熱海の海に浮かぶ満月に、辰巳満次郎様♥高らかに吠えまくる!(ウソ、謡う!) | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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こちらは、不休で普及に励む宝生流グレート能楽師の辰巳満次郎先生♥に「惚れてまったやないかぁ~!」なファン達が、辰巳満次郎先生♥と能楽の魅力をお伝えしたいな~、と休み休み、熱い思いをぶつけるブログです。

まり子です。

熱海のMOA薪能に行ってから早や一週間…。
あっと言う間に、8月も3分の1が終わってしまいました。

そして今朝方なんて、とうに終わったはずの申し合せの順番待ちの最中、自分が舞う予定の「加茂」の舞囃子の最初の謡を全く思い出せなくて焦りまくる、というやな夢を見てしまいました…。
なんだっけ、なんだっけ、と全く思い出せないんですよ…
だってさ、「加茂」、習ってないんだからアタリマエなんだけど…。
朝から冷汗でした…
そんな夢みてるせいか、このところ書きかけの記事をアップするというテイタラクが二度ほど勃発…。おかしいぞ…

ところで唐突に本題に戻りまして、初めて行ったMOA薪能なんですが、開場前のかなり早い時間に到着したため、喫茶ルームでしばし憩ってから席取りに赴こうとしたところ、どうも変なところから庭に出たらしく、会場は見えるのだけれどたどり着けない…事態に陥りました。
が、なんとか強行した結果、能舞台の裏側から会場に出る、というトンデモな状態になってしまい、ほほ~うコンナ風になってるのかぁ~、と仮設能舞台を至近距離で眺めながら、着席いたしました。


(ちょうど地謡座の当たりから、写メ!)


お能はぴったり18時から、白装束の神主さん?のお祓いから厳かに始まりました。
まだ十分明るい中、最初は「鶴亀」です。
今回の「鶴亀」はまだ小学校一年生のお兄ちゃん水上達クンの鶴と、六つになったばかりの和久凛太郎クンの亀が最大の見ドコロ(おシテ様他の皆様、スミマセン)であります。

だってねぇ、カワイイんですよ~、イジラシイんですよ~。
「鶴亀」は曲入りというあまり出ない小書き付きだったんですが、それよりやっぱり小っちゃな二人が、このクソ暑い中着ぐるみ状態で一所懸命に舞台を務めるのが、グっときてしまうんですよね~。

鶴クンと亀クンはよく揃って…、と言えば言えるのですが、年下の亀クンが必死に?お兄ちゃんの鶴くんの所作に合わせようとしてるのが、これまたいじらしい…。
たった2歳違いとのことですが、鶴クンはやはりちゃんとお兄ちゃんなんですね~。
このまま大きくなって、将来二人とも内弟子となるんでしょうか?
そのころまり子は、ピチピチのおばあちゃんだな~。


「鶴亀」が終わった頃には陽も落ちて、薄暮の中、火入れ式が始まりました。
黒紋付に裃をつけた薪能奉行?に、白装束の祭員というんでしょうか、が登場しました。
しかし、ここでまり子の目がになる出来事がっ!!!!!
祭員は短めのバミューダパンツみたいなブルマー型の白袴をはいてますが、足元はハダシ…。
と、二人いるうちの一人の祭員が躊躇する風もなく、ハダシでペタペタと能舞台に上がり、火入れ儀式の準備をするのですよ~

ナニやっとんじゃぁ~っ!(と声にならない声なので薄い色で…)

みんな白足袋履いてるのにさ、なんなのっ。
と、ひとりつつ見守るなか無事に薪に点火され、後半の狂言から、再開。
と、狂言が始まって少し経った頃、まり子の位置から見て、左手から月が登り始めました。

満月です。
八月は満月に、2回遭遇できるそうですね。
これで「黒塚」の頃には、中空に見事な月が浮かんで、役者は揃った、って感じでしょうか?


さて、役者は揃っても、月明かりだけだとちょと暗いので、照明はバッチリです。
「黒塚 白頭」というのは初めて見ました。
何でも作り物がススキ付きの藁屋になって、後シテのカシラが白髪になって、キリの部分では留め拍子じゃなくって橋掛リをダッシュして揚幕に駆け込む、というのが常の「黒塚」と違うところらしいです。(他にもあるかも)

と、この記事を書こうとしてグズグズしてたら、金沢能楽会のHPに、
「黒塚」のイラスト入りの詳しい解説があるのに気付きました。
イラストも解説も丁寧で見易いので、ぜひ一度、ご覧くださいませ。
(ただ、イラストのレイヤーが多いのか、表示に時間がかかります。)

辰巳満次郎様ドキドキの、旅人を殺しては喰らっている業の深い女の苦悩&悲哀が籠った謡が、満月の下、響き渡ります。
長くなるのでクセ抜きでありましたが、見所は静まり返って聞き入っています。
ここでタップリと、このシテの哀れを感じさせないと、この後の「閨の内を覗かせ給うな」の警告と、後半の絶望の果てに鬼となったシテの恐ろしさが際立たないのであります。

しかし、まり子的には、辰巳満次郎様ドキドキ的解釈の鬼、が好みでありますが、エンターテインメントとしてホラーチック解釈の「黒塚」もここMOAのシチュエーションでは観てみたいもんだなぁ、と思いました。

旅の僧に求めた救いの、一縷の望みが絶たれた女の、絶望の絶叫が響きわたる…。

ひゃ~、コワイ。
ひゃ~、カワイソウ。

両面を持つのが「黒塚」ですね。
辰巳満次郎様ドキドキは満月のもと、絶叫…、ではなく割と上品に、月に吠えておられました。
文楽の「安達原」の、賎の女ではなく安倍一族の再興を狙う、老女岩手のようでした。
(いや、岩手の方がコワイか…。)
それは、今回の白頭の姿も影響してたような気が…。
まり子的には、もっと絶叫していただいてもヨカッタなぁ…。


そんなこんなで、まり子のファーストMOA薪能は終わりました。


さぁて、ここで第四回「満次郎の会」の演目の追加ヒントをお出しいたしましょう。にひひ

日本人の愛でる四季の風景を言うのに「雪月花」という言葉がありますね。
月と雪と花(桜)…。
この夜は月が非常に美しゅうございました。
「雪月花」の内、「月」を堪能できた訳でございます。
そこで…、第2のヒントは、

月は満つとも

です。いかがでしょう?


四はシブイ、卍はガチ!
月は満つとも


宝生流のシテ方として精進してきた年月の集大成を
マジでご披露する覚悟と見ましたっ!

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