明日は五雲会… 能「通盛」ってどんなのう? | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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まり子です。

明日5月14日は、5月度五雲会がございます。
正午開演、水道橋駅からすぐの宝生能楽堂まで、ぜひお運びくださいませ。

演目は「嵐山」「通盛」「雲雀山」「石橋」の能4番と、他に狂言が2番です。

それでは昨日の記事に予告したように、まり子のお稽古現在進行形の「通盛」について、
少々書いてみたいと思います。

まず、宝生会HPの書いてある「通盛」の粗筋をそのまま、ご紹介いたしましょう。
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阿波の鳴門で平家一門を弔う僧の前に、舟に乗った漁翁と女が現れ、この浦で果てた
小宰相の局の最後を語り、海に飛び込み消えてしまった。僧が回向をすると、通盛と
小宰相の霊が現れ、二人の別れを語り、戦いの様を見せるのであった。
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さあ、どうだ!
しかしお能の粗筋って、これだけ読むと、ちっとも面白そうではありませんねぇ。
本当は粗筋の行間に、その醍醐味がタップリ詰まっているのです。

この「通盛」では、間狂言も大切ですの。
この物語の背景(この記事の後半の内容)を語るので、ちゃんと聞けるか聞けないかで、
印象の深さが変わってしまうので、寝ないでちゃんと聞きたいものです。

平通盛は平清盛の甥で、勇猛で知られる能登守教経の兄でもあります。
今を時めく平家の貴公子だった訳です。

その通盛クン、当時の宮中一の美女とその名も高い小宰相の局(16)を見初めました。
さあ、それからというものは通盛のラブレター攻撃です。

でも、ナシのつぶて…。それも三年間!

純情一途の本気の恋ゆえだったのか、今を時めく平家の御曹司のプライドが許さなかったのか…、
通盛の本当の気持ちを知ることはできませんが、まり子としては前者であったと思いたい…。
しかし通盛には正室がいたらしいし、小宰相の局もそれを知っていたのかもしれないし、
とにかく3年もの間小宰相の局は通盛の恋文を無視し続けました。

3年も無視され続けた通盛は、ついにこれを最後とありったけの思いを文にしたため、
使者に託しました。使者はラッキーにも小宰相の局の車に遭遇、車の中に投げ入れます。

車の中では通盛の文を捨てることができなかった小宰相の局は、いったん文を自らの袴に
挟んでお使えする女院(上西門院統子内親王)の御前に参じましたが、なんとそれを落と
してしまい…。

その文を拾ったのが女院で、通盛の思いと人柄を知っていた女院は二人の仲を取り持ち、
二人は結ばれます。
相思相愛のラブラブ…、しかし平家打倒の機運高まって平家一門は都落ち…、
幸せな日々は長くは続きませんでした。

小宰相の局は愛する通盛と共に行動することを選び、西国に落ちてゆきます。
このとき小宰相の局は身籠っていたそうです…。通盛にとっても初めての子だったとか…。

ここからの出来事を、通盛と小宰相の局の幽霊が僧に語るのが、この能「通盛」。

  あかで別れし妹背の仲らへ、必ずひとつ蓮(ハチス)に迎えたまへ

これが小宰相の局の最後の言葉だったそうですが、まさにこれがこの能のテーマなのでは
ないでしょうか?
「通盛」は一の谷の合戦を舞台にしているので修羅物の形をとってはいるけれど、
後半の修羅はアッサリしたもんだし、実は前半が大切な夫婦の執心物と考えたほうが
良いかもしれません。
(そういう意味では「船橋」っぽい?)

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写真は雨に濡れた薔薇。
愛しい通盛を亡くして、涙にくれる小宰相の局のイメージ…を意図してみましたが、
ちょっと違う…かな?

通盛は山内崇生師、小宰相の局は辰巳大二郎サンがお勤めになられます。
どんな美しい「通盛」が待ち受けているか、楽しみです~。

ところで、辰巳満次郎様が「通盛」をやったらどうなのか…、
今のところまり子には想像がつきません。

辰巳満次郎様は「雲雀山」の地謡でご出演~♪
ほほほ、久しぶりにご尊顔を拝し奉りまする~♪


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