半能「融」 遊曲
シテ 源融の霊 武田 孝史
ワキ 旅の僧 宝生 欣哉
笛 一噌 幸弘
小鼓 成田 達志
大鼓 亀井 弘忠
太鼓 観世 元伯
地謡 宝生 和英
朝倉 俊樹
和久荘太郎
亀井 雄二
劇場の照明が落ちてスモークが濃くなり、舞台に月明かりを思わせる青白い冷たいライトが射すと「融」はワキ僧の待謡から始まりました。
地謡も4人だし、装束つけての舞囃子って感じです。ワキは舞台上に登場せず謡のみが流れます。だんだん謡にエコーが強めにかかり、これは夢?みたいな気分をそそります。囃子が入り、太鼓と笛が本当にイイ気持ち。
そこにホリゾントいっぱいの冴えざえとした冷たい満月、その前にシテのシルエットがくっきり浮かび…。(T_T)
スロープの橋掛リを下りてくるところは、まさに月から来た貴公子!やられたぁ~って感じでした。その瞬間、客席は六条河原の院の海になりました。
(ベタな演出だけど、それが陳腐にならないのはお能の力なんでしょうね~)
舞台の床も黒のリノリウムなので、まるで水鏡の上を舞っているよう。うっとりです。
「遊曲」という小書だから?なのか、黒垂でした。だから一層神秘的というか美しいというか。シテが長身で姿が良いので一層映えます。紫の指貫に薄物の白地に金の桐と唐草模様の狩衣、巻き袖すると下の朱の擦箔が見えて、本当に夢の世界でした。
正直言って、今まで融っていうお能を良いと思ったことが無かったんだけれど、今回は脱帽です。
最後も橋掛リのスロープを上がってゆく先には大きな月、まさに名残をしの面影、シルエットを残して、暗闇に溶けて終わりました。
※う~ん、しかしこういう感想って、思っていることの半分も書けません。つづく。