「傍らに人家を見て花あればすなわち撮る」
と鞍馬天狗気取り

見事な椿デショ?
もうそろそろ終わってしまいますが、そういえば昨年(夏

「朱(橙)色地に雪持椿」でした。
今年は…、京紫地?に下がり藤模様?
ちょうど「観能ガイド」の表紙に出てるのと同じ装束だったと思いました。
ちなみにこの「観能ガイド」によれば「道成寺」の面と装束は、
面:泣増 → 装束:色入り唐織(赤系の色が入った、若い女性用)
面:白曲見 → 装束:色無し唐織(赤系の色が入らない、中年以降の女性用)
なんだそうです。
それで、どっちになるかは当日の演目に色入り唐織が出るか出ないかで、決まるんだそう。
そういえば「源氏供養」の前シテはキンキラっぽかったので、あれが色入りなんでしょうね、きっと。
そうすると、今回の澤田師の装束が色無し?
(藤には紅い色のも配置されてたんだけど…。)
面までしっかりチェックする余裕がなかった(

「道成寺」の唐織を去年と同じにしない→色無し?→「源氏供養」の唐織が色入りになる
って経緯なんでしょうかしら…。
ちょい引っ張りましたが、今年無事に「道成寺」を披キ終わった澤田宏司師の装束は、こんなでした。
さて、今年の「道成寺」は鐘後見の実働部隊筆頭親方だった辰巳満次郎様

世代交代があった、というのも大きなトピックでございました。
その代わり?辰巳満次郎様

正座した不動明王みたいに、弟子を見守っとりました。
きゃ~、ステキ


さ、いよいよ、狂言方が鐘を重そうに運んできます、、、、アレ、アレ、アレ?
先頭でヨロヨロと爪先立ちで鐘を運んでいるのは、アノ、野村萬斎師、ではアリマセンカ?
おお~、こんな光景初めて見ました~



天下の野村萬斎師も、鐘を運ぶのね~。
とは言えそこはプロ、サクサクと巻きつけてあった鐘の綱を外し、
アッサリと天井の輪っかから綱を引っ掛けて通し、
ちょっと綱が捻れてたけれどそのままグイっと引いて鐘後見に渡し、
何事もなかったように楽屋に帰ってゆきました。
(ちょっとエエモン見たかも~

しかしこの綱の捻れが、鐘後見の新生実働部隊に困惑をもたらします。
このままぐいぐい鐘を持ち上がて、捻れ部分がすんなり天井の輪っかを通るのか…

見所にも緊張が走りました!
が、力づく(しょうがないです…

おかげで鐘は大きく揺れ、ワキ僧が登場しても、まだ揺れが止まりませんでした。
う~ん。
地謡前列の不動明王の右半身は(多分)憤怒のオーラ出まくり~。
冷や汗をかきながら地謡座に戻ってきた、新・実働部隊筆頭は思わず不動明王をチラっと…

というハプニングはありましたが、無事に「道成寺」スタート。
(どうも笛方も披キだったようですが、そんなの微塵も感じられない落ち着きでした。)
澤田師の白拍子花子は、マジメで熱いお人柄がそのまま現れたよう。
つまり、マジメで熱く鐘に執心しているのであります。
いいぞ~

今年の乱拍子は眠くはなりませんでしたが、澤田師が前に出した足を外に開くとき、
なんかずいぶんと、アン・ドゥオールになってます。
バレエ?
そんなに開かなくても良いのでは…、ちょっとだけ疑問が残った、まり子…。
それでもぐう~っと沈んで90度ずつ方向を変えるたびに、鐘楼に向かってじりっじりっと石段を登ってゆく白拍子花子(蛇体と化した清姫)の執心が見えるようです。
乱拍子→急之舞と進むと、いよいよ鐘後見が動きます。
ああ~、無事に鐘を落とすことができるのでしょうか!


地謡の不動明王はパワフルに力強く謡いながらも、右半身は鐘後見にピタ、と寄り添ってます!
あたかも幽体離脱して、今年も一緒に綱を引いているかのようでゴザイマス!
鐘はズリっズリっと降りてきますが、しかしッ!
止まった位置がぁぁぁ、それじゃ高いぃぃぃっ



おお、また鐘がちょっと降りて高さ調整してますっ!
でもまだちょっと高いけど…、ハラハラするまり子。
しかし、それもものかは、澤田師はワキ僧が眠っているのを確認し、
見事に烏帽子を叩き落として、マジメに熱く、見事に鐘入りしましたっ!
ずずず~ん!
あ~、ヨカッタ~!
これば済めば「道成寺」は9割方成功したようなモンです。
無事に着替えも済んで、真蛇の面をかけた後シテは、
ちょっと大振りながらワキ僧を十分追い詰めます。
しかし悲しいかなお約束。
調伏されて日高川(揚幕)に飛び込み、鐘に執心を残したまま「道成寺」は幕を下ろしました。
また、来年…。
別の花子が鐘の供養をじりじりとうかがっていますね。
地謡が最後に「五雲」を謡って、春の別会能は終わりました。
地謡で不動明王になっていた辰巳満次郎様

(・ん・)?
辰巳満次郎様

ダイジョブかな~、と思うぐらいかなりの重症の痺れのようでゴザイマス。
まり子の席は辰巳満次郎様

痺れをリカバリする様子をチェックしまくり~。

今年の「道成寺」は思わぬ収穫もあった、オイシイ「道成寺」になりました。でも、
澤田宏司様、本当におめでとうございました。
