文月能 | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

こちらは、不休で普及に励む宝生流グレート能楽師の辰巳満次郎先生♥に「惚れてまったやないかぁ~!」なファン達が、辰巳満次郎先生♥と能楽の魅力をお伝えしたいな~、と休み休み、熱い思いをぶつけるブログです。

「生田敦盛」

 シテ 後藤裕子
 子方 植島幹登
 ワキ 野口能弘

 笛  江野泉
 小鼓 鳥山直也
 大鼓 原岡一之

 後見 當山孝道 朝倉俊樹

 地謡 小林与士郎 中村孝太郎 武田孝史 佐野由於
    山内崇生 小倉健太郎 高橋憲正 當山淳司


「清水」 山本則俊 山本則秀


「班女」

 シテ 影山三池子
 ワキ 高井松男 則久英志 野口琢弘
 アイ 山本則孝

 笛  八反田智子
 小鼓 野中正和
 大鼓 柿原光博

 後見 前田親子 久貫弘能

 地謡 倉本雅 内田芳子 松田若子 衣斐愛
    広島栄里子 土屋周子 境野直美 鶴間真美子


「殺生石」

 シテ 柏山聡子
 ワキ 梅村昌功
 アイ 山本泰太郎

 笛  藤田貴寛
 小鼓 森貴史
 大鼓 安福光雄
 太鼓 金春國和

 後見 近藤乾之助 宝生和英 澤田宏司

 地謡 亀井保雄 田崎隆三 金森秀祥 東川光夫
    佐野登 渡邉茂人 藪克徳 金森隆普



文月能に行ってきました。
文月能は宝生流女性役者の演能会で年1回7月の第3土曜日に開催されるんですが、今まで浴衣会とバッティングしてたので行くのは今回が初めてです。

正直に告白しますが今日もギリギリに到着しました。着席したぐらいに地謡登場だったので、セーフ、と安心したのもつかの間…、うううトイレに行きたい…、となりました。生田敦盛は短いしガマンしよう、と決心しましたがワタシのその決意を跳ね返す程の欲求が…。(黒ラ・フランスのせいだよ、きっと…)で、申し訳なくも中座しダッシュでトイレに行き、こっそり一番後ろの空席に戻りました。情けなや~。演者の皆様申し訳ございませんでした。


さてここからは本日の感想です。今日の狂言はワタシの大好きな山本家なのですが、やっぱりノーコメントです。でも大好きなコワイ顔の山本則俊師なので満足!

最初が生田敦盛。ここで一番よかったのはワキです。ここ数年ワキヅレでよくお見かけするようになった方ですが、こんなに良く謡えるようになったんだぁ、と思いました。これから注目しようっと。
それから子方クンです。この子は六月の五雲会で初めて見たのですが、幼いながらもプロ意識を持って舞台にのってます。スゴイです。
さて藁屋の引廻しが外されて現れたシテは…、アレレレお雛様かな、という感じの小ちゃな敦盛でした。
実は一昨年見た生田敦盛が山内崇生師で、これがまたカッコ良くいかにも平家の公達って感じだったので、ますますお雛様みたいに見えてしまいました。
別にシテが女性だからって偏見は全くありませんが、今は素人もガンガンお能を出す時代だし、周囲がみな(男性の)プロの能楽師で固めてある一期一会の舞台だけが与えられた判断材料ならば、玄人オーラがちょっと???って印象の舞台でした。
女性はそもそも骨格が男性と違うので、男性が演ずる為に準備された面、装束を着けて演能するにはハンデが相当あります。もちろん経験自体も圧倒的に少ないのでしょうがない面もあるのは十分理解しますが、それを上回るオーラを見せていただきたかったな、修羅物でない別の演目なら良かったのに、とエラソウにも思った次第です。


班女は全員が女性で固めた舞台。
シテは昔ワタシが初めての仕舞の勉強の為に拝見した「海人」のシテと同じ方です。この方は上背もあるし体格が良く、男性のシテと引けをとらない舞台姿ですが、やはり腰回りの線なんかは女性のラインです。
なかなか良かったと思いましたが、気になったのが地謡です。最初の方は地頭の声ばかりが聞こえて???でしたが、途中から地頭に合わせるのに慣れた?のか、良くなりました。そうなるとこの班女なんかは女声の方がしっくりくる感じがしました。こういうのを積み重ねていって、女性の、宝生の能になるんですね、きっと。(←これもエラソウ…。)


殺生石のシテは、素人会のお手伝いでよく女性弟子の素謡に地謡をしてくださっている先生で、ワタシは大好きな先生です。
上背もありバランスのとれた体格で、前ジテは実に姿が美しく良くとおる声で、玉藻前の妖艶さを彷彿とさせるものがありました。ただ居グセ?の時の下ニ居がちゃんと座れなかった(師匠の話だと、唐織を着附に着ると下ニ居ができないことがあり、その場合ずっと中腰なのだとか)のか、ちょっとユラユラしていて気の毒でした。
今回はどういう理由かはわかりませんが、殺生石のキモともいうべき作り物の石が舞台にでず、後ジテは揚幕から登場。
で、前半すごく良かったのですが、後ジテになると肩幅がなくて華奢に見えます。舞や所作は勢いも迫力も十分なのですが拍子がちょっと弱く、また足がキレイに揃う(日舞等では普通に立っていても膝が割れてないと荒いものに見えないのでNG)のがちょっとオンナノコっぽく、微妙…。(メスの野干なのですけどね)
好きな先生だけに、ワタシ的にはそれが非常に残念でした。あとはこの演目はワキが???、地謡は迫力があって良かったです。


さて、8月1日には、これらの女流職分による自主公演会「蛍火能」があります。これも行く予定。夏の夜のお楽しみです。演目もワタシが好きなものが多いのでちょっと期待してます。
(また上から目線の感想で申し訳ありません。)