R・シュトラウス3 |  ヒマジンノ国

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長谷磨憲くんち


多く聴衆ががR・シュトラウスの交響詩を聴いて、彼を内容のない交響詩の作曲家と断定し、離れていく。

だが、シュトラウスは20世紀の境目あたりまでは交響詩を書き続けたが、20世紀にはいるとオペラを書き出し、このジャンルでの独墺系最後の大家となった。


交響詩という、内容の複雑な観念性と、音楽の絶対性を併せ持つこのジャンルの大家であったいう事が、彼を有能なオペラの作曲家たらしめる事となった。

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<薔薇の騎士>


R・シュトラウスの交響詩が嫌いな人でも、彼のオペラ、「薔薇の騎士」は一度は聴いてみるべきである。きっとR・シュトラウスに対する印象が全く変わるはずだ。


ホフマンスタールとの共作で1911年に発表されたこの作品は正に極上の美感を誇るオペラで、モーツアルトのオペラ「フィガロの結婚」を下書きとしている。

3時間にもなる大柄な作品で、ワーグナー風の空間的で巨大な印象とモーツアルト風のソフトな味わいを併せ持っている。


長谷磨憲くんち

内容は、まるで少女漫画ような世界で、オーストリアの元帥婦人が自分の恋人、オクタヴィアンを諦念から、自分より若いゾフィーに譲る、という筋立て。

だが、男役のオクタヴィアンもフィガロのケルビーノ同様、「ずぼん役」で、女性のソプラノが歌うから、余計に少女漫画チックな印象が高まるだろう。


このオペラは、R・シュトラウスの前衛時代の終わりを告げる作品となった。そのため、大衆には親しみやすく、その楽しみは我々が稀に体験できる美しさを秘めている。


長谷磨憲くんち


R・シュトラウス、オペラ「薔薇の騎士」。ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

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昼下がりのまどろみ。そして貴族的で知的な響きはまるでセレブレーション達のために描かれた様な音楽。純白と淡いシルバーの色彩が期待を高める。


マルシャリンのモノローグ、オクタヴィアンとゾフィーの二重奏、そしてラストのマルシャリン、オクタヴィアン、ゾフィーによる三重奏はこの世の物とは思えない美しさだ。


エンターテインメント性と芸術性を併せ持ったこの美しい音楽に、黄金色のウィーンフィルとカラヤンサウンドがこたえる。

本当に素晴らしい音響美の体験ができる録音だと思う。


長谷磨憲くんち

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音の陶酔的な美しさはR・シュトラウスの特徴だが、いかんせん、オペラの作曲を始めたとは言え、R・シュトラウスの音楽は、イタリアオペラのように甘い感情に身を委ね、その感情に溺れる事が少ないのが現実だ。


それは、恐らく、彼の前衛的で知的な音楽を書いていた時代の名残だろう。

だが、1911年頃を境にR・シュトラウスは変貌し、過去の時代のロマン派を思わせる音楽も書くようになった。その中でも「薔薇の騎士」は特別で、イタリアオペラの様に、たっぷりと美しい感情に身を委ねる事ができる作品だ。

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「影のない女」や「カプリッチョ」等も柔らかい美しさがあるが、やはり「薔薇の騎士」にはかなわない。

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<サロメ>


「薔薇の騎士」はR・シュトラウスの最高傑作であると共に、代表作となったが、彼がまだ前衛的で、オペラを書き始めた頃、その内容はもっとリアルで鋭利だった。


それは我々にとって決して親しみ易いものではなかった。だが、そうした作品こそが、専門家や音楽家達にとってそれは注目すべき作品だったのである。


そしてこの「サロメ」こそ、R・シュトラウスが楽壇にオペラの作曲家として認められた初めての作品になった。


長谷磨憲くんち

R・シュトラウス、オペラ「サロメ」。カール・ベーム指揮、ハンブルグ国立歌劇場管弦楽団。

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R・シュトラウスはこのオペラでロマンの要素を剥ぎ取ってしまい、生々しい鋭利な告発的内容にしてしまった。

逆に言えば、確かにここには前衛の息吹がある。


しかし、この作品は決して心地良いものではなく、聞く側にもそれなりの覚悟が必要となる。発表された当時は不道徳的だとして非難された。


内容は新約聖書の有名な物語から取られているが、サロメの性格を強調するために、若干の変更があり、サロメ自身はより不気味に描かれている。


知的で鋭利な音楽だが、セリフや展開はワーグナーのオペラに良く似ており、ワーグナーに親しんだ事がある人なら、理解し易いかもしれない。


R・シュトラウスの友人だったカール・ベームはこうした作品にはもってこいの指揮者で、リアルな響きはサロメを再現するためにあるようだ。


とにかくリアルで、不安を掻き立てられるオペラだと思う。