狂言「蚊相撲」
大名 駒瀬直也太郎冠者 遠藤喜久
蚊の精 奥川恒治
観世のシテ方による狂言です。 友人によれば、どうも入門してプロになりかねない勢いでお稽古してたのはこの方々らしいです。 めちゃくちゃ楽しんでます。この先生方に習っている人たちは「もう~♪センセイったらぁ~♪」と叫びたいくらいだったのでは、と思います。 特に太郎冠者は袖からお菓子をばんばん(豆まきのように)見所に投げるし、蚊の精は途中で小舞を披露するのですが、 「前回の棒縛で稽古したによって♪」 とアドリブをいれるんだけど見事にコケて、裏からヘルプが入り、 「なかなかうまくいかないでゴザル」 には見所は爆笑♪ 大名も、どうも楽屋落ちなアドリブを入れては 「これ以上はワタシの口からは言えぬによって♪」 と笑いを取るし、いつ蚊と相撲を取るんだ~、と思うくらいファンサービスをタップリと見せていただきました♪ いや~、笑いました♪
地謡 安福光雄 徳田宗久 鳥山直也 小野寺竜一
能 「猩々乱(ショウジョウミダレ)双之舞 和合三段之舞」
シテ 野村萬斎 亀井広忠ワキ 古賀裕巳
小鼓 味方玄
大鼓 森常好
太鼓 坂真太郎
地謡 観世元伯 助川治 白坂信行 松田弘之
則久英志 野口能弘 小寺真佐人 小野寺竜一
これもお目当ての演目。特に特に楽しみにしてましたっ♪ この番組の為に正面席3~4列ぐらいは若い女性で埋まってるといっても過言ではないほど…。 最初に後見によって、大きな酒壺が正先に置かれます。赤い織物で蓋をしてあるので、「蓋があって酒が飲めるんかい!」ってツッコミたくなったところへ、おもむろに野村万作さんが登場して酒壺の蓋を取り、「猩々」がスタートしました。 ワキの口上が終わる、下端(サガリハ)というウキウキするお囃子で、広忠猩々が登場。シテ二人が続けて出てくると思ってたので、萬斎猩々かと思ったのですがちょっと違いました。 広忠猩々が舞台に入り、「老いせぬや」と謡が始まると広忠猩々の舞いが始まります。 そして「この友に逢ふぞ嬉しき」で揚幕に向かってマネキ、萬斎猩々が登場します。 「御酒と聞く」と萬斎猩々が朗々と謡います。あれれ~シテ謡いは萬斎猩々の担当かしら?と思っていると「吹けども吹けども」からは広忠猩々が謡い、「客人もご覧ずるらん」からは同吟(だったと思う)になります。 面は広忠猩々が色白、萬斎猩々は真っ赤です。そして地謡が「酒をいざや酌もうよ」のところで、二人(二匹か?)が正面の酒壺に寄り、萬斎猩々が酒を酌んで広忠猩々に酌をし、さて今度は!いきなり酒壺に頭をつっこんでガブ呑み!!!(モチロン見所は大爆笑♪) さあ、ここからはもう萬斎猩々の独壇場♪(と言っても広忠猩々の正統派の動きを読んで計算し尽くしたアドリブなんだけれど…、やっぱりスゴイです。この人!) 「芦の葉の笛を吹き」では萬斎猩々は左足を水平に上げ、右足一本で立って扇で笛を吹く型(カッコイイ~♪)を見せ、さていよいよ「乱」の舞になります。 その前に広忠猩々は、大鼓の森常好師に「ヨロシク頼みますよ」という感じで何か一言…、見所またもや爆笑。 「乱」の舞は、沈み込んだと思うと伸び上がって、まるでバレエのように爪先立ってツツツツ~、と移動します。ホントに楽しく酔っ払った二匹の猩々が海辺で戯れているよう…。 う~ん、こうしてみると宝生流の型ってジミ~(だけど…良いよ♪) 「乱」の舞が終わると、萬斎猩々はまるで「ワシは酔ったぞ、あとは良きにはからえ」とでも言うかのように、ゴロンっと常座あたりで横になって寝ちゃいます。 広忠猩々は、困ったナ~といった雰囲気を漂わせながら「よも尽きじ」から独りで舞い、「枕の夢の覚むると思えば」で萬斎猩々を起こして、最後は二人(二匹か?)でめでたく舞い納めました。 見所は割れんばかりの拍手! 萬斎師には誰も勝てませんわ~。
あと一回だけ、続く…。