運命を創る/安岡正篤 23365 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

運命を創る/安岡正篤 23365

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2023年最後の読書は安岡正篤先生の本書。

安岡正篤先生のお勧めの書を来年の読書生活の参考にしよう。

 

 そこで自然、どうしても古今の書を読まなければならないことになります。

 ことに歴史的所産である古典に、より多く親しむことが必要であります。

 ところが、そうなってくると、欲をいえば限りがないもので、

 いかに天下人材稀なりといえども英雄・偉人はさすがに多い。

 が、とりあえず氣のつくに任せて皆さんに読まれてよいと思う書を

 お勧めすると、 国典では是非御歴代の詔勅、

 それから『古事記』『日本書紀』『古典拾遺』等は味読せねば なりません。

 日本人の親しんだ漢籍では、『小学』『孝経』から手をつけるのがよろしい。

 その次に四書を読む。『大学』『中庸』『論語』『孟子』。

 それから「孟子」に対して「荀子』。『論語』と併せて

 『孔子家語』を読む もよろしい。五経の中では「礼記』。

 五経は皆読みたいが、ことに「礼記』をお読みなさい。

 それから「左伝」「書経」「詩経』『易経』。

 これは根氣よく読み味わうことです。

 解っても解らなくとも、何回も読むうちには自然に解ってくる。
 その後で『老子』『荘子』を参考するもよろしい。

 近代のものでは、日本に普及した『近思録」』『伝習録』。

 『唐宋八家文」「菜根譚』『古文真宝』なども面白いでしょう。

 仏書では、「四十二章経』を読んでご覧なさい。

 これはシナ仏教の『論語』や『老子』にも比すべきものです。

 『法華経』『勝鬘経』『維摩経』、これらは日本仏教の根本経典であります。

 歴史の方に移って、

 一通り日本史、東洋史は大体心得ておく必要があります。

 どうも鎌倉時代が先だか、室町時代の方が後だか

 分からないようでは困ります。

 漢と唐との前後も忘れた識者も少なくありません。

 『史記』も必読すべきこと欧洲の『プルターク英雄伝』に

 おけるがごときものです。

 『十八史略』もよろしい。

 私は『十八史略』のような日本史略を読みたいと思っております。

 それから、長いものだが「資治通鑑」を暇をこしらえて

 是非読んでもらいたい。これは世界的名著といってよいでしょう。

 それから『太平記』『平家物語』『神皇正統記』など。

 寒山詩 古文真宝 万葉集 机に置きぬ 読まずともよし(寒川順) 

 という面白い歌もあります。

 子供のためにもやはり『日本外史』「日本政記」『中朝事実』などよろしい。

 外国のもので、バイブルはやはり通覧すべきものです。

 エマーソン、カーライル、ゲー テ、モンテーニュ、アミエル、ヒルティーなどは

 親しみたいものです。なかんずく『プルターク英雄伝』と

 セネカは必読書でしょう。

 「集」に入っては、また限りがありませんが、

 少なくとも国学諸大家のもの、

 藤原惺窩・ 山鹿素行・中江藤樹·熊沢蕃山・佐藤一斎・広瀬淡窓・

 三浦梅園・山田方谷のものなど手に入りやすく、

 世にも知られて、是非ご覧になっておくべきです。

 それから二宮尊徳、なお、この二宮尊徳と併せて

 皆さんにお勧めしたいのは、千葉の大原幽学という人です。

  この人はことに農士道—郷学の立場から深く注意すべきです。

 尊徳は豪傑型農士だが、 幽学は哲人型の郷長老です。

 尊徳は権力的背景があり、世の中に知られておりますが、

 幽学は知られておりません。

 不遇と悲劇に終わったが、藤樹・尊徳・幽学の三人は、

 郷学三 先生というべきでしょう。

 本屋など覗いて、こういうものがあったら

 飯を抜きにしても求めることです。

 この頃の書生はどうも貧囊を倒さにして書を買わない。

 たいていはハイキングとかカフェーとかの

 費用の残りでないと本を買わぬ。そんな心がけでは駄目です。

 それから明治維新の哲人・英雄の遺書は是非読みたいものであります。

 中でも吉田松 陰・西郷南洲・佐久間象山・横井小楠・藤田東湖・

 橋本景岳(左内)・真木和泉——こういうような維新の求道的志士の

 遺著などはできるだけ集めて読むとよろしい。

 いい加減な学者のものよりよろしい。

 まだまだいくらでもあるが、縁に従ってやるべきであります。

 

読みたい本がたくさんある。

一日一冊でも全然足りない。