「孝経」人生をひらく心得/伊與田覺 24026 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

「孝経」人生をひらく心得/伊與田覺 24026

 

★★★★★

昨年大晦日の

 

運命を創る/安岡正篤 23365

 

にあった安岡正篤先生お薦めの一つが

この「孝経」だった。

孝経、どの本で学ぼうかな?

と思って調べてみたが、

伊與田覺先生のこの本がやはりよさそう。

6年ぶり二回目、前回は図書館で今回は購入した。

 

私の両親は高齢ではあるが元氣にされている。

今年92歳と89歳になる。

離れて暮らしているが、

自分なりに氣は使っていたつもりだった。

その甘さヌルさをここでガツンとやられた。

 

 それとともに、本当の孝行息子というものは、

 実は「自分は親不孝な子供だ」と

 思っている人が孝行息子なんですね。

 「これだけ美味しいものも食べさせ、

 温かいものも着せ、親を大事にしているんだ。

 これで十分じゃないか」と思う人がいるかもわからんけれど、

 「いやいや、そ れぐらいは孝行しているうちには及ばん」と

 まで思うのが本当の孝行なんです。

 

 王陽明という人が裁判官になりましてね。

 あるとき親子が訴え出てきた。親は子の悪口をいい、

 子は親に対する不満をいい、

 親子の間がうまくいかないというので訴え出た。

 それで、その裁判の法廷においても、お互いが罵り合った。

 

  誰がしてもこれは解決しがたいというので、

 そのまま置いておいたのですけれど、

 これを王陽明先生ががたく(さばく?原文のまま)ことになった。

 

 そうしたら、ほんの二言三言いっただけで、

 親子が喜び合って相抱いて帰っていったというわけです。

 そこで周囲の者がびっくりして、

 「先生何か特別なことをいわれましたか」と聞いた

 

 すると王陽明はこう答えました。
  「いや、何も特別なことはいっていません。

  ただ、『瞽叟(こそう)は天下の大慈父なり、

  舜は天下の大不孝者なり』といっただけです」

 

 瞽叟というのは舜の父親です。

 目が不自由で、しかも継母とともに舜を非常にいじめるんですね。

 瞽叟は「舜というやつは、俺がこれだけ思っているのに、

 私の心を知らずに不孝なことばっかりしている、けしからん」といってね。

 それに対して癖は「私は一所懸命孝行しているつもりだけれども、

 まだ父と母を 十分に喜ばすことができない、

 私は天下の大不孝者だ。孝行が足らないために

 こういうことになっているのだ」と一切弁明をしないんです。

 ところが、舜は世間では孝行な息子として知られていて、

 それゆえに堯という天子は舜に天下を譲ろうと考えたのです。

 それくらい孝行な息子だけれども、

 その息子自身は「まだ足らん、まだ足らん」と

 孝行の及ばざるを憂いているんですね。

 これが本当の孝行というもので、

 実際は孝行をしていても、本人は「自分は不孝者だ」

 「親父が変わってくれないのは自分が至らないからだ」といっているわけです。

 逆に父親のほうは、「わしは思いやりの深い親父だ」と

 自分を省みることなしに、ただ「息子が至らん」といっている。

 つまり、この王陽明のいった言葉を聞いて、

 訴え出た親子はそれぞれに「相手に求めることが多かった」ということを

 感じ取ったんですね。それで互いに抱き合っ て喜んだわけです。

 そういうことでありまして、自分は孝行だと思ったら孝行ではない。

 「足らん、 足らん、こんだけやってもなお足らん」と

 思っているのが実は孝行なのです。

 

おおお、さすがは舜だね。。

この後に中江藤樹先生の事例も登場するが

「この程度でいいのでは?」というのは

全然ダメ、ということですね。

 

「孝経」人生をひらく心得/伊與田覺 18042

 

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