エリザベス・ベアの作品「HAMMERED」、「SCARDOWN、」「WORLDWIRED」の三部作。最近読んだSF小説。
主人公のジェニー・ケイシーことジェヌビエーブ・マリー・ケイシーは、かつて戦争で体の一部を失い、サイボーグ化された元カナダ軍の女戦士。
そして彼女を中心にして、西暦2060年代の地球を舞台に繰り広がられる人類の存亡を賭けた物語。
一冊目の「HAMMERED」を読んでいた頃は、なんだか盛り上がりに欠ける物語だと思っていた。
しかし二冊目の「SCARDOWN」からこの物語はにわかに盛り上がる。そして完結編の「WORLDWIRED」へと物語は一気に流れ込んでいく。
だが、完結編の三冊目は評価がわかれるだろう。僕はそこそこ楽しんだ。
SFなので完璧な物語を求める人などいないだろう。反面、そこには想像力を羽ばたかせた世界があり、それを楽しむ余裕が不可欠だ。異星人の存在あり、全人格プログラムあり、そして恒星艦ありとSFの要素は事欠かない。
ジェニーはもう50歳なのだが、友人のエルスペス、加えてガブの家族達との関係を描いた描写は思いやりに満ちていて、面白い。この女性作家の愛情を感じる描写だと思う。
そして、この物語で最も重要な点は、環境問題が取り上げられている、ということだろう。
その点でこの物語はとても心を打つ。
読んでいると他人事ではすまないと感じる部分が多々ある。
「SCARDOWN」からは壮大な物語の中から、作者の地球環境への憂慮が痛いほど伝わってくる。劇的な展開と共に、強く記憶に残るだろう。
現実の世界でもマグロの取引を禁止する条約がとりあえず否決されたばかりだが、この物語の中にも、未来のマグロを含めた地球全体の生態系への描写がある。
もし本当にエリザベス・ベアが描くような世界に未来がなっていくのだとしたら、我々の生活にも少しぐらいの我慢は必要なのかもしれないと思う。
読了後はそんな気にさせられた。
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結局、楽しみのみで読もうと思い手に取った小説だったのだが、思いがけず感動した。自分たちの未来を考えるために、楽しみながら読んでみるのも悪くないと思った。
