(ビートたけし)に対するインタビューをまとめた本。珍しく北野武の本音・・・らしい意見が読める面白い本。
自分の映画に対する解説などもあり、少なくとも彼の映画が好きな人は一読の価値がある。
正直、この本は結構感動して読んだ。個人的には僕はひょうきん族を見て育った世代なので、北野武(ビートたけし)には興味がある。
北野武の映画はヨーロッパで人気があるそうだが、日本ではあまり人気がない。だからなのかもしれないがフランス人ジャーナリスト、ミシェル・テマンに対して彼は熱心に語っており、興味が尽きない。
僕は映画館で彼の映画を観たことはないが、地上波で初めて「その男凶暴につき」を見たときはかなり驚いたことを憶えている。面白いと思ったし、何より、こういう才能もあるのかと驚いた。
僕の話で恐縮だが、北野武が監督した映画で、個人的に観た作品はそう多くはない。
「その男凶暴につき」、「3-4x10月」、「ソナチネ」、「キッズ・リターン」、「HANA-BI」、「座頭市」、「BROTHER」・・・ぐらいかな僕が観た映画は・・・。
「ソナチネ」は初期の頃の傑作だと思っていた。久石譲の音楽と良く合っていて、かっこ良かった。だが、反面この映画は救いがなくて、才能ある監督が才能に任せて撮ったような印象もあった。それに比べればあのバイク事故後に撮った「HANA-BI」には悲劇的な展開ながらも救いがある内容で、ベネチアが金獅子賞を与えたのも頷ける。
鬼才から本当の巨匠になったという印象だろう。
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後半はもっと多岐な問題について語っている。文化、貧困、政治、環境問題・・・それぞれに対する洞察は深くて刺激的だと思う。
80年代にテレビ業界の頂点に立ち、今度はベネチアで映画の賞をとる。・・・才能ある人物でもそのどちらかを達成すれば成功と呼べるだろうに、彼はその両方を成し遂げている。恐らく最低でも有能な人間の二人分は生きている・・・という感じだ。
まさに天才だと思う。
できうるならこの本が外国のジャーナリストに語ったものでなく、日本人に語ったものでないのが悔やまれる。僕も含め、改めて日本人ももっと本物の文化に触れるべきだと思った。
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音楽評論家のエッセイ集。
「レコード芸術」の連載をまとめたもので、賛否が分かれる日本の有名な音楽評論家によるエッセイ集の続編。
僕は若いときに頼りにしていたのでこの評論家は嫌いではない。
今回は音楽の話はもちろんだが、その外、落語、映画、グルメ、電車の話題など音楽以外の話が多いのが面白かった。
僕は落語は聞かないし、電車にも興味はない。しかし彼一流の感性で語られる話は躊躇がなく、面白い。
偏ってはいるが彼の独自の感性は確かに鋭い物があって、今回は最近亡くなった落語家の談志なども話題に上っている。
しかし・・・今回一番驚いたのがグルメの話だった。
本書の「脳髄がしびれる極上フレンチ」の項に次のようにある。
「・・・その分、フレンチを食べたい。パリに行くのもやめた。日本のほうがずっとおいしいからである。パリのラトリエ・ド・ジョエル・ロブションなど同じ2つ星なのに、東京の店とは雲泥の差があり、それは両方の店に行った人が等しく言うことである。」
ロブション!?
そんなところで食事なんてしたことない・・・。
正直ちょっと引くぐらい驚いた。ワインの話なんかもとてもついていけないが・・・読んでる分には楽しくはあった。
もう今年で83歳を超えるこの人物の文章に若々しさがあるのは、自分の人生を心から楽しんでいるからなんだろうと思える内容だ。

