キャッチアップ(その6)…2009年12月 五雲会 | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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こちらは、不休で普及に励む宝生流グレート能楽師の辰巳満次郎先生♥に「惚れてまったやないかぁ~!」なファン達が、辰巳満次郎先生♥と能楽の魅力をお伝えしたいな~、と休み休み、熱い思いをぶつけるブログです。

平成二十一年十二月十九日(土) 於:宝生能楽堂

 

さあさあ、キャッチアップのラストですよ。
A型のワタシとしてはコレが終わんなきゃ今年の分に進めまへん。

 

 

十二月の五雲会は、これを観なくちゃ年越せないな、っていう年末定番の「絵馬」から始まりです。2009年最後のお能鑑賞なのに遅刻し、前半が終わる頃にそっと入場…。
狂言はワタシの好きな山本家♪
長髪ボサボサは一人もいないので、ホントに気持ちイイわ~♪
(話は違うが、能友は梅若玄祥の「安宅」に行った…。)

 

 

十二月もなかなかのラインアップではありましたが…。

 

 

 

  能 「絵馬(エマ)」

  シテ 佐野登
  姥   和久荘太郎
  女神 内藤飛能
  男神 辰巳大二郎
  ワキ 梅村昌功 則久英志 大日向寛
  アイ 山本則秀 山本則俊 遠藤博義

 

 

 

  笛   成田寛人
  小鼓 森澤勇司
  大鼓 原岡一之
  太鼓 徳田宗久

 

 

  後見 中村孝太郎 野月聡 當山淳司
  地謡 亀井保雄 小倉敏克 大坪喜美雄 東川光夫
      山内崇生 辰巳孝弥 田崎甫 今井基

 

 

 

  狂言 「文荷(フミニナイ)」

     山本泰太郎  山本則秀  山本則重

 

 

 

 

  能 「花筐(ハナガタミ)」

  シテ 金森秀祥
  子方 高橋希
  ツレ 澤田宏司
  ワキ 森常好 宝生欣哉 舘田善博 森常太郎
  
  笛   槻宅聡
  小鼓 幸信吾
  大鼓 柿原光博

 

 

 

  後見 宝生和英 大友順
  地謡 當山孝道 前田晴啓 武田孝史 朝倉俊樹
      辰巳満次郎 高橋憲正 金森良充 辰巳和磨

 

 

 

  能 「鉄輪(カナワ)」

  シテ 水上優
  ワキ 高井松男 梅村昌功
  アイ 山本則重

 

 

 

  笛   寺井義明
  小鼓 曽和正博
  大鼓 高野彰
  太鼓 助川治

 

 

  後見 宝生和英 小倉伸二郎 金森隆普
  地謡 水上輝和 佐野由於 今井泰行 金井雄資
      高橋亘 渡邊茂人 藪克徳 川瀬隆士

 

 

 

  狂言 「左近三郎(サコノサブロウ)」

    遠藤博義  山本則俊

 

 

 

 

  能 「是界(ゼカイ)」

  シテ 小林晋也
  ツレ 東川尚史
  ワキ 館田義博 宝生欣哉 則久英志
  アイ 若松隆

 

 

 

  笛   一噌幸弘
  小鼓 住駒俊介
  大鼓 飯嶋六之佐
  太鼓 桜井均

 

 

  後見 小林与志郎 亀井雄二
  地謡 田崎隆三 登坂武雄 渡邊荀之助 藤井雅之
      小倉健太郎 佐野玄宜 佐野弘宜 金野泰大

 

 

 

これもキャッチアップなのでちょいと書きます。

「絵馬」は後シテが男体の天照大神(他流は女神だったりする)になり、神舞を颯爽と舞った後に岩戸隠れし(両開きのドアが付いてるブラックボックス!に入っ)た後、男女の神(手力男と天細女を想定?)が神楽を舞い、後シテを岩戸から出す構成で舞尽くし♪ 特に男神と女神の連れ舞がピッタリと呼吸を合わせていて素晴らしかったです~♪

「花筐」は、上村松薗が描いた照日前(=恋に狂う上臈)にイメージされる所が大きいんだけれど、最近、ちょっとそれは違うかも、と思っている。
昔と今では言葉の意味が違っているから(『をかし』と『あはれ』みたいに)、今だと狂女ってのは精神に異常をきたした女になるけれど、当時はもしかしたら規範からはずれた女(つまり、ラ・トラヴィアータですね)っちゅう意味だったんじゃあないかなぁと。
例えば昔の女性が目的地(=失った愛するカレや我が子のいる場所)がわからない状態で旅に出るなんて、どうかしちゃったとしか思えなかったと思うの。
ということで、この日のシテも、ゼッタイにカレの居る所に行くんだ、と確固たる意志を持った照日前でした。(一番イイ所で意識がなかったのが、悔やまれます…。)

「鉄輪」のシテはやさしい印象の方なのですが、なかなか怖い女になってました。
強いて例えるとしたら、ガスバーナーの炎かな?
そんなに派手に燃えている訳ではないけれど、青白く火力が非常に強いの。それがコワくてグ~!

で、2009年の年末を締め括る「是界」がまたまた…(ある意味)スゴかった。
「是界」というのは、大唐のスゴ腕?の天狗(シテね、Named 是界坊)が、大唐ではことごとく慢心の輩を魔道に引きずり込んだから今度は日本でブイブイいわせたろか、と来日したけど、まるで歯が立たずに逃げ帰る、というお話。
(難だか元冦のことみたいですね~。)
面白いのが、来日したけど不案内だから日本の天狗(ツレね、愛宕山の太郎坊)に案内を頼むの。
それが前半で、山伏姿の日中天狗会談が楽しめます。ここで太郎坊は「日本は手強いよ。」とアドバイスするんですが、是界坊は「ぶわ~はっは、ちょこざいな。オレ様にかかればイチコロよ!」ってな感じのことを多分言って聞く耳持ちません。
ここでさ、できれば是界坊に圧倒的な威圧感を持って欲しいんだけど、去年に続き2年連続で、日本の都会派のスマートな天狗に大唐のチョ~山奥出身のもっさりな天狗、という構図になっちまいまして、するってえと後半(ワキの比叡山の高僧との対決)がちと盛り上がりに欠けるってな具合になるの。大威張りの天狗がぺしゃんこになるのが妙味なんだけど…。

ま、十分楽しかったので良しとして、ラ・フランスの2009年のお能ライフは幕を下ろしました。