私がリタイア直前に勤めていたのはお役所で、一年を通して一定数のスタッフを出勤させていないと業務が回らないので、有給休暇は皆持ち回りをしないといけなかった。そのため、有給休暇の申請は年に二回の申請期間に出すのが基本だった。勿論、家族の不幸や病気などで有給を使わないといけない時は、前日申請でも認められるし、皆が休みを取っていない時期ならば、申請期間に申請していなくても認められるのが普通だったけれど、基本的に半年ごとに旅行の予定などは立てるのが基準だった。
 
一年半前に上司にリタイアをするので退職する旨伝えた時に、それまでよりも沢山旅行に行く予定なのかと聞かれたけど、その時は、冬に一週間、夏に一週間の旅行の頻度を変えるつもりはなかったのだけれども、休暇の「予約」を取らなくてよい状況になったら「気が向いたらふらりと旅行に出かける」様になってきた。
 
元々、2025年終わりから26年初めの、南半球での夏の時期に南極旅行に行くという予定を立てていて、予約は最低でも一年前にしないといけないと思っていた。少々早めに昨年(2024年)の10月ごろ、ツアー会社に申し込みをしようとすると、第一希望の日程ではもう予約が埋まっていると、2026年の2月のツアーに申し込まないといけなかった。
 
2026年初めに、大きな旅行を控えていると思うと、あまり大掛かりな旅行は控えたほうが良いかなぁと思い、今年(2025年)の夏に近場のトロピカルな海にでも行こうかと6月にバルバドスに行って来た(アメリカからバルバドスというのは、日本からグアムへ行くというくらいの感覚)しかし、その旅行が近づいたころ、旦那の会社で有給休暇を7月初めに消化するようにと言う指示が出て、結局日本に一週間の旅行をしてきてしまった。
 
二カ月続けて海外旅行に出てしまったので、この先は冬まで、おとなしくしているつもりだったのだけど、日本から帰ってきて一か月も経つと、ムクムクと「また旅行に行きたい」と思い出してしまった。それに拍車をかけたのが、新しいダイビングギアを購入してしまったこと。
 
私は6月にはスノーケル用のフィンをダイビングでも使っていて、次のダイビング旅行の前にはダイビング用の推進力を出せるフィンに買い替えようと思っていたのだけど、旦那がそれを先取りして、新しいフィンをネットでポチっていた。彼のフィンは、40年位使っていて古くなっていたとのことだけど「思いついたらすぐ購入」の行動パターンのある彼は、ササっと自分の物をオーダーしていた。
 
私はフリマで、良い物が出てきたらと、急いで買うつもりはなかったのだけど、フリマでチェックしてみると、何と旦那と色違いで私のサイズに合いそうなものが売りに出されていた。新品だと100ドル以上するのだけど、フリマでは40ドルで出品されていて、持ち主さんは早く売りたかったのか、値段を20ドル(3000円ほど)に値下げをしていた。早速、売り手さんに連絡、実物を見せてもらいうと、まだまだしっかりしていて、試着(試装着)でも問題なかったので、購入してきた。
 

 
こうやって、新しくギアを手に入れてしまうと、使いたくもなる。どこかに遊びに行きたいという思いとも重なり、ロスカボスへ、ダイビング旅行に行くことにした。我々の住む町はメキシコとの国境に接しているので、徒歩で国境を渡り、そこからメキシコ国内線に乗り込んで2時間ほどでロスカボスへ行ける。週末を利用して三、四日もあれば十分遊べる。感覚としては、日本から韓国に週末旅行をしようというのと似ている感覚だと思う。メキシコ国内のLCCを利用して、週末旅行パッケージにすると、随分お安く航空券とホテルを予約できた。
 
秋に向けて楽しみが出来た。

昨年の秋ごろだと思うけれど、チェロのレッスンの時に、私のピアノ教室でのピアノの発表会の話をしたことがあった。すると、先生が、ご自身の個人的(音楽教室を通してではなく)に教えている生徒たちの発表会をしたいと思っていたといい、会場などのことを聞かれた。我々の街では、市立図書館のミーティングルームは無料で借りることが出来、ピアノだとピアノがあるところで、使用料を払わないといけないけれど、チェロだけだったら、市内のどの場所でも基本的に借りられるだろうとアドバイスをしておいた。

 

年明けになったら、場所を予約して発表会をしたいと言っていた先生だけど、年が明けても、2月、3月になっても発表会の日が決まったという話は聞かなかった。同じ先生に習っている友人は、先生が発表会の準備をしていると言っていたけれど、私には何も話がないまま、4月になり、5月になった。

 

すると、先生は「発表会を予定しようと、ずっと思っていたけど、色々忙しくてプランが出来なかった。夏休み(先生は大学院生)になって、ようやくプランする時間が取れそうだ」と言うではないか。そして、レッスンで合格になった曲を発表会で弾くのはどうだろうなどと聞いてきた。でも、私がレッスンでやっているのはエチュードと鈴木なので、発表会で弾くとなると、ちょっとつまらないような気がして、家にある(私のレベルでも弾けそうな)「チェロ名曲集」などをパラパラと見ていた。

 

しかし、次のレッスンでも、その次のレッスンでも、発表会の日時や、本格的な選曲についての話はないまま、7月も終わりになってしまった。8月になると、大学も新学期を迎えることになるし、実際に秋学期のコーススケジュールの為のレッスン日時の変更が必要になったりした。

 

アメリカの普通の(親がとても裕福とかでない)大学生の多くは、夏休みにはバイトをして、秋から始まる新しい学年の授業料や生活費を稼ぐ。先生も、夏休み中には、子供たちが夏休みに通う音楽教室で講師をする予定だと言っていた。やはり、夏休み中といえど、忙しくなり、発表会は、またもや流れてしまった様だ。

 

 

 

Y先生とのピアノレッスンで取り組んでいる曲の一つのバッハのインベンション10番では、音の動きがだんだんに指になじんできた。Y先生は、インベンションの様にテンポの速い曲でも、特に早く仕上げる必要はないという主義なのだけど(動画などで、早いテンポで弾かれているのは、速さ比べさながらに早いテンポになっていってしまったというものも多いとのこと)今回の10番がどれだけ早く弾けるのだろうかと興味がわき、少々テンポアップして弾いてみた。

 

自分が弾けそうな範囲での速いテンポで適当に弾いてみて、メトロノームで速さを図ってみた。今までだったら、自分で弾けるマックステンポでも、指定テンポの半分くらいにしかならなかったのだけど、何と、今回の10番の場合は、指定テンポの90%位に達していた。Y先生が常に言ってる「一番楽に、最小限の動きで」ピアノを弾くというのは、大きな動きで弾いていると、ゆっくりなテンポの曲は良いけど、早いテンポになると動きが追い付かないというのも一つの理由なそうだけど、私もY先生とのレッスンで、だんだんに無駄な動きが取れて来て(私なりの)最速なテンポでも弾けるようになってきたのかもしれない。勿論、早いテンポで、最初から最後まで、すらすらとは弾けないのだけど、少々練習すれば、弾けなかったところも弾けるようになりそうな気がした。

 

そんな練習箇所として、最初に目を付けたのが、片手でメロディーを弾きながら、反対の手ではトリルを弾き続けるところ。自分ではしっかりと拍を取りながら弾いていると思うのだけど、弾いているうちに右手と左手がずれてくる。私は元々曲を弾いているとテンポが速くなる癖があるし、トリルの様に同じ動きをしていると、特に早くなる動いをしていると速くなりやすので、右手のトリルをメトロノームに合わせて弾く練習をした。右手のメトロノーム練習では、頑張ってテンポをメトロノームに合わせないといけないようなことはないく、その感覚を持ったまま両手で合わせるのだけど、それでも両手がずれてくる。

 

そこで、今度は一応、左手のメロディーパートをメトロノームを付けて弾いてみると、左手のメロディーパートが所々で崩れているのに気が付いた。ゆっくりめのテンポで弾いていたレッスンでも、自分ではそんなに走っていないと思っていたのだけど「走らないで!」と言われていた。それは走っていたわけでなく、左手が転んでいたのだった。右手のトリルは一定テンポで弾けていたけど、左手が転んでしまうので、転んだ音ではテンポがずれる(一瞬早くなる)ので、それが右手と左手がずれる原因だった。

 

何となく「弾けなぃ~」と言っているのではなく、こうやって細部にわたって弾けない原因を追究してみると、自分が当初に思っていたのとは違う「弾けない理由」が明らかになるものだと、自分のことながら感心してしまった。

ピアノを弾く時の体の使い方を見直すために受けている、K先生とのピアノレッスンでは、数ミリ単位ではないかと思えるほどの細かさで体(手や指)の使い方について教わっている。使っているのは、音並びは簡単だけど、ピアノを弾くための基礎技術習得にたけているチェルニー100番を使っていて、週に一度のレッスンで、練習曲を一つか二つじっくりと見ていく。

 

これは、私自身も気が付いていた事なのだけど、私の癖は手が平べったくなってしまうことで、平たい手で指をパタパタさせて弾くに近い状態になってしまう。K先生によると、これだと指先のコントロールが効きづらく、意識している音が出せなかったり、はたまた、意識していない音が出てしまうという。たしかに、指を立てて(丸い指で)弾いたほうが、指先や音色のコントロールがしやすい。

 

自分では指を立てていると思っているのだけど、先生が見ると指の立て方が足りないようで、よく「もっとしっかり指を立てて、鍵盤の上から、指をストンと落とすこと」とアドバイスをもらう。

 

先日のレッスンでも、自分的にはちゃんと指、つまり音のコントロールをして、しっかりと弾いているつもりだったのだけど、先生は「もっと指を立てろ」と言う。先生は、指を立てると「ピアノの木をカツンと叩いた良い音がする」と言い、レッスン中に先生がお手本として弾いてくれたのだけど、先生が良い音と言うのは、私には、子供っぽくて、ちゃちな音に聞こえるけど、前回のレッスンでは、そう感じたことを口に出すのがはばかれて、そのまま流してしまった。

 

K先生は、ピアノ初心者から中級者のみにしか指導をしていなくて、ご本人も「上級者になったら他の先生に行ってもらう」というポリシーだと言っていたけど、この「子供っぽい音」が、ピアノ初、中級者が目指す音なのかもしれない。上級者指導もしているY先生によると(初、中級者向けとされる)バロック、古典と(上級者向けとされる)ロマン派では求められている音色が違い、バロック、古典の音色、弾き方でロマン派以降を弾こうとすると音楽がハチャメチャになるというので、K先生の音はバロックとか古典のみの音なのではという気もしている。

 

でも、私はバロックや古典だって、子供っぽい、安っぽい音では弾きたくないし、良い音色だけど、しっかりとしていたり、かわいらしい音が出せるのではないかと思っている。先生が「良い音」として目指そうとしているのが、私にとっては「子供っぽくて避けたい音色だ」とやはり伝えたほうが良いのか、伝えずに割り切って、これは子供っぽい音色を出す弾き方だと、自分の引き出しを増やす訓練だと思って続けるのが良いのか迷っている。

 

少々前になるけれど、アマオケでショパンのピアノ協奏曲(の内の一楽章)を定期公演で弾くことになった。ピアノのパートは同じ大学でピアノのクラスを教えている教授(?)がゲスト奏者として迎えた。リハーサルの時の先生の紹介で、学校では結構沢山のピアノのクラスが教えられていて、マスタークラス(公開レッスン)も行っているとのことだった。クラスは初、中級者向けだろうと興味はなかったのだけど、公開レッスンなら、ピアノの演奏技術そのものでは目新しいことがなくても、指導法などの勉強になるだろうと思い、ゲストの教授に連絡してみると、クラシック中心のピアノクラスの他にジャズピアノのクラスがあることを知った。その時は既に、学期の半分ほどが経っていて、次の講義は夏学期から始まるという事だった。

 

夏学期のクラスへの登録は、5月中に始まったので、その時点で、オンライン形式の「ジャズピアノ1」というクラスに登録しておいた。登録時の情報では、クラスは7月初めからとのことだったのだけど、最初のクラスの日が迫っても、オンラインクラスに出席する為に必要なウェブのリンクに関する連絡が全くなく、先生に問い合わせてみると、なんと、三週間後から始まるとのことだった(こういう所がいい加減なアメリカらしい)そのほかにも、ごたごたはあたのだけど、どうにかオンラインクラスのウェブリンクを手に入れることが出来、最初のクラスに参加した。

 

カタログにあった、クラスの説明では、ジャズピアノ1の受講には、ピアノの経験がい1~2年位が推奨されていたけれど、実際のクラスでは、初心者のピアノの楽譜が読める(弾ける)だけでなく、長調、短調(と#や♭の関係)トライアドは、ちゃんとマスターしているのを前提とされていたようで、これは、ピアノ初心者が1~2年では理解、マスターするのは無理な気がする。幸い、私は調性やトライアドは結構勉強してあったので、授業についていくのには問題はなかった。

 

初回のクラスではセブンスコードと ii - V - I のコード進行が講義の中心だった。一応、セブンスコードとは何ぞやと言う説明や、コード進行についての基礎知識みたいな説明もあったけれど、ピアノ初心者ではついていけない内容だと思った。私は、自分で少々ジャズの勉強などもしていたので、この辺りのセオリーについては復習だったので助かった。今回の授業では、ii - V - I が実際に使われている曲(この先、数週間で学ぶ曲だそう) の一段譜を使って、メロディーとジャズのハーモニーを体感してみるという所で終了となった。