今回の訪日の第一の目的のミュージカルは夜の公演だったので、その日の日中は札幌市内をうろうろすることにした。私は以前に札幌訪れた時があり、観光名所の時計台(こじんまりしていて見逃しそうになった)などは見たことがあったので、特に訪れたい観光名所などもなかったので、フリーの日中は、一年中、温暖な気候の南カリフォルニアでは手に入らない冬服の調達の為に買い物に出ることにした。

 

さて、当日の朝、時差ぼけの為、少々早めに目が覚め、ベットから出ると、いつもより頭がふらふらしている。「いつもより」というのは、一か月ほど前から顔の痛みや痺れに効くという薬を服用し始めたのだけど、その薬が効いてくれえるのは良いのだけど、効いている時ほど、頭がくらくらしたり、眩暈がしたりして、船酔いのような状況になってしまう。この副作用を全く感じない時もあるのだけど、それが酷い時もある。その日は、今までにないまでに副作用が酷い朝だった。

 

眩暈の原因は分かっているので「きゃぁ、ふらふらする~」などと言いながら、普通の生活をしているので、その日も、いつもよりふらふらするから、気を付けながら歩こうと思う程度で、外出した。今まででは、日常生活を送っていると、眩暈が落ち着いてくる時もあるのだけど、その日は、酷いふらふらが続いていた。階段を踏み外してしまったり、服の試着で片足で立とうとすると倒れそうになったりとなったり、吐き気までも出てきた。これはちょっとやばいかもと思い、買い物を早めに引き上げてホテルに戻ることにした。

 

ホテルに戻り、念願のミュージカルを見に行くまでは2時間ほど。横になったら少々楽になるだろうと、ベットの上にゴロリとなり(横になっていると眩暈はしない)休んでいると、どんどんと体が寒くなる。めまいや、吐き気の他に寒気というのはちょっと不味い、でも、念願のミュージカルを観に行かないというチョイスはない。大リーグの山本選手の言葉をもじれば「Not Going is not an Option」である。

 

ホテルの部屋で「寒い、寒い」と、毛布を掛けたりしている時に、ハタと目が入ったのが部屋の空調の強さを調節するノブで、それがOFFになっているではないか。ホテルにチェックインした後に、空調の温度を調節しようとしたのだけど、安いビジネスホテルなので「各部屋で温度の調節は出来ません」と張り紙があったので、空調設備は触れないと思っていたのだけど、壁のノブには「OFF、弱、中、強」という表示がある。

 

そのノブを「中」の辺りに回して、少々経つと、だんだん部屋が暖かくなってきた。寒気がしたのは、私の体調のせいではなく、寒い北海道で、暖房の無い部屋にいたからだった。部屋が暖かくなり、寒気も収まり、はたまた、少し横になったことで、眩暈も落ち着き、歩いたり、座ったりするくらいなら、大丈夫な位まで体調は回復、ご機嫌でミュージカル鑑賞に向かったのだった。

 

今回の札幌への旅は一人旅で、ミュージカルを見るだけの為の旅として予定したので、札幌滞在期間は、それこそ、一泊でも構わなかったのだけど、夜の公演に行くのに午前中の便で札幌入りするのも、悪天候があるときわどくなってしまうので(実際、私が東京を立つ前日くらいまでは大雪の悪天候で、少々冷や冷やした)二泊でもよかったのだけど、アメリカへの帰国は、今冬の両親のアメリカ旅行と一緒の便に合わせる為にもう一泊することにした(両親の家は成田からは遠いので、たった一泊の為に両親宅へ戻るのは大変)

 

そんなわけで、札幌滞在が丸一日余ったので、この際なので、スキーをしに行くことにした。事前に色々と調べたところ、私の滞在したホテルの近くから、テイネスキー場までバスでの往復、そしてリフトチケット込みで、とてもお手頃なツアーがあったので、それに参加することにした。ツアーの申し込みをした時は、雪不足で、オリンピアエリアは閉まっていて、ハイランドエリアのみのツアーだったのだけど、私がツアーに参加する数日前の北海道での大雪で、雪不足も解消でスキー場も本格稼働を始めたという、良いタイミングだった。

 

お正月休みの少し前の週日のツアーだから、参加する人は少ないのかもしれないと思っていたのだけど、大型バスがいっぱいになるくらいの参加者がいた。その半分は外国人(といっても、私も外国人だけど)私はバス酔いをするので、一番前の席に陣取って聞こえたガイドさんと運転手さんの話では、その日の参加者は皆時間通りに集合してくれて、定時の出発となった。

 

ツアーの情報では、二時間ほど、バスに揺られるということだったけど、一時間と少しでハイランドエリアまで到着。そこで、スキー用具を借りる手配もしていたので、早速、用具を借り、ゲレンデへ出た。同じツアーの人の殆どが「簡単なスロープが多い」というオリンピアで降り、オリンピアのゲレンデではそれなりの人でが見えたのだけど、ハイランドのゲレンデはガラガラ。早速山頂までの4人乗りリフトに乗り込んだ。

 

滑りだした午前中は、圧縮された雪が凍ってしまっていたところが多く、アイスバーンも所々にあり「パウダースノーだと聞いていたのに、、」とちょっとがっかりした。しかし、昼頃からは雪が降ったり晴れたりの天気で、降ってくる雪はふわふわのわたのよう。これこそがパウダースノーだ、と素晴らしい雪を堪能することが出来た。

 

数日前まで閉まっていたというハイランドからオリンピアまでのルートも開き、オリンピアまでも行った。しかし、こちらのスロープは初心者さんばかりで、スキー(スノーボード)教室も沢山あり。とりあえず、一通りのゲレンデを滑ってから、ハイランドに舞い戻った。私が乗ってきたバスにも、ゲレンデにも中国語を話す人が沢山いたけれど、スキー教室まで中国語でやっているのには(それも、一つ二つではなく、結構な数)驚いた。

 

 
前回のオリンピック(だと思う)の聖火台を見に行ったけれど、近くから見るとやけにボロっとしていた(笑)
 

 
ハイランドの山頂付近からの眺めは爽快。
 
山頂ではマイナス8度とあったけれど、結構寒かった。アメリカでスキーをする時は、ヒートテックに長袖者シャツの上にスキージャケットを羽織るだけでよい私だけど、念のため、その間にセーターを着て行って正解だった。
 
思いっきり、スロープを滑り、30分ほどのランチを挟んでのトータルスキータイムは3時間半くらい。それでも「沢山滑った~」という感じだった。帰りのバスまでは2時間ほどあったので、有料ラウンジで時間を過ごすつもりでラウンジに行くと、集金している人がいない。スタッフさんが私の顔をみても「どうぞ~」という感じで、何処かへ行ってしまったので、そのままラウンジへ。結局、支払いをもとめられることもなくラウンジを使用させてもらった。
 
帰りのバスでは、私は出発時間の10分弱前にバスに行ったのだけど、殆どの人がもう着席していた。私の後に一組のお客さんを乗せ、定時より数分前出発となった。
 

 

私は帰りのツアーバスにもハイランドで乗ったのだけど、他のお客さんを乗せるためにバスはオリンピアにも立ち寄った。その時には、公共交通機関のバス停の前には行列が出来ていて、ツアーバスに乗ったのは正解だったと思った。

 

札幌に到着した翌日は、今回の訪日のメインイベントのミュージカル・エリザベート鑑賞だった。
 
私はずっと、ミュージカル・エリザベートを見たいと思っていた。元々ミュージカルは好きだし、ヨーロッパの貴族文化にも興味がある。勿論、王妃(皇后?)エリザベートの伝記は数冊読んでいる。このミュージカルの事は、前から知っていたけれど、何故かアメリカでは上映されていない。よくよく調べると、ウィーン発で、原作はドイツ語。アメリカ人は外国語のミュージカルを英語に翻訳して上映しようなんていう人はいないだろう(アメリカ人は、基本的にアメリカ人が一番偉いと思っている)ウィーンで原作版で見るのは、ドイツ語が全く分からない私のオプションではない。
 
この公演をやると聞いたときは「いいなぁ、みたいなあ」と思うくらいだったけれど、私が是非、生の舞台を見たいと思っていた山崎育三郎さんが出るというではないか。そこで「みたいなぁ」から「観に行かねば」になった。山崎さんは、地方公演でしか出演しないというので、地方公演のうちで、札幌公演の日程が私の予定に一番組み込みやすかったので、札幌公演に決めたのだった。東京公演や大阪公演はチケットの争奪戦になるだろうというネット予測もあったので、札幌公演で返ってよかったのかもしれない。
 
チケットを取る(抽選に申し込む)のに、演者スケジュールはもちろんチェックしたけれど、舞台では当日のキャスト変更などという事もあるので、少々心配していたのだけど、劇場に到着して、キャスティングリストを見ると、山崎さんはちゃんと出演するとのことで、ホッとした。
 
 
さて、ミュージカルのストーリーは、特に調べずに劇場に足を運んだのだけど、ストーリーは、なんだかファントム・オブ・オペラとか、前回の訪日で観たゴースト・アンド・レディーの二番煎じみたいな感じがするなぁ、何故エリザベートの半生をなぞる内容ではいけないのだろうかと思っていた。それでも、ストーリーは進むにつれて面白くなったと思う。しかし、いくら2時間以上の演目とはいえ、エリザベートの半生の山場だけを、フィクションを交えているので、色々は背景が省略されてしまい、ちょっともったいないと思う面もあった。
 
さてさて、楽しみにしていた山崎育三郎さんの歌だけれども、テレビで聞いてきた歌声と違う。音程が低いからのか、舞台だと、もっとしっかりとお腹から声を出すからなのだろうか。オペラグラスを持って行ったので、アップで見てみるけど、オペラグラスのピンが微妙だったし、メイクが濃いからか、本人だとは認識でない。それでも、歌唱力は断トツ(偏見もはいっているかも)で、他の役者さんを「食ってる」と思った。しかし、山崎さん演じるトートは、所謂悪役の立ち位置で、劇が進むにつれて、トートが出てくると「あぁ~、だめ~」(トートが出てくると言いうことは悪いことが起きる)と、私の当初の目的とは矛盾するような事を考える様になってしまった(笑)
 
さて、ミュージカルが終わり、何度かのカーテンコールの後、珍しく主演の方がしゃべりだした。なんでも、札幌公演は後、一日かワンショーしかないのだけど、ダブルキャストでやっているメインキャストさん達は、この公演で千秋楽となるそうだ。なんでも、札幌でのエリザベート(ミュージカル?)公演は初めてだったそうで「札幌の皆さんありがとう」とのことだった。そして「他の町や、はたまた他の県からも来てくれているそうでありがとう」と言う。思わず「他の国からも来てますよ」と返答しそうになった。
 
そして、最後のカーテンコールで幕がしまるところで、山崎さんは(いつもの様に)投げキッス。「キャー💕」と黄色い声が上がったので、私と同じ目的で来ているファンの方がそれなりにいたようだ。
 
ミュージカル自体には、満足だったし、千秋楽の挨拶では、ちょっと得をした気がした。
今回の訪日の目的は、札幌でのミュージカル鑑賞で、当初は、アメリカから札幌までの数日の滞在で帰国しようかと思ったのだけど、一週間程の滞在に伸ばしたほうが飛行機料金が半額程になるので、東京での数日の滞在を加えたのだった。
 
そして、東京での丸三日の滞在を終え、札幌に旅立った。こちらも、飛行機料金の都合で、アメリカから成田までの往復と、東京から札幌までの往復は別々に購入して、日本国内はLCCを使うことにした。
 
さて、両親宅から、電車を乗り継いで三時間、成田に到着。LCCのチェックインではほぼ無人のキオスクで手続きを終える。荷物を預ける所は、流石に有人だったけれど、カウンタに近づくと英語で話しかけられた(若いお兄ちゃんだったのだけど、綺麗な英語で、多分アメリカからの帰国子女(?)だと思う)ここ数年の訪日では、英語で話しかけることも多く、やっぱり「外人」に見えるのだろう。でも、自分では何処で「外人感」を醸し出しているのかよくわからない。あまりにラフな服装か、全くのすっぴん顔で歩いていることか?
 
成田を午後5時ごろ出発、新千歳到着午後7時半の便だったので、どこで夕食を食べようかと考えていた。電車での移動中にちょっとお腹がすいてきたので、東京駅でサンドイッチを購入、成田エクスプレスの車内で食べた。こちらは、アメリカの日系スーパーの物より、パンもふわふわ、ハムも美味だった。成田では、チェックインから搭乗まで40分くらいはあったので、成田で持ち帰りの食事を買って、飛行機の中で食べても良いなと思っていたのだけど、ゲートに着くと、その周りには何もない。飛行機の離陸時間の20分前までにゲートに来ないと乗れませんと注意書きがあったのだけど、ゲートから飛行機まではバスに乗る経路だった。そして、結構時間に余裕を持って成田空港に到着したつもりが、バスに乗るまでは10分ほどの待ち時間しかなかった。
 
ここでも、夕食を食べ損ね、新千歳空港に到着。空港にはレストラン街があるようだったので、そこで食べようか、と思ったのだけど、夜の8時にもなると、新千歳空港は店じまいを始めるようで、また、夕食を食べ損ねてしまった。
 
電車で、札幌市内までは40分ほど。今回のホテルは、お値段でビジネスホテルで、便利そうな立地の所を選んだのだけど、駅構内から出ると、もう、ホテルの入り口が見えた。一人部屋だし、とても狭い。大きなスーツケースを広げたら歩くところがなくなりそうだ。
 

 
駅に激近の利点の他にも、このホテルの隣には、コンビニがある。取り損ねた夕食は、コンビニの肉まんとから揚げとなった。
 

 
日本のコンビニの肉まんやから揚げは美味しいと聞いていたけど、その評判に違わず美味しかった。実は私は日本に住んでいた○十年前も、コンビニのスナック類は食べたことがなかったので、これが「コンビニ飯」の初体験となった。
 
今回のホテル選びでは、大浴場があることも条件の一つで、夜食を食べた後は、大浴場で、久々の湯舟に浸かった。
 
札幌までの旅路、滞在は「So far so good」(今のところ満足)である。
今回の訪日での東京滞在は、四泊五日で、滞在中の毎日に色々なイベント行く予定が入っていた。そして、出発前日にはショパンコンクールの優勝者(エリック・ルー)のリサイタルに行く予定になっていた。
 
エリックルーのリサイタルは15日と16日の二日のみで、チケットは抽選制だった。私は15日にしか行けない旅行日程だったので、抽選に当たるためにも、あえて二階席を第一希望として抽選に申し込んだ。その戦略が正しかったのか、見事当選した。席は、二階席でもステージにほぼ近い位置だったのは良いのだけど、残念ながら、舞台に向かって右側、ピアニストの手元は多分全く見えないだろうという位置だった。
 
当日、会場に着くと、席の位置は思っていたより舞台、舞台の真ん中に置かれたピアノに近かった。同伴した母は「うゎ~凄い席の場所じゃない」と感激していた。さて、コンサートが始まると、ピアノから真っすぐ音が伸びてくる位置で、とても良いと思った。
 

 
プログラムの写真はショパン国際コンクールの時の物なので、FAZOLIを弾いているけれど当日はスタインウェイだった。先日、弾き合い会でお会いした方が、エリックルーは調律にとてもうるさいと言っていたのだけど、中休み中に調律師さんが舞台に出てきてピアノの調整をしていた。
 
実は、私はショパンコンクールの配信を全く見ていなかった人で、ショパンコンクールに関するニュースやドキュメンタリーを通してしか見ていないので、エリックルーの演奏というは聞いたことがなかった。そして、今回のリサイタルを聞いての感想は、とても礼儀正しい演奏だなという事。プログラムには、前回のショパコんでは個性的な奏者が多かったけれど、今回は「演奏技巧と表現力」の競演だったとあったけど、これぞ「ザ、コンクールでの弾き方」と言った感じだったと思った。でも、トップピアノから直接届くトップピアニストの演奏は、とても心地良い物だった。
 
先日のコンサートの件もあるし、アンコール曲はないかなと思っていたのだけど、なんと三曲ものアンコール曲があった。それでも、拍手は鳴りやまず、劇場の方が「早く帰れ」と言わんばかりに会場が明るくなり、観客は名残惜しそうにホールを去ったのだった。