率直な感想としては、

「良くやった!」というところ。


前半のプランニングはほぼ完璧と言って良かったのではないか。

序盤は結構積極的に仕掛けようとしてきたオランダに対し、

なんとか跳ね返したことでじょじょにオランダの攻撃のリズム

が狂ってきた。

大きかったのは阿部がスナイデルをほぼ完璧に抑えたこと。

おかげでほとんど危なげない状態で前半を終えることが出来た。


問題の後半。

オランダは前半停滞していた攻撃方法を改善してきた。

ポジションチェンジを頻繁に行うことで日本の守備ブロックを

崩そうとしてきた。なんとか10分くらいは持ったものの、

前半より明らかに押されていたことでスキを生んだ。

そんな中でPA内からの落としに反応したスナイデルが

右足を一閃。無回転のとんでもないシュートが川島の手を

はじき飛ばして恐れていた後半早い段階でのゴールを

許してしまった。


ここで最高のプランから外れた日本は、ややちぐはぐな

時間帯が出来る。

守備に重点を置くことは変わらないまでも、攻撃に比重を

置くのか、これまで通りでいくのか、選手によっての考え方に

違いが見られ、これまでの規律あるチームが少し不安定

さを見せた。

この時間に失点しなかったのが、最後まで締まった試合に

なった要因だろう。


ここから、日本は中村俊輔を投入し、攻撃にシフトする

という動きを見せる。

その後も玉田、岡崎を投入して今までやってきた

4-2-3-1にシフト。

より攻撃に比重を置き、日本が攻める時間帯も増えてきた。

ここが凄く嬉しかった。


オランダが日本を警戒して1-0でいいという戦い方を

してきたのは、日本にとっては一歩前進したのではないか。

今までの代表だと、この後足が止まって結局相手に

攻め込まれるのを何とか防いでの0-1敗戦という

ところが関の山だったと思う。

こういう強豪相手にこういう戦い方をさせたというのは、

少しは相手も怖さを感じてもらえたということ。

結局0-1のまま終了したが、岡崎が抜け出して

決定的なシュートを放つなどチャンスもあった。

今日は1失点したことでやや攻撃的に行くという

チャレンジもできたことは、デンマーク戦に向けては

収穫となっただろう。


僕としては0-1で十分許容範囲。

もともと今日は深夜にあるデンマーク×カメルーンの

結果のほうがグループリーグ突破に向けての影響力は

大きい。

中津江村の人たちおじゃないけど、カメルーンを

応援しよう。

いよいよあと3時間というところになってきたオランダ戦。

初戦に勝てたことでこの試合が全てを決めることにならない

のは幾分か気が楽だろうが、かと言って違うプレッシャーが

つきまとうことになったので結局は同じことか。


オランダという強豪を相手に、どういう試合をするか。

新聞紙上では、一足先に第2戦を戦った韓国を反面教師と

すべきとの論調が踊っている。

「ガチンコでの玉砕は避けるべき。大量失点に繋がる」

というもの。


ガチンコとは、要は守備を固めてひたすら耐えるのではなく、

攻撃に出て行くことを表しているようだが、この論調には少々

違和感を覚えた。


まず、初戦のカメルーン戦で結果を出した守備的な戦い方を

変えることはないだろうということ。

もっとも、これはある意味当然のことを記事にしなければなら

ない、「伝える」側の事情もあるだろうから、別にいい。


僕が引っかかるのは、

「攻撃的に行ったことが大量失点に繋がった」という部分。


「攻撃的に行ったことが大量失点に繋がった」

のではなく、

「早々に失点してしまったことが大量失点に繋がった」

のではないのか。


これではまるで、守備を固めて引けば、大量失点しづらい

みたいに見える。それは否だ。

引くということは、それだけ相手により長く攻撃の機会を

与えることになる。力量差が相当ある相手だと、その分だけ

長く強大なプレッシャーを受け続けることになる。


相手を0で抑えている間はまだ、どれだけ攻撃されようと

抑え切れている勇気を持ってプレッシャーをはねのける

ことが出来るだろうが、失点することでそのプレッシャーが

一気に重くのしかかることになる。

そうなってしまうと、引こうが上がろうが大量失点の芽は

出てきてしまうだろう。


相手である強豪国にとっても同じことが言える。

どんなに強いチームでも、1点を取るまではプレッシャーが

かかるもの。強豪国ならそれは尚更のこと。

今大会すでにフランスも、ドイツも、イングランドもそれでやられた。


自分達だけでなく、相手にも相当なプレッシャーが

かかっていることを忘れてはならないし、そこを突くことが

ジャイアントキリングを生み出す要素なのは間違いない。


とにかく重要なのは、まずはどれだけ長い時間相手を0で

抑えられるか。


それともう一つ。

今日の試合会場は気温が23℃くらいではないかと言わ

れている。カメルーン戦に比べて暑い会場だ。

後半体力が落ちてきたときに、ボランチがDFラインに吸収

されるようだと、守りきれる確率は格段に落ちる。

今日はボランチを2枚換えるくらいの感じで丁度いいだろう。


ボランチの高さ。それが日本の気持ちのバロメーターと

思って良いかもしれない。

逆に終盤、ボランチが動けていれば逆にカウンターで得点

するチャンスも訪れるだろう。


とにかく今日はボランチの高さと終盤の運動量、ここに

注目したい。


こうなったら運でもなんでもいい。

奇跡を起こせ!

あれだけ岡田監督バッシングが加熱していたのにも関わらず、

1勝したら手のひらを返した様に岡田監督賞賛の記事が、

毎日スポーツ紙の一面を踊ってる。

ニュースなどでも報道が一気に加熱し、普通の番組を見て

いてもW杯のことを目にする様になってきた。


ドイツW杯の惨敗から一気に冷めたミーハーファンの撤退

によって、W杯だというのに盛り上がりに欠けてきた

日本代表だったけど、この1勝で一気にそれが戻ってきた

感じがする。


これこそがこの1勝の功績だろう。

それが凄く嬉しいし、日本にとってこの上なく喜ばしいことだ。



もっとも、僕自身は結果論のみで簡単に手のひらを返す

論調は嫌いだし、自分自身の考え方は何も変化していない。


やはり岡田監督就任の時に危惧していた通りの戦術になり、

日本サッカーの戦術は10年前に針が戻された。

これは結果とは別で、大いに反省しなければならない所だ。


色々な記事や、個人ブログなんかを読んでみたところ、

やたらと岡田監督の戦術を絶賛する人が急増している。

内容は様々だが、

「理想を捨てて現実を見たことが素晴らしい」とか、

「日本に守備で逃げ切るメンタリティが遂に養われた」

などと書いている人もみかけた。


僕が今まで見てきた日本代表の歴史は、理想を掲げるが

必ず本大会前には現実をとって守備的布陣で戦い、

散ってきた歴史だったと記憶している。

なにも今回初めて現実をとったわけではない。

「い・つ・も」のことだ。


大きく方針転換せず、理想を追求した監督は、はからずも

外国人監督であるトルシエ、ジーコ、オシムだけだった。

(ファルカンもそうだったけど・・・)

日本人監督は常に「現実を取る」という名の逃げに走り、

予選でやってこなかった超守備的布陣で臨み、結果

強豪相手に惜敗という歴史を積み上げた。


それから、ドン引きして逃げ切るメンタリティなど、たった

1度逃げ切っただけで何故そう言い切れるのか。

結果は相手あってのことだし、試合中の流れに大きく

左右されるものだ。


勿論結果が出たのだからそれ自体を賞賛することは

大いに結構なことだと思うし、僕もそう思う。

だが、オシム監督をジェフ千葉から強奪してまで招聘し、

一丸で目指そうと掲げたサッカーは、根底から無かった

ことにされてしまっている。

無理してまで指揮をとり、倒れた前オシム監督は日本

代表の結果を賞賛しつつも、これではいけないという

部分も色々指摘してくれた。

本当にごもっともな内容だった。



日本サッカーがどこに向かうのか、このW杯が終わっ

たらもう一度しっかり考える必要があると、心底思う。


4年おきに1からチームを作るだけの強化方針なのか、

継続して日本が目指すべきサッカーを掲げ、強化

していくのか、これは言わずもがなだろう。


だがメディア、ファン、何より日本サッカー協会が今の

ままならばそれは夢のまた夢だろう。

今回と同じコトを繰り返すだけなのは目に見えている。


このことを日本がこのW杯での結果が出る前に、

どうしても書いておきたかった。



この先良い結果が出て賞賛の嵐のみになり、この

辿ってきた4年のことがなかったことにされてしまう

のもいけない。

この先惨敗して結局岡田監督バッシングのみに

なったり、結局運で1勝あげただけかなんて

ネガティブなだけの論調になるのもいけない。


日本サッカーの未来を、結果論だけで終わらせて

いては、今後も日本は世界に追いつけやしない。

この小さい身体で、どう戦えば世界で登っていける

のか。


身体能力が高い人種ならドン引き一発カウンター

狙いでも未来は見えるんだろうけど。


本当に良く勝った。

この戦い方だと、恐らく10試合やって1回勝利を得られるか

どうかだったと思う。

本当に岡ちゃんの監督としての勝ち運には恐れ入る。



この勝利、様々なものが絡み合って得られたものだったと思う。


・カメルーンが調整不足だった。


・その上試合会場の気温が低く(13℃とか)、カメルーンの

 体調に影響を与えた。


・気温が低いことで日本の運動量がいつもより落ちにくかった。


・数少ない(というかほぼ1チャンス)を決め切れた。


・バーが味方したり、こぼれ球が危ないところに飛ばなかった

 のをはじめ、至る所で運が日本に味方した。


特に得点シーンは、松井だからこそ上げられたクロスだったと

思うし、本田だからこそ決め切れたゴールだったと思う。

あそこで黒人相手に、落ち着いてああいう切り返しが出来る

のは、フランスで多くの黒人選手を相手にしている松井

だからこそだったと思うし、今ゴール前で最も落ち着きのある

日本人、本田だからこそしっかりニアを抜けたのだと思う。

トラップも左でトラップしたのが暴れて右足に当たったり

してるし、足下に収まってくれたのは相当ラッキーだった。


とにかく様々な要因が相乗効果となって、もたらされた勝利

であったことは間違いないだろう。



さぁこれで面白くなってきた。

オランダ相手に0-1くらいに持って行ければ、デンマークの

結果如何で予選突破の目が出てくる。

特に次節デンマークが負ければ、うまくすれば日本はこの後

2敗でも決勝トーナメント進出が出来る可能性さえある。


オランダ戦は、恐らくもっと守備的に行くだろう。

どこまで耐えきれるか、長い戦いになりそうだ。

そしてどこまで運が持つか・・・。


僕はカメルーン戦終盤のような、ドン引きしてボランチがDF

ラインに吸収されるような戦い方では確実にやられると

思うのだが、恐らくそうなってしまうだろう。

もう岡ちゃんの運を信じるしかない。


とにかくオランダ戦は1失点までに抑えてほしい!

初の連勝を賭けた試合はAWAY岡山戦。

ここ数試合メンバーを固定して戦ってきて、しっかり結果、内容

共に上向いてきた感のあるヴェルディだが、この試合、攻撃の

中心河野を欠くこととなった。

代わって入ったのは前節も動きの良かった善朗。



           平本


 飯尾       善朗       菊岡



       佐伯    晃誠


吉田                  健介 

       富沢    バウル


           土肥


SUB:柴崎貴、飯田、和田、菅原、阿部、俊幸、平



試合開始から前へプレッシャーをかけてきた岡山に対し、

ヴェルディは静かな立ち上がり。

しかしボールはある程度回すことが出来ていたし、前線で身体を

張り、全く当たり負けしない一樹がボールを納めることが出来て

いたことは好材料。善朗も身体負けすることはあっても、テクで

ボールを簡単に奪われるということはなく、河野の代役としては

十分及第点を上げて良い立ち上がりになったと思う。


一度左サイドでキープしつつ小気味よいパスで右サイドへ、

という良い展開があったのだが、結局シュートまでは行けず。

序盤はヴェルディがボールキープしながらゆったりという展開に

なった。

岡山が初シュートを打った前半25分の後、急に試合が動く。

それまで何度かあった左サイドからのFKでピントがあって来た

のか、3度目のFKから、こぼれたボールが平本の足下へ。

それをしっかり蹴り込んだ平本が先制のゴールを挙げた。


前半はそのままヴェルディペースで終了。


後半に入ると、開始早々に右サイドへ抜け出した平本にボールが

渡り、PAの角で仕掛けた平本がふっと走り込んできた晃誠に

落とす。それを右足一閃。

ファーサイドギリギリで外れてしまったが、さすがの一振りだ。


後半は風下からの攻めだったので、前半のように平本に当てて

というよりは後ろを狙った攻めも幾度か見られた。

しかし効果的な崩しが出来たということもなく、時間が過ぎていく。

そして迎えた後半30分過ぎ、飯尾と田所が中盤の競り合いで

もつれた後でお互いに報復行為をしてしまい、双方一発退場

というアクシデント。

このことで会場が激しいブーイングに包まれ、異様な雰囲気に。

それに乗じた岡山が猛攻を仕掛ける。


凄く危ないといったシーンはなかったものの、劣勢に立た

される場面が増え、このあたりに今後への課題の糸口が

ありそうだと感じた。


結局なんとか守りきったヴェルディが辛くも初の連勝を決めた。


正直、この試合はこれで最高の結果と割り切ることが吉

なのではないかと思う。

飯尾が退場して次節出場出来ないのが痛いが、この試合は

連勝を決めたことと、河野なくして勝利を収めたこととに意義がある。


それから、唯一の得点シーンが運でもぎとったものというのも大きい。


強いチーム、勝てるチームはこういう運が必ず必要になってくる。

ようやくそういう運が出始める流れになってきたという風に

僕としては受け止めたい。

次節は千葉戦。

J1時に長期中断期間明けのあの福アリでの敗戦から、一気に

流れが変わって結局降格してしまったあの屈辱を、何としてでも

晴らしたい。



次節飯尾の代わり入るのは俊幸か、善朗か。

ポジション的に今度は俊幸の出番になるのではないかと

踏んでいるが、誰が出ても頑張って欲しい!