ヴァイオリン協奏曲。サルヴァトーレ・アッカルド(ヴァイオリン)、BBC交響楽団、指揮サー・コリン・デイヴィス。
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チャイコフスキーの音楽は楽しい物が多い。その中でも次にあげるヴァイオリン協奏曲とくるみ割り人形の二曲は名曲である。
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チャイコフスキーは1877年から音楽好きの未亡人のフォン・メック婦人と付き合い、以後十四年間にわたり多額の年金を受け取ることになる。
二人が付き合ったといっても、それは男女の関係になったと言うわけではなく、もっとプラトニックなもので、その関係は一風変わっていて、お互いが直接会わないことを条件としたものだった。
会わずに済むよういいだしたのはフォン・メックの方で、その理由はよく分からない。チャイコフスキーも人間関係、特に女性関係に問題を抱えていたから、これは彼にとっても良い条件で本人もほっとしたに違いない。
いずれにせよ、お互いナイーヴな二人は互いが直接会わないことを条件に、支えあったのである。
富豪のパトロンを得てチャイコフスキーの生活は経済的安定を手に入れたことになる。
経済的独立を得ることが難しい当時のロシアの作曲家としてはこれは異例で、大変な幸運だった、と言えるだろう。
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フォン・メックと知り合ってわずかの頃、完成されたのがヴァイオリンのコンチェルトである。保養地のスイスのクラランで一ヶ月程の短期間で完成された。
ところが、この曲も出来栄えをたずねた音楽院の教授アウアーに「演奏不可能」と拒否されてしまう。後3年間も埋もれたままのなっていたが、その後演奏されるごとに徐々に人気を高めていった。
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これはとても楽しい名曲だと思う。世に言う、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスの三大ヴァイオリン協奏曲と比べても、ポピュラーな楽しさでは負けてはいない。
第一楽章で繰り返される、華麗で人懐っこいメロディーはまさにこのコンチェルトの魅力そのものだ。
くるみ割り人形組曲。小沢征爾指揮パリ管弦楽団。
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この組曲は、チャイコフスキーも三大バレエの一つ「くるみ割り人形」を作曲者自信がもともと15曲のものを8曲に編曲したもの。
全曲ポピュラーでそのほとんどがCMやBGMに使われたことのある名曲ばかりで楽しさの限りだ。
クラッシク音楽を聴いたことのない人でも、馴染みのある曲が一曲はあると思う。
初めの1曲目の「序曲」を経ると、2曲目「行進曲」、3曲目「金平糖の踊り」、4曲目「トレパーク-ロシアの踊り」、5曲目「コーヒー-アラビアの踊り」、6曲目「お茶-中国の踊り」、7曲目「あし笛の踊り」、そしてラストは8曲目の「花のワルツ」と続く。
二曲目の「行進曲」は生き生きとして可愛らしく、三曲めの「金平糖の踊り」はちょっとしたメルヘンだ。
金平糖の踊る様が、チェレスタを使ってまるで星が瞬くように描かれている。
六曲目の「お茶」は「中国の踊り」なんて副題が付いてるけど、我々にはまるで中国を感じさせない明るく楽しい曲。
最後の「花のワルツ」はチャイコフスキーでも出色の出来ばえだろう。柔らかなホルンの音に彩られて、華麗で美しく、こちらも瀟洒なメルヘンになっている。
他の曲も楽しい曲ばかりで、聴いているとまるで自分が子供に逆戻りしたかのような気になる。
バレエ音楽はチャイコフスキーの得意とするところだった。
この「くるみ割り人形」もそうした例にもれず、素晴らしい出来栄えだと思う。

