日本への旅行で大雪直後の札幌に行った後は、一度常夏(と言っても住人にとっては冬)の南カリフォルニアに帰宅したけれど、数日後にはアラスカに向けて飛び立った。
 
私は一度アラスカ(といっても、南の海岸付近)にアラスカクルーズをしたことがあり、アウトドア派でもないので、この先もう、アラスカに行くことはないと思っていたのだけど、少々前に、私の両親とオーロラが見たいという話になり、オーロラ観賞には最適と言われるフェアバンクスを訪れることにしたのだった。
 
さて、オーロラを見るのなら、真冬が良いだろうという事で、年末年始にかけて一週間程、フェアバンクスの山荘にこもることになった。
 
出発前にネットで調べた情報だと、フェアバンクスの12月の平均気温は最高でマイナス19度、最低がマイナス29度とあった。それを見た時は、記載間違いだろうと思ったのだけど、色々な人の話を聞いたり、幾つか違うサイトで調べても似通った情報が出てきた。
 
アラスカでオーロラ観賞をするとなると、ツアーに参加するのが一般的だろうけど、真冬のアラスカの夜のツアーに参加するのは体力的につらいものがありそうなのと、今回は年寄りの両親を連れていくという事で、のんびりと自分たちのペースで観賞したい。数人でツアーに何度も参加すると費用も掛かることから、山荘を借りることにした。これなら、夜半まで暖かい家の中で待機、夜中にオーロラが出たという事があれば、山荘の庭に出ればよい。
 
数泊の予定でいって、天候不良などでオーロラが全然見れなかったとなると悔しいので、滞在期間は一週間強としたこともあり、ホテルに泊まるより、Airb〇bで街の中心地から少々離れた場所にゆったりとした宿を予約した。
 
南カリフォルニアから飛行機を乗り継いで、フェアバンクスに到着したのは午後3時過ぎだったけれど、日の入りが早いので、外はもう、夜のいで立ちだった。気温は、多分マイナス20度位。
 
到着直後くらいから雪が降りだした。晴天でないとオーロラーは見れないだろうに、到着後数日の天気予報は嵐。嵐と聞いた時は、強風、どさどさと降る雪を想像したのだけど、アラスカの嵐はどんよりとした空から細かい雪がさらさらと落ちてくるという感じで、現地の方は普通に生活している。
 

 
買出しに行ったスーパーの駐車場に植えられた木々には雪が積もって凍っている。
 
 
一夜明けると、山荘の前には20センチくらいの雪が積もっていた。こんなに暗いけど、これで午前9時頃。
 
今回の旅では、沢山のツアーなどの予定は入れず、山荘でのんびりと過ごす予定。ただ、早く雪雲が去ってくれないかとヤキモキしている。
 

 

今回の訪日では、二つの都市に滞在する予定だったので、国際線と国内線の航空券は別々に購入した。東京から札幌までは、成田空港を利用したかったこともあり(国際線に使用した大手の航空会社の国内便は全て羽田出着だった)LCCの「桃」を使用した。航空券を購入する際に、預け荷物一つまでが無料で出来る種類のチケットにしたのだけど、荷物の重さについては少々手こずった。

 

国際線の預け荷物の重量制限は23キロなのだけど、桃だと20キロ。今回の旅行では、札幌でスキーをする予定だったので、スキー靴は持っていきたかった。スキー靴は重く、その他、色々なものをスーツケースに詰めて19キロちょっとというギリギリの重さだったので、今回の旅ではお土産の類は殆ど買わずに帰ってこないといけないなと思っていた。

 

さて、東京から札幌までの行きは、荷物制限の重さギリギリで超過料金もなく飛ぶことも出来た。しかし、札幌では「北海道限定」の海産物などが沢山あり、当初考えていたより「お土産」が増えてしまった。しかし、出発前に荷物の重さをはかると19キロとちょっと。これなら問題ないと空港に到着、トラブルなく、荷物を預けることが出来た。

 

しかし、機内持ち込み手荷物検査場で、止められてしまった。東京から来るときは、ノートブックパソコンを入れたリュックに貴重品の入ったバッグだったのだけど、帰りは預けるスーツケースがお土産で重くなるだろうと、リュックとボストンバッグという出で立ちになっていた。すると、検査場の手前の係り員さんに止められ、荷物の重さを測るように言われた。

 

機内持ち込みの総重量は11キロプラス。普通の航空会社だと手荷物の重さ上限は10キロだから、多分入れてもらえただろうけど、LCC桃の上限は7キロという事で、随分のオーバーの為、手持ちの荷物の内の一つを預ける様に指示された。それだったら、もう少しスーツケースに入れることも出来ただろうけど、スーツケースは、すでに飛行機に乗せるために行っていってしまっている。

 

一つ目の預け荷物の重さオーバーでの追加料金と二個目の荷物を預ける料金はほぼ変わらなかったので、行ってしまってスーツケースを持って帰ってきてもらうのも大変だろうと二個目の荷物を預けることにした。しかし、失念していたのは、国際線との乗り継ぎの事を考えて別に予約していた、荷物優先を買っていたこと。二つ目の荷物にも優先を購入すると、合計金額4000円となってしまった。「あぁ~、お土産を買い過ぎた」「スキー靴を借りたら1300円だったから、持ち込まずに借りればよかったのかも」といった後悔先立たず。捨てられる荷物もない。仕方なく、調が料金を払い、二つの荷物を預けた。

 

さて、成田空港に到着。国際線に乗る前に、長いフライトに備えて着替えをして、国際線の預け荷物は二つまで無料なので、こちらも二個預けることにした。ただ、それまでボストンバッグにいれていた、ちょっと重たい物(楽譜の本と靴)はスーツケースに入れたほうが持ち運びが楽なので、スーツケースに詰め直し、二つ目の荷物には主に洋服類を入れた。国際線のチェックインを終えて、荷物を預ける所で荷物を測ると、重い物を入れ直したスーツケースはちょうど20キロ、二つ目の荷物は4キロほど。持ち込み手荷物として取り置いておいたリュックを入れても、私のすべての荷物の重量は27キロほど。しっかりと荷物の入れ分けをしていれば、桃でも全ての荷物を超過料金なしで預けられただろう。

 

桃に支払った4000円の超過料金は全くの無駄だったと悲しくなった。まあ、今回の4000円は、これからは、預け荷物の荷物も重さを測ることを習ったレッスン料という事にしよう(それでも、悔しいけど)

 

それと半面、追加料金を払った「荷物優先」は、料金を払った甲斐があった。私の荷物が出てきたのは一個目と三個目。ぐるぐると回る荷物を見つめながら、国際線に間に合うかとドキドキしながら自分の荷物を待つよりも、数百円で安心が買え、さっさと荷物を拾い、国際線のチェックインに向かえたので、安い物だと思った。

 

今回の訪日の第一の目的のミュージカルは夜の公演だったので、その日の日中は札幌市内をうろうろすることにした。私は以前に札幌訪れた時があり、観光名所の時計台(こじんまりしていて見逃しそうになった)などは見たことがあったので、特に訪れたい観光名所などもなかったので、フリーの日中は、一年中、温暖な気候の南カリフォルニアでは手に入らない冬服の調達の為に買い物に出ることにした。

 

さて、当日の朝、時差ぼけの為、少々早めに目が覚め、ベットから出ると、いつもより頭がふらふらしている。「いつもより」というのは、一か月ほど前から顔の痛みや痺れに効くという薬を服用し始めたのだけど、その薬が効いてくれえるのは良いのだけど、効いている時ほど、頭がくらくらしたり、眩暈がしたりして、船酔いのような状況になってしまう。この副作用を全く感じない時もあるのだけど、それが酷い時もある。その日は、今までにないまでに副作用が酷い朝だった。

 

眩暈の原因は分かっているので「きゃぁ、ふらふらする~」などと言いながら、普通の生活をしているので、その日も、いつもよりふらふらするから、気を付けながら歩こうと思う程度で、外出した。今まででは、日常生活を送っていると、眩暈が落ち着いてくる時もあるのだけど、その日は、酷いふらふらが続いていた。階段を踏み外してしまったり、服の試着で片足で立とうとすると倒れそうになったりとなったり、吐き気までも出てきた。これはちょっとやばいかもと思い、買い物を早めに引き上げてホテルに戻ることにした。

 

ホテルに戻り、念願のミュージカルを見に行くまでは2時間ほど。横になったら少々楽になるだろうと、ベットの上にゴロリとなり(横になっていると眩暈はしない)休んでいると、どんどんと体が寒くなる。めまいや、吐き気の他に寒気というのはちょっと不味い、でも、念願のミュージカルを観に行かないというチョイスはない。大リーグの山本選手の言葉をもじれば「Not Going is not an Option」である。

 

ホテルの部屋で「寒い、寒い」と、毛布を掛けたりしている時に、ハタと目が入ったのが部屋の空調の強さを調節するノブで、それがOFFになっているではないか。ホテルにチェックインした後に、空調の温度を調節しようとしたのだけど、安いビジネスホテルなので「各部屋で温度の調節は出来ません」と張り紙があったので、空調設備は触れないと思っていたのだけど、壁のノブには「OFF、弱、中、強」という表示がある。

 

そのノブを「中」の辺りに回して、少々経つと、だんだん部屋が暖かくなってきた。寒気がしたのは、私の体調のせいではなく、寒い北海道で、暖房の無い部屋にいたからだった。部屋が暖かくなり、寒気も収まり、はたまた、少し横になったことで、眩暈も落ち着き、歩いたり、座ったりするくらいなら、大丈夫な位まで体調は回復、ご機嫌でミュージカル鑑賞に向かったのだった。

 

今回の札幌への旅は一人旅で、ミュージカルを見るだけの為の旅として予定したので、札幌滞在期間は、それこそ、一泊でも構わなかったのだけど、夜の公演に行くのに午前中の便で札幌入りするのも、悪天候があるときわどくなってしまうので(実際、私が東京を立つ前日くらいまでは大雪の悪天候で、少々冷や冷やした)二泊でもよかったのだけど、アメリカへの帰国は、今冬の両親のアメリカ旅行と一緒の便に合わせる為にもう一泊することにした(両親の家は成田からは遠いので、たった一泊の為に両親宅へ戻るのは大変)

 

そんなわけで、札幌滞在が丸一日余ったので、この際なので、スキーをしに行くことにした。事前に色々と調べたところ、私の滞在したホテルの近くから、テイネスキー場までバスでの往復、そしてリフトチケット込みで、とてもお手頃なツアーがあったので、それに参加することにした。ツアーの申し込みをした時は、雪不足で、オリンピアエリアは閉まっていて、ハイランドエリアのみのツアーだったのだけど、私がツアーに参加する数日前の北海道での大雪で、雪不足も解消でスキー場も本格稼働を始めたという、良いタイミングだった。

 

お正月休みの少し前の週日のツアーだから、参加する人は少ないのかもしれないと思っていたのだけど、大型バスがいっぱいになるくらいの参加者がいた。その半分は外国人(といっても、私も外国人だけど)私はバス酔いをするので、一番前の席に陣取って聞こえたガイドさんと運転手さんの話では、その日の参加者は皆時間通りに集合してくれて、定時の出発となった。

 

ツアーの情報では、二時間ほど、バスに揺られるということだったけど、一時間と少しでハイランドエリアまで到着。そこで、スキー用具を借りる手配もしていたので、早速、用具を借り、ゲレンデへ出た。同じツアーの人の殆どが「簡単なスロープが多い」というオリンピアで降り、オリンピアのゲレンデではそれなりの人でが見えたのだけど、ハイランドのゲレンデはガラガラ。早速山頂までの4人乗りリフトに乗り込んだ。

 

滑りだした午前中は、圧縮された雪が凍ってしまっていたところが多く、アイスバーンも所々にあり「パウダースノーだと聞いていたのに、、」とちょっとがっかりした。しかし、昼頃からは雪が降ったり晴れたりの天気で、降ってくる雪はふわふわのわたのよう。これこそがパウダースノーだ、と素晴らしい雪を堪能することが出来た。

 

数日前まで閉まっていたというハイランドからオリンピアまでのルートも開き、オリンピアまでも行った。しかし、こちらのスロープは初心者さんばかりで、スキー(スノーボード)教室も沢山あり。とりあえず、一通りのゲレンデを滑ってから、ハイランドに舞い戻った。私が乗ってきたバスにも、ゲレンデにも中国語を話す人が沢山いたけれど、スキー教室まで中国語でやっているのには(それも、一つ二つではなく、結構な数)驚いた。

 

 
前回のオリンピック(だと思う)の聖火台を見に行ったけれど、近くから見るとやけにボロっとしていた(笑)
 

 
ハイランドの山頂付近からの眺めは爽快。
 
山頂ではマイナス8度とあったけれど、結構寒かった。アメリカでスキーをする時は、ヒートテックに長袖者シャツの上にスキージャケットを羽織るだけでよい私だけど、念のため、その間にセーターを着て行って正解だった。
 
思いっきり、スロープを滑り、30分ほどのランチを挟んでのトータルスキータイムは3時間半くらい。それでも「沢山滑った~」という感じだった。帰りのバスまでは2時間ほどあったので、有料ラウンジで時間を過ごすつもりでラウンジに行くと、集金している人がいない。スタッフさんが私の顔をみても「どうぞ~」という感じで、何処かへ行ってしまったので、そのままラウンジへ。結局、支払いをもとめられることもなくラウンジを使用させてもらった。
 
帰りのバスでは、私は出発時間の10分弱前にバスに行ったのだけど、殆どの人がもう着席していた。私の後に一組のお客さんを乗せ、定時より数分前出発となった。
 

 

私は帰りのツアーバスにもハイランドで乗ったのだけど、他のお客さんを乗せるためにバスはオリンピアにも立ち寄った。その時には、公共交通機関のバス停の前には行列が出来ていて、ツアーバスに乗ったのは正解だったと思った。

 

札幌に到着した翌日は、今回の訪日のメインイベントのミュージカル・エリザベート鑑賞だった。
 
私はずっと、ミュージカル・エリザベートを見たいと思っていた。元々ミュージカルは好きだし、ヨーロッパの貴族文化にも興味がある。勿論、王妃(皇后?)エリザベートの伝記は数冊読んでいる。このミュージカルの事は、前から知っていたけれど、何故かアメリカでは上映されていない。よくよく調べると、ウィーン発で、原作はドイツ語。アメリカ人は外国語のミュージカルを英語に翻訳して上映しようなんていう人はいないだろう(アメリカ人は、基本的にアメリカ人が一番偉いと思っている)ウィーンで原作版で見るのは、ドイツ語が全く分からない私のオプションではない。
 
この公演をやると聞いたときは「いいなぁ、みたいなあ」と思うくらいだったけれど、私が是非、生の舞台を見たいと思っていた山崎育三郎さんが出るというではないか。そこで「みたいなぁ」から「観に行かねば」になった。山崎さんは、地方公演でしか出演しないというので、地方公演のうちで、札幌公演の日程が私の予定に一番組み込みやすかったので、札幌公演に決めたのだった。東京公演や大阪公演はチケットの争奪戦になるだろうというネット予測もあったので、札幌公演で返ってよかったのかもしれない。
 
チケットを取る(抽選に申し込む)のに、演者スケジュールはもちろんチェックしたけれど、舞台では当日のキャスト変更などという事もあるので、少々心配していたのだけど、劇場に到着して、キャスティングリストを見ると、山崎さんはちゃんと出演するとのことで、ホッとした。
 
 
さて、ミュージカルのストーリーは、特に調べずに劇場に足を運んだのだけど、ストーリーは、なんだかファントム・オブ・オペラとか、前回の訪日で観たゴースト・アンド・レディーの二番煎じみたいな感じがするなぁ、何故エリザベートの半生をなぞる内容ではいけないのだろうかと思っていた。それでも、ストーリーは進むにつれて面白くなったと思う。しかし、いくら2時間以上の演目とはいえ、エリザベートの半生の山場だけを、フィクションを交えているので、色々は背景が省略されてしまい、ちょっともったいないと思う面もあった。
 
さてさて、楽しみにしていた山崎育三郎さんの歌だけれども、テレビで聞いてきた歌声と違う。音程が低いからのか、舞台だと、もっとしっかりとお腹から声を出すからなのだろうか。オペラグラスを持って行ったので、アップで見てみるけど、オペラグラスのピンが微妙だったし、メイクが濃いからか、本人だとは認識でない。それでも、歌唱力は断トツ(偏見もはいっているかも)で、他の役者さんを「食ってる」と思った。しかし、山崎さん演じるトートは、所謂悪役の立ち位置で、劇が進むにつれて、トートが出てくると「あぁ~、だめ~」(トートが出てくると言いうことは悪いことが起きる)と、私の当初の目的とは矛盾するような事を考える様になってしまった(笑)
 
さて、ミュージカルが終わり、何度かのカーテンコールの後、珍しく主演の方がしゃべりだした。なんでも、札幌公演は後、一日かワンショーしかないのだけど、ダブルキャストでやっているメインキャストさん達は、この公演で千秋楽となるそうだ。なんでも、札幌でのエリザベート(ミュージカル?)公演は初めてだったそうで「札幌の皆さんありがとう」とのことだった。そして「他の町や、はたまた他の県からも来てくれているそうでありがとう」と言う。思わず「他の国からも来てますよ」と返答しそうになった。
 
そして、最後のカーテンコールで幕がしまるところで、山崎さんは(いつもの様に)投げキッス。「キャー💕」と黄色い声が上がったので、私と同じ目的で来ているファンの方がそれなりにいたようだ。
 
ミュージカル自体には、満足だったし、千秋楽の挨拶では、ちょっと得をした気がした。