真夏の「道成寺」 (完結編) | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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こちらは、不休で普及に励む宝生流グレート能楽師の辰巳満次郎先生♥に「惚れてまったやないかぁ~!」なファン達が、辰巳満次郎先生♥と能楽の魅力をお伝えしたいな~、と休み休み、熱い思いをぶつけるブログです。

まり子です。

思いもかけずどころか、完結編にまでなってしまった「道成寺」レポ…。
辰巳満次郎様ドキドキの「杜若 沢辺之舞」の三倍のボリューム…。
辰巳満次郎様ドキドキファンとしては、何となく申し訳ない気分です…。
でもでも書きたいことがイッパイあるんだもん。
ちょっとくどい、工藤まり子はツイッターは無理でゴザイマス。

それでは、完結編、後シテの登場する「道成寺」レポにまいりたいと存じます。

シテが無事に鐘入りすると、辰巳満次郎様ドキドキはすかさず鐘をわずかに持ち上げて鐘を左右にぐるんぐるんと回して、鐘の位置を修正します。
コレって鐘の位置を修正するだけじゃなくて、中に蛇と化した鬼女が息づいている、ってことを示しているのかなぁ、と。

すると寺男(狂言方)二人が鐘の落ちた音に仰天して目を覚まし…、

寺男A: くわばらくわばら   → 雷が落ちたと思った
寺男B: ゆりなおせゆりなおせ → 地震が起きたと思った

と叫び?ながら登場します。イッタイナニガオコッタノカ…。
さあて、鐘が落ちています。
寺男Aは真っ青(という想定)です。明らかに自分の責任…。
このあたりは辰巳満次郎様ドキドキがポッドキャストで詳し~くお話してくださっておりますので、もう一度聞いてくださいませ。
キーワードは「落ちてござる」ですよ~ん。

次にいよいよワキ僧の登場です。
鐘の落ちた様子を見て、これは…、と初代の失われた鐘の話(安珍・清姫の物語ね)をします。
実はね、この部分がほぼそのまま地唄「古道成寺」の歌詞になっておりますの。
ちょっとふくらませている箇所(安珍に夜這い?しに行くトコロ等)もあるけれど、能の語り部分がどういう風に三絃・箏の伴奏で唄われるか、興味とお時間のある方は聴いてみてくださいませ。
(前者17分/後者20分:両方とも人間国宝であった名人の演奏でゴザイマス)

さて、語りが終わるとワキ&ワキヅレはいよいよ数珠を構え、鐘の中にいる邪悪?なものを調伏する準備をして鐘に向かいます。

だけどもうとっくに聞こえていてもいいんじゃないか、と思う例の鐘の中からの合図の音が鳴りません。
鐘入りはキレイに決まったんだけど、ほんのちょっとだけ鐘が早く落ちたように思っていたまり子は、シテは大丈夫なのかメチャクチャ心配になりました。
いよいよ調伏が始まるとやっと、例の音が!
あ~、ヨカッタ~。(これが正しいタイミングなのかもしれませんけど)

再び辰巳満次郎様ドキドキ達の活躍が始まりました!
鐘をわずかに持ち上げて回したり揺らしたり…。
そして鐘がじわりじわりと上がると、そこには蛇と化した後シテが!
(デタ~!!!!! ココは正面から観たかったナ~)

お着替えを済ませたシテは、赤地の鱗模様の摺箔、椿の唐織は脱いで腰に巻きつけて平臥しています。
面は真蛇にかけかえて、鬘は…、う~ん、角のように持ち上げて崩すのがちょびっとで…、惜しいっ!

鐘は再び持ち上げられ、バトルの開始でありますっ!
昨年の高橋憲正師の「黒塚」を観た人は、それを思い出してみよう!
それを観ていない人は…、辰巳満次郎様ドキドキの「葵上」を思い出してもイイでしょう!

激しいバトル?の末、敗れたシテは、橋掛リをダッシュして揚幕の中に大ジャンプ(=日高川に飛び込む)して消えました。

キャ~、カッコいい~ラブラブ!

ふっふっふ、これを間近で観ることができた脇正面って…グッド!
(実は首をぐいっと廻して着地の瞬間も観てしまったの!)

舞台ではワキが留め拍子を踏んで「道成寺」は終わりとなりました、と言いたいところですが、鐘を再び下ろし、それを狂言方が再び運んで揚幕に消えるまでは、終わりじゃありませんね。

ふう~。

ポッドキャストで辰巳満次郎様ドキドキが、とにかく無事に終わること、とおっしゃってましたが、無事に終わりました。
それもニアリー・パーフェクト、ってくらいの出来で!
スバラシカッタです~!

しかしですね、なんとなく、なんとなく物足りない印象が残ったのですよ。
なんかこう、勢いっていうか、熱っていうか、そういうのがやや足りないような…。
「道成寺」のすべての課題を楽々とハイスコアでクリアしてるのが逆に、妙に余裕があるみたいにみえて、初舞台じゃないみたいな…。
確かに三月の延期になった分を一度目としたら、この真夏の七月にまさに二度目の「道成寺」だった訳で、不可抗力とは言え、やっぱり三月に拝見したかったなぁ、と思った次第…。

ただ、このおシテ様は意外とクールなタイプではないかなぁ、とも思いました。
芝居をするタイプではなく、あくまで型で魅せる正統派…。
武田孝史師と同じような「玲瓏」タイプのような気がします。
だから「道成寺」もクール・ビューティで終わったのかも…。

「道成寺」を無事に披くことができて、本当におめでとうございました。

九月にさっそく「オトナの能楽師」の始めの一歩の舞台が控えてます。
まり子的には、高橋憲正師は「経政」よりももっと大人の「清経」なんかの方がホントは似合うじゃないかなぁ、と思っておりますが、見逃せない能楽師の一人として東京の舞台は必ず拝見しようと思っております。
チャンスがあったら、金沢にもまた行きたいな。

若干尻すぼみになった完結編ではありますが、ここらで幕といたします。
アデュ~キスマーク


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